無能探偵 眞野光

ライト@あご割れガンマン

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少年の追う陽炎は暑夏の夢をみる

去り際の日常に青年は酔う

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無能探偵 眞野光

チクタクチクタクと秒針の音がなる。

(...ダメだ。
さっぱりわからん。)

恐ろしい、あまりに恐ろしい状況だった。

今まで生きてきた中で、
経験してきた中で、
過去の自分をこれほど恨んだ時は、
前の会社に務めた時以来だ。

「ち...っくしょう...」

探偵を始めたは良いが
俺はその線の才能はさっぱりだった。

気がつけば、近所のペット探しや
人生相談などの
便利屋のような仕事ばっかりだ。

ーーそんな流れで
現在俺は、事務所の机で
小学生の子供の
宿題を手伝っている...

...訳だが。

「なぁ兄ちゃんまだわかんねーのー?」

ーー俺には漢字を書く能も無かったようだ。

「にーちゃーん?」

  この子は竹内 智(さとる)君
宿題を手伝って欲しいという依頼だった。
小学生5年生、スポーツカットの
いかにも運動好きって雰囲気だ。

...モテそう。(小並感)
依頼金額 500円 
宿題終わったら渡すらしい。


ーーん?ちょっとまて、思えば。
  糞ガキこら
オメェの進まねぇ夏の課題を
どうしてこのみつる(様がやってるんだ?
しかもなんで夏休み終わり前日に
ご依頼をよこしやがったんだこら。

「はははっ、
ちょっとまっててね。ははっ」

得意の営業スマイルも崩れる寸前だった。

そこに救いの手が差し掛かった。

『いま帰ったで~』
と、やる気のない抜けた声が
玄関あたりから聞こえる。

「あ!祇杜かみもり(かみもり)のねーちゃん!」

と、糞ガキさとるくんは不安そうな表情から一転
玄関側に顔を向けパァっと目を輝かせる。

「なんだ小僧こら、俺じゃ不満か」
と服の襟を掴もうと手を伸ばすが、
間に合わず
祇杜なる人物の元へと走って行ってしまった。
  まぁ実際、
俺は解けなかったわけなのだが。

その女性はこちらを一瞥した後、
『ハァ、』
すっと、子供目線に腰を下ろし
頭を撫でながら
「おーおー、可哀想に
よしよしお姉さんが勉強教えたる。」

ーーーこいつ、
今、ため息つきやがったな?
「いまため息ついただろ。」

 祇杜はバックや買い物袋を降ろしながら
「眞野はん..小学生の勉強もみてやれんで
よくもまぁ、高校でられましたなぁ。」

さらなる追加攻撃だ。
ーー光は精神ダメージを受けた!!ーー

ジト目というやつか、
こんなもので興奮している奴が世の中に居るというのだから理解に苦しむ。

  この女は、艶やかな黒髪に整った顔だが
他人への対応が酷いのだ!
...人を選んでいるような気もする。
実際、商店街のオバチャン達とは普通に話していたのに。

俺には、、、
救いの手などでは無かったようだ、、、。

  もっとも、智くんには女神のように見えているのだろうな。

  くそー
「いいか?まずうちは何でも屋じゃなくて
探偵なんだからさぁー
お子様の勉強見てる時点でサァー。」

感謝、そう。感謝だ。感謝しろよと
俺は思うのだ。
まずは感謝から始めろ。

「日頃、めったに仕事も入らんのやから
眞野はんが感謝せななぁ」
  祇杜は目をニッと細め、口に笑みを浮かべる。

「俺と宿題してるときもお客さん誰も来なかったな」
と、子供がこちらを見る

...くそーーー!!
  お子様と違って平日の月曜日はみんな働いてんだよ!!

「営業行ってくるわ。」
俺はスクっと立ち上がり
ネクタイをつけて歩き出す。

ーー俺は、探偵 眞野 光。
こうして街の呼び声に導かれ
事件へと誘われる。
それが俺の運命というなら、それも良いーー

  「帰りにハーゲンダッツェのキャラメル頼むは~」
 祇杜が後向きのまま手を振る。

「おい!今いい雰囲気だったのに!!」
雰囲気ぶち壊しだ。
「にーちゃんいってらっしゃーい」

「あ、あぁ、行ってくるわ」
つい智くんに反応してしまった。

「んじゃ、行ってくるから
依頼者きたら応答よろしくな」

「あいあ~い」

こうして俺は玄関で靴を履き
扉を開けて外へと出る。

「あら!光ちゃん此間のテレビなおしてくれてありがとねぇ!」
ちょうど、事務所の前を歩いていた近所のおばちゃんだった。

「え、ああ!はい!
また『出たら』言ってください!」

おばちゃんは振り返りざまに手をちょこちょこ~と振って去っていった。

  手を振り返し、
俺は、住宅街へと歩いて行くのだった。
財布の中身を確認しながら。
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