規格外で転生した私の誤魔化しライフ 〜旅行マニアの異世界無双旅〜

ケイソウ

文字の大きさ
4 / 29

3話 規格外

しおりを挟む


 あれから最悪なイベントを乗り越え、私はカイルと共にギルドへやって来た。
 かなり立派は建物である。私はマンモを背負い、カイルの後に続いてカウンターの前に立った。
 ここでも好奇の視線は多少痛い。見下みさげることのなかった私が、今は男性陣さえも見下みおろしている。

 優越感に浸っていると、カウンターの奥からギルドの職員が姿を現した。
 先ずカイルが話をする――

「やあ、ケファリー。今日は珍しいもん持ってきたぜ。しかも大物だ。すぐ換金できるかな?」

「いらっしゃいませ。カイルさん直々とは珍しい。何を持って来られたんですか?」

「おい紅、ここに置けるか?」

 私は荷物の重さと大きさを考えて答えた。

「多分、無理だと思いますので、こちらで見てもらったほうがいいと思いますよ。よっと!」

「ドサッ!」

 奥から男性職員が顔を出した。不思議そうにカウンター越しから眺めると、その大きさに戸惑い、仕方なくと言った感じで裏からいそいそと出て来た。

「カイルさん、これは?」

「聞いて驚け。モンスターマンモの親子だ。この紅が退治してくれてな。いいから査定してくれよ」

「えっ! あのモンスターマンモですか? しかも親子だって? にわかには信じ難いが、とにかく拝見しましょうか」

 ギルドにいた冒険者達が話を聴いて集まって来る。私は隠れるようにフードを被った。
 今更だけど……。

 カイルが縄を解きながら話す――

「いや、実は俺もよくは見てないんだよ。モンスターマンモに間違いないんだが……」

 カイルがシーツをめくると、マンモの親子があらわになった。すると、男性職員は驚愕きょうがくの表情を見せ、慌てて奥へと駆け出した。一体なにがどうしたのか。

「あのう、彼はどうしたんでしょうねえ」

 カイルに話し掛けても返答がないので振り向くと、横でカイルが目を見開いて直立不動でたたずむ。
 だから何がとうしたのか教えて欲しい。

「ちょ、ちょっと、一体どうしたんですか?」

「こ、この色は異種系の非常に珍しい《ゴールドデビルマンモ》だ。ダンジョンで絶滅しはずだが……」

 えっ? 何その大層なネーミングは。私、もしかして大変な物を倒しちゃったの?

 そこへドタドタと、男性職員がお偉方らしき人を連れて戻って来た。ちょっと怖いんですけど……。

「これは正しく、異種系の《ゴールドデビルマンモ》だ。この金色の長い毛、未だ蒼く輝く額の角、凶暴且つ残忍な殺し屋と呼ばれた魔獣。まさか未だ存在していたとは、しかも子連れ……」


冒険者達からも響めきが起こった。そして口々に怪訝けげんな様子で密談する。

「あいつが仕留めたってよ。大して強そうには見えないがなあ。強力な魔法でも使ったんじゃないか」

「しかしデカい奴だなあ。新入りか?」

「でもちょっと良い男じゃない。一緒にパーティー組んでくれないかしら。色々サービスしちゃう!」
 

 色々聞こえてますよ。ちょっとそこのお嬢さん。
 見た目で判断は命取り。私のような変質者も居りますゆえ、どうぞご注意なされませ。気色悪っ!
 
 やはり余所者よそものは敵対視される。だからといってひるむ私ではない。目立ちたくはないけど、せっかく女神が与えてくれた力なんだ、無駄にはしたくない。やってやろうじゃん。
 見た目は男、中身な乙女、冒険者紅! テヘっ。

 注目を浴びてしまった私の前に、お偉方さんが話し掛けてきた。一体なにを言われるのだろう。


「あなたが紅さんですね。カイルさんから経緯は伺いました。私はここのギルドマスターでバーグと言います。さっそくマンモを見させて頂きました。キズも殆ど無く、魔法を使った形跡も確認出来ませんでした。これは大変な優良物件ですよ」

「はあ、どうも。あの、それで換金はしていただけるんでしょうか?」

「もちろんです。異種系マンモ3体で総額1億2000万パロンで引き取らせて頂きます」

 側で聞いていた冒険者達がまた響めく――

「おい、1億2000万パロンだってよ。凄えなぁ」

「でも魔法を使わないでどうやって倒したんだ? まさか聖騎士なのかあいつ?」

「いや、キズが無いって事は武器を使ってないんだろう。なら一体どうやって……あいつ何者だ?」

 またまた聞こえてますよ。何者ってただの男装女子ですが、何か?

「あの、カイルさん。それって凄いの?」

「贅沢さえしなきゃ一生安泰だ。紅は一気に大金持ちになっちまったなあ。アハハ!」

 カイルの話だと、最低の硬貨1枚が1パロンだと言う。日本円に換算すると1パロン1円ということか。だとすると……。

「おおっ! マジですか!? いや、ちょっと引いちゃうんですけど……え、それを現金でですか?」

「ギルドに預けて置くことも可能です。冒険者カードを提示して頂ければ、所持金の残高が確認できます。冒険者の方々は皆さんそうしてますよ。もちろ現金の出し入れも可能です。大金を持ち歩くのは荷物にもなりますし、大変危険だと思います。どうされますか?」

 バーグが詳しく説明してくれた。なるほど、ギルドは銀行の役割りも果たすのか。
 しかしその前に、冒険者登録をしなければならない。簡単に出来るのだろうか。

「あのバーグさん。私はまだ冒険者登録してないんですが、どうしたらいいですか?」

「登録は簡単です。登録書に必要事項を書いて頂くだけで完了です。今担当を呼びますね」

「ああ、大丈夫。ケファリーとは顔見知りだ。紅、儂が手伝ってやるから安心しろ。ほれ、行くぞ」

 カイルには何から何までお世話されっぱなしだ。
 私はケファリーと言う、超絶グラマーな美人お姉さんの受付職員に、登録用紙を手渡されてカウンターで内容を読む。
 どれどれ――氏名、年齢、身長と体重、特徴と。ふむふむ。氏名と年齢は正直に書いたが、身長と体重は適当に書いた。だって分かりませんもの。
 特徴は……?

「カイルさん、この特徴って顔とか躰のこと?」

「ああ、髪の色とか目の色、いつも着けている装具や装飾品ってとこかな。トレードマークだ」

 はいはい。えっと、蒼白い髪色、瞳は藍色、革の手袋に黒眼鏡がトレードマークと。以上です。
 本当に簡単だ。

 私は登録用紙を手に、カウンター越しに受付のお姉さんに渡した。

「はい、確かに。ではさっそく職種とランク決めを行います。この石盤に手を置いて下さい」

 差し出されのは、手の形が彫られている大学ノートほどの石盤だ。私は言われたとおり石盤に手を置いた。すると受付のお姉さんが固まった。ん?

「おいケファリー、どうした? 結果は?」

 カイルが受付のお姉さんに尋ねると、喫驚きっきょうと戸惑いの入り混じった表情で立ち尽くす。
 そして辿々たどたどしくも話し始めた。

「あの、知ってはいるのですが、その、目にするのは初めてで、ええと、どう説明すればいいのか……」

「おい、勿体ぶった言い方してないで、分かってる事だけでも言ってくれよ」

 とカイル。そして受付のお姉さんは深呼吸をしてゆっくりと興奮気味に説明を始める。――何事?

「先ず始めに、経験はゼロなのでFランク。しかしですね、ステータスは魔力を除いて全てAランク級で、スキルが伝説の『ハーキュリーズ』なんですよ! しかもスキルは既にSランク級を示してます!」

 隣りでカイルも呆然としている。ご存知で?

「おいおい、『ハーキュリーズ』と言えば、神話の怪力勇者ベルクレスの異名だろ!」

 ベルクレスって、確か十二の功業を行う勇士の話だったと思うけど、ここで神話?
 確かに、神話の存在である女神に出会でくわしましたよ。だからってまた神話の登場人物ですか。
 やれやれ、もうお好きにどうぞ。

「と、とにかくですね、初のスキル、怪力無双の『ハーキュリーズ』を持つ冒険者の誕生です!」

 ああ、前途多難……。

「紅……お前、規格外だな……」


 だから色んな意味でそうなんだってば……。

 ああ、お風呂入りたい……あ、パンツ洗わなきゃ。
 

 
 
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

きっと幸せな異世界生活

スノウ
ファンタジー
   神の手違いで日本人として15年間生きてきた倉本カノン。彼女は暴走トラックに轢かれて生死の境を彷徨い、魂の状態で女神のもとに喚ばれてしまう。女神の説明によれば、カノンは本来異世界レメイアで生まれるはずの魂であり、転生神の手違いで魂が入れ替わってしまっていたのだという。  そして、本来カノンとして日本で生まれるはずだった魂は異世界レメイアで生きており、カノンの事故とほぼ同時刻に真冬の川に転落して流され、仮死状態になっているという。  時を同じくして肉体から魂が離れようとしている2人の少女。2つの魂をあるべき器に戻せるたった一度のチャンスを神は見逃さず、実行に移すべく動き出すのだった。  女神の導きで新生活を送ることになったカノンの未来は…?  毎日12時頃に投稿します。   ─────────────────  いいね、お気に入りをくださった方、どうもありがとうございます。  とても励みになります。

聖女の孫だけど冒険者になるよ!

春野こもも
ファンタジー
森の奥で元聖女の祖母と暮らすセシルは幼い頃から剣と魔法を教え込まれる。それに加えて彼女は精霊の力を使いこなすことができた。 12才にった彼女は生き別れた祖父を探すために旅立つ。そして冒険者となりその能力を生かしてギルドの依頼を難なくこなしていく。 ある依頼でセシルの前に現れた黒髪の青年は非常に高い戦闘力を持っていた。なんと彼は勇者とともに召喚された異世界人だった。そして2人はチームを組むことになる。 基本冒険ファンタジーですが終盤恋愛要素が入ってきます。

オバちゃんだからこそ ~45歳の異世界珍道中~

鉄 主水
ファンタジー
子育ても一段落した40過ぎの訳あり主婦、里子。 そんなオバちゃん主人公が、突然……異世界へ――。 そこで里子を待ち構えていたのは……今まで見たことのない奇抜な珍獣であった。  「何がどうして、なぜこうなった! でも……せっかくの異世界だ! 思いっ切り楽しんじゃうぞ!」 オバちゃんパワーとオタクパワーを武器に、オバちゃんは我が道を行く! ラブはないけど……笑いあり、涙ありの異世界ドタバタ珍道中。 いざ……はじまり、はじまり……。 ※この作品は、エブリスタ様、小説家になろう様でも投稿しています。

底無しポーターは端倪すべからざる

さいわ りゅう
ファンタジー
運び屋(ポーター)のルカ・ブライオンは、冒険者パーティーを追放された。ーーが、正直痛くも痒くもなかった。何故なら仕方なく同行していただけだから。 ルカの魔法適正は、運び屋(ポーター)に適した収納系魔法のみ。 攻撃系魔法の適正は皆無だけれど、なんなら独りで魔窟(ダンジョン)にだって潜れる、ちょっと底無しで少し底知れない運び屋(ポーター)。 そんなルカの日常と、ときどき魔窟(ダンジョン)と周囲の人達のお話。 ※タグの「恋愛要素あり」は年の差恋愛です。 ※ごくまれに残酷描写を含みます。 ※【小説家になろう】様にも掲載しています。

[完結]前世引きこもりの私が異世界転生して異世界で新しく人生やり直します

mikadozero
ファンタジー
私は、鈴木凛21歳。自分で言うのはなんだが可愛い名前をしている。だがこんなに可愛い名前をしていても現実は甘くなかった。 中高と私はクラスの隅で一人ぼっちで生きてきた。だから、コミュニケーション家族以外とは話せない。 私は社会では生きていけないほどダメ人間になっていた。 そんな私はもう人生が嫌だと思い…私は命を絶った。 自分はこんな世界で良かったのだろうかと少し後悔したが遅かった。次に目が覚めた時は暗闇の世界だった。私は死後の世界かと思ったが違かった。 目の前に女神が現れて言う。 「あなたは命を絶ってしまった。まだ若いもう一度チャンスを与えましょう」 そう言われて私は首を傾げる。 「神様…私もう一回人生やり直してもまた同じですよ?」 そう言うが神は聞く耳を持たない。私は神に対して呆れた。 神は書類を提示させてきて言う。 「これに書いてくれ」と言われて私は書く。 「鈴木凛」と署名する。そして、神は書いた紙を見て言う。 「鈴木凛…次の名前はソフィとかどう?」 私は頷くと神は笑顔で言う。 「次の人生頑張ってください」とそう言われて私の視界は白い世界に包まれた。 ーーーーーーーーー 毎話1500文字程度目安に書きます。 たまに2000文字が出るかもです。

転生令嬢の食いしん坊万罪!

ねこたま本店
ファンタジー
   訳も分からないまま命を落とし、訳の分からない神様の手によって、別の世界の公爵令嬢・プリムローズとして転生した、美味しい物好きな元ヤンアラサー女は、自分に無関心なバカ父が後妻に迎えた、典型的なシンデレラ系継母と、我が儘で性格の悪い妹にイビられたり、事故物件王太子の中継ぎ婚約者にされたりつつも、しぶとく図太く生きていた。  そんなある日、プリムローズは王侯貴族の子女が6~10歳の間に受ける『スキル鑑定の儀』の際、邪悪とされる大罪系スキルの所有者であると判定されてしまう。  プリムローズはその日のうちに、同じ判定を受けた唯一の友人、美少女と見まごうばかりの気弱な第二王子・リトス共々捕えられた挙句、国境近くの山中に捨てられてしまうのだった。  しかし、中身が元ヤンアラサー女の図太い少女は諦めない。  プリムローズは時に気弱な友の手を引き、時に引いたその手を勢い余ってブン回しながらも、邪悪と断じられたスキルを駆使して生き残りを図っていく。  これは、図太くて口の悪い、ちょっと(?)食いしん坊な転生令嬢が、自分なりの幸せを自分の力で掴み取るまでの物語。  こちらの作品は、2023年12月28日から、カクヨム様でも掲載を開始しました。  今後、カクヨム様掲載用にほんのちょっとだけ内容を手直しし、1話ごとの文章量を増やす事でトータルの話数を減らした改訂版を、1日に2回のペースで投稿していく予定です。多量の加筆修正はしておりませんが、もしよろしければ、カクヨム版の方もご笑覧下さい。 ※作者が適当にでっち上げた、完全ご都合主義的世界です。細かいツッコミはご遠慮頂ければ幸いです。もし、目に余るような誤字脱字を発見された際には、コメント欄などで優しく教えてやって下さい。 ※検討の結果、「ざまぁ要素あり」タグを追加しました。

異世界リナトリオン〜平凡な田舎娘だと思った私、実は転生者でした?!〜

青山喜太
ファンタジー
ある日、母が死んだ 孤独に暮らす少女、エイダは今日も1人分の食器を片付ける、1人で食べる朝食も慣れたものだ。 そしてそれは母が死んでからいつもと変わらない日常だった、ドアがノックされるその時までは。 これは1人の少女が世界を巻き込む巨大な秘密に立ち向かうお話。 小説家になろう様からの転載です!

最強の赤ん坊! 異世界に来てしまったので帰ります!

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
 病弱な僕は病院で息を引き取った  お母さんに親孝行もできずに死んでしまった僕はそれが無念でたまらなかった  そんな僕は運がよかったのか、異世界に転生した  魔法の世界なら元の世界に戻ることが出来るはず、僕は絶対に地球に帰る

処理中です...