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霧のミューズ
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フリルのついたリボンのツインテールに 真っ黒い地雷系の服。
歩道橋の上で 一人佇んでいる。
ちょうど登り始めた月が大きく出ており、 少女の右後ろまで登って来ている。
進むでもなく 戻るでもなく 少女はそこにしばらくいたかと思ったが いつのまにか消えていた。
①
「サキぃ~」
未来野(みくの)サキは ベッドから起き上がり、 周囲を 見回した。
サキがいるのは自分の家の自分の部屋。
一人部屋である 。
誰かの 声が自分を呼ぶはずもない。
二度三度注意深くあたりを見回したが誰もいない再び ベッドに うつぶせになり 、動画の続きを 見始めた。
「サキぃ~」
やはり 声が聞こえる。
聞き覚えがある この声は幼なじみの、成瀬カイトの 声に聞こえる。
サキはもう一度 辺りを見回そうとして、驚いた声を上げた。
すぐ隣に だらしない顔をした カイト がいたのだ。
「あんた何してるの⁈ 私の部屋に勝手に入ってこないでよ!」
「何してるのよ!』 じゃなくて、『 なんでことになってるんだ』だろう?」
成瀬カイトは浮いているのだ。
『なんでことになってるんだ』は正しい。
色も薄く透けている。
「まあ それもそうね。 ほら話してもいいわよ」
「なんだよその言い方! 俺が今こんな風になってるっていうのは 、大変なことだって わかるだろ⁈」
「わかるけど、 ここはプライベートな場所なの。いくら幼馴染だからって、来ていいわけないでしょ! しかもこんな 夜中に!」
サキはカイトが幽霊っぽくなっていることよりも、幼なじみの男子が、女子の自分の部屋に来ていることを怒っている。
「まぁいいわ。話していいわよ」
来てしまったものはしょうがないと、サキはカイトの話を聞くことにした。
許可が出たので、サキに怒られながら カイトは話し始めた。
②
カイトの話はこうだった 。
学校が終わって 友達の家に遊びに行った帰り。
歩道橋を渡って真ん中あたりに来たら、急に体が浮いて、体が手すりを乗り越えて下に落ちたと言うことだった。
幸い車がうまく避けて 引かれることもなく、近くにいた人が救急車を呼んでくれたそうだ 。
命は助かったが、意識がないままで、魂もこの通り 肉体から離れてしまっている。
両親の耳元で呼んだんだけど、二人とも全然 分かってくれなかったそうだ。
それで仕方なく、幼馴染の未来野サキのところに来たってことらしい。
「でもね」
サキの「でもね」の続きはカイトにだってわかる。
サキにだってこんな状況、どうすることもできないのだ。
「サキに何もできないことは分かってるさ。 でも1人で家にいたって しょうがないだろ。パパやママにも 俺の声が聞こえたらいいけど、 聞こえないからずっと泣いたままだし。 あんなとこ いられないよ」
サキは、自分の姿が見えなくて、ただ泣いているだけの両親の姿を見る、カイトの辛さを思った。
「で、あんたどうするわけ?」
「サキについてる」
「俺のこと見えるの サキだけだし、話し相手がいなくて一人なのは すごく辛い」
サキはわざとらしく 「ああもう」とため息をつくと、「いてもいいわよ」 と言ってくれた
「カイトが寝る場所は 床だからね」
サキは寒いからと言って 毛布を 一枚と 長い座布団のような下に敷くものを用意してくれた 。
体がないからか、気温の寒さは感じないんだけど、「寝るのにはいるでしょ」と言って貸してくれた。
やっぱりサキは優しい。
③
次の日学校に行くと、6年1組の担任が言った。
「成瀬はしばらくお休みだ」
詳しいことは何も話さなかったが、 昨日まで元気に登校していた 成瀬カイトが 長期欠席なんて、みんな不思議に思っていた。
カイトは学校に来てもみんなには見えないから、みんなとは遊べないけど、
「サキにくっついて いれば一緒に学校も来れるし、 勉強もできるから、いつ昏睡状態の自分の目が覚めても、勉強の遅れはない」
と言って 前向きだった。
しかしカイトは、給食の時間だけは耐えられなかった。
この状態になってから、食べ物を口にしていないのだ。
ひとが食べてて自分は食べれないことが、こんなに辛いとは思わなかった。
給食の献立なんか見なくてもいいのに、つい見てしまった。
ラーメンがある。
カイトは給食のラーメンが好きだった。
献立を見た日からずっと、食べたいと思っていた。
考えに考えた末に思いついたのは、「サキに取り付いて食べたら、味がわかるかもしれない」というものだった。
いや、実際には思ってはいたんだけど、どう切り出すか、どう言って取り憑かせてもらおうか、ずっと言うか言わないか迷って、堂々巡りしているのだ。
果たしてサキは、自分を取り憑かせてくれるだろうか。
ラーメンが給食で出る日、ついにカイトはサキに言った。
サキはかなり嫌な顔をしたが、カイトの必死のお願いに、取り憑く事を許してくれた。
「いい? まず、私の体にカイトが入るなんて気持ち悪い。無理。それでも私はお願いを聞きます」
カイトはサキの攻撃の一撃目を受けた。イメージ的には、サキの「突き」を両手でばってんにして、挟み込んで受けとめた感じだ。
「次に、私も給食を食べたいです。でも、カイトの食べ残しを食べたくありません」
次は下段のパンチを繰り出されたので、平手で横に押して、避けた感じだ。
「という事で、今日の給食、全部カイトが食べていいよ。給食の今日のメニューの『ラーメンだけ抜き』なんて、残った物だけで食べるの、食べるバランスおかしそうなんだもん」
給食が机の上に揃ってから、席に着いているサキの体にカイトは入ってみた。
サキの体に、サキと自分の魂が入ってるのかと、カイトは思った。
「ちょっと私、この体から一度出るね。カイト『サキの体にサキと自分の魂が入ってる』って思ったでしょ。考えてる事わかるのかな? ちょっと無理。カイトが給食食べ終わったら帰ってくるから、代わってよね」
サキは「出れた!」と自分の体から抜け出した。
サキの体に、カイト一人で入っている。
変な動きをしちゃいけないと思うと緊張する。
箸を持って、ラーメンの器を持つ。
(これがサキの手か)とカイトは思った。指が細くて柔らかい。
スープを一口すすり、給食のラーメンを食べた 。
めっちゃ美味しかった。
久しぶりに食べ物の味を実感して、味を感じる嬉しさや、喉を通りお腹に入る感覚をひしひしと感じた。
④
未来野サキは家に帰ると、母親と6ヶ月の弟コウに、 ただいまの挨拶をした。
学校から帰って来てから、 コウをベビーカーにのせて散歩に行くのがサキの日課だった。
母親も夕食の準備がはかどって、とても喜んでいる。
サキはコウを ベビーカーに乗せて、「行ってきます」と挨拶して家を出た。
下り坂に入ったところで、しっかり握っていたはずのベビーカーの手すりから、サキの手が離れた。
サキは手を離したつもりはないのだが、ベビーカーが 前に引っ張られたような感じで、握りこぶしから抜けて 坂を下って行ったのだ。
走ったけど追いつかない。
この先の 十字路で、 車が来たらどうしよう。
車が 来なくても その先のどこで止まるのか。
危ないことに変わりはない。
「俺が取り付いてみる」
カイトが言った
「何言ってるの! コウに取り付いたって、赤ちゃん なんだから 何もできこないじゃない!」
「タイヤに取り付くんだよ! ベビーカーのタイヤに! それで向きを変えてみる」
サキが驚いてる間に 、カイトは タイヤの方に一直線に飛んでいた。
そしてタイヤに取り付き、タイヤの向きを変え 十字路の手前でギリギリ 止まった。
「止まったよ」
車がベビーカーの前を通り過ぎて行った。
間一髪だった。
サキは体から血の気が引いた。
もし止まっていなかったら、コウは車に引かれていたと思うと、生きた心地がしなかった。
サキはベビーカーに追いつくと ベビーカーの持ち手をつかみ、へなへなとその場に座り込んだ。
「カイトぉ~ 、こんなこと言うのは失礼かもしれないけど、 あんたが ゴーストになってくれて本当に良かった~」
ゴーストになって良かったって言われて、カイトは複雑な気持ちだったけど、
「ありがとう カイト! カイトはコウの命の恩人 だわ!」
サキに褒められて、カイトは正直嬉しかった。
「でもよく ベビーカーのタイヤにとりつくなんて ひらめいたわね」
立ち上がってベビーカーを押しながら歩き出して、サキが言った。
「心霊現象で物が浮いたり、 ラップ音がしたりってあるだろう? だからできるような気がしたんだ」
「なるほどね」
サキはカイトを見直した。
「でもおかしいのよ。 私はベビーカーのハンドルを握りしめてたけど、ベビーカーを強く引っ張られるような感じがして、ベビーカーが下に落ちてったのよ」
サキが青い顔で続けた
「あのままベビーカーを追いかけて 十字路まで走って行ってたら、 私もコウも車にひかれて死んでた……」
「俺が歩道橋の上から落ちた時も変だったぜ。体が持ち上がったんだ」
二人は顔を見合わせた。
「私たち…… 命を狙われてる……」
⑤
心配していた事はすぐに起きた。
目の前で血を流して倒れているサキを見て、カイトは歯ぎしりした。
「……俺がずっと近くにいたのに、こんなことになるなんて!」
苦しがっている サキを見かねて、カイトは言った。
「サキ、 今からお前の 体に俺が入る。 サキは体を出ろ。 苦しいのは 俺が変わってやる」
そう言うと、無理やりサキの魂を体から出し、 自分がサキの体に入った。
(やっぱり めちゃめちゃ痛い! 苦しい!!)
サキは怒ってるけど これでいい。
カイトは痛みで意識を失いそうになるのに、必死で耐えながら思った。
(あれ? こいつ、同じクラスの 棚瀬ルイだ。
なんでこんな近くにいるんだ?)
棚瀬は サキの体の、俺の上半身を抱き起こした。
「触んな! バカ!」
サキの体を触られ、思わず叫んでしまった。
「未来野……さん?」
ルイは 驚いた顔して、俺の目、いや、サキの目を見ている。
「ちょっとカイト!」
棚瀬ルイは、クラスの女の子の大半が、ちょっとかっこいいと思っている男子だ。
(サキも棚瀬の事が好きなのか?)
「お前、未来野さんじゃないな! 未来野さんはどうした!! 体を乗っ取られたのか?!」
棚瀬は何か悔しがっているように見える。
サキは棚瀬に近づき、棚瀬に説明した。
聞こえないかもしれないけど……。
サキの説明がおわり、棚瀬はうなずいた。
棚瀬はスマホを取り出すと、救急車を呼んだ。
「未来野さんは死なせない」
棚瀬はすっくと立つと、何かに立ち向かうように眼光を放った。
霧のミューズ 2
『誰にも大事にされた事のなかった男の子は、自分が心の底から大事に思った人に、とても大事にされました』
⑥
「出てこいよ! 未来野はまだ生きてるぜ」
棚瀬が言った。
攻撃主が怒ったのか、飛んできた攻撃が棚瀬の腕をかすめる。
(攻撃はどこから来た? 攻撃はどんな攻撃だった?)
それを見定めようとするが、わからないまま再び攻撃を食らってしまう。
棚瀬は、サキの体を自分の体で包んで守ろうとした。
「お前攻撃見えてないのか? 出てきただけかよ」
棚瀬に抱きかかえられたまま、サキの中のカイトが言う。
声を出すだけでも苦しいが、確認せずにはいられない。
「やっぱりお前、未来野さんじゃないな」
腕の中の人は紛れもなく同じ学校の未来野サキだが、別人としか思えない。
「さっき誰かの声がしたんだ。『生きるとか死ぬとか、善とか悪とか、そういう事の前に物事を何が何でもやり通す意志はあるか?』って。その声の主が未来野さんだろ。お前、誰だよ」
「そんなことどうでもいいだろ。 サキに攻撃がきたらどうするんだよ」
そう言い終わるか終わらないうちに、サキの体に入ったカイトと棚瀬はふっ飛ばされた。
「『サキに攻撃が』って、おい! お前誰だよ!!」
「そんな事言ってる場合じゃないだろ!!」
(こいつ本当に何で出てきたんだよ! 俺には見えるのに)
カイトはもどかしくて仕方ない・
「サキ、サキ、苦しいけど、ちょっと体に戻ってくれるか? オレは棚瀬の中に入る」
カイトがサキに言うと、サキはすぐ自分の体に戻ってきた。
カイトは棚瀬の体に入る。
サキの体に入った時はすんなり入れた。
でも……
「拒否反応かよ…!」
電流のようなものが邪魔をして入りづらいが、何とか入れた。
棚瀬はカイトが入ってきた時、ゾクッとする感覚を受けた。
「お前…… 成瀬か!」
⑦
「こいつ、こんなにオレの事嫌いなのかよ……」
棚瀬の気持ちが入ってくる。
(オレがサキといるのが羨ましくて……。 サキの隣にいるオレと入れ代わりたくて……。
ずっとずっと、サキの事が好きだったんだ……。
七00年も前から……)
棚瀬は言った
「いいか、成瀬カイト。オレは未来野さんに見つけてもらうために、いつも自分を磨き続けてきた。見た目にも気を遣い、スポーツも勉強もそれなりにやってきた」
(こいつが同じ六年の中でも、特に目立ってた訳はそこだったのかと思った。正直すごいと思う。
オレなんか何も頑張ってないのに……)
ずっと好きだったんだ……。
ずっとずっと好きだったんだ……。
「棚瀬、サキは耳がほとんど聞こえないんだ。女子の友達もいるけど、みんなで喋ったりする時はわかりづらいだろ。っていうか、わからないんだ。だからいつも一緒にはいなくて……。
サキは唇の動きで言葉が読めるだろ? それを知ってて、付き合い方もわかってるオレといるのがちょうどいいだけなんだ。恋愛感情はないからな」
『嫌い』の誤解を解こうと必死に弁解する。
「前日迄に授業の予習をして、ハンデを乗り越えて普通のクラスにいる、未来野さんが大好きだ。
いつの時代も、未来野さんは泣き言一つ言わず明るくて。そんな未来野さんが大好きだ」
棚瀬は、カイトが棚瀬の中に入っても、サキの体を守ることだけは続けた。
カイトは、棚瀬のその行動に真実を感じた
「見えるか? 棚瀬。あいつだ」
十メール程先に人影が見える。
カイトと同化した事で、棚瀬にも今まで見えなかったものが見えるようになっていた。
「女子か?」
「そうだな」
霧に包まれて見えづらいが、自分達と同年代の女子のようだ。
女子が右手を前に出そうとしている。
「なんか出るぞ!」
「牛だ!」
「さっき当たってきたのはこいつだったんだ!」
棚瀬はポケットから、紙を巻きつけたグーで握って持てるくらいの、先が尖った石を取り出し、向かって来た牛に刺した。
牛は叫び声を上げて消えていった。
次は何かの植物が、棚瀬の首を目掛けて向かって来た。
棚瀬はその植物を左手で掴むと、霧の中の女子の方目掛けて走った。
相手が逃げる間もなくパンチを繰り出す。
女子は2メートル程吹っ飛んだ。
⑧
「本体は人間か?」
紙を巻いた石ではなく、素手のグーで殴ったらしい。
「かなり手応えがあったぞ」
さすがに女子をここまで本気で殴るのに気が引けて、
「もういいだろ」
カイトは棚瀬を止めた。
黒い地雷系の服を着ていたように見えた女子は、プリントTシャツに、カーゴパンツの姿になっていた。
救急車のサイレンが聞こえたので、棚瀬は殴った女子の右腕を自分の肩に乗せ、その場を離れた。
サキは頭のいい子なので、救急隊員が来たら、名前と住所を言うだろう。
発音もちょっと違うので、救急隊員が聞いたことに答えられなくても、耳が聞こえないことに気付いてもらえるのではないかと願い、カイトはサキを傷つけた女子のほうについて行った。
⑨
「 ……殺せなかった……。私たち、仇を取りに来たのに……。」
担いできた女子の目から涙が溢れる。
女子の周りに霧が立ち込め、牛や犬などの動物、たくさんの人、植物が現れた。
「産業公害だな」
『辛かったな』と言うように、棚瀬は連れて来た女子の背中をさすった。
「未来野が悪い訳じゃない。わかってるだろ」
「こんな事になるなら私たちは、昔のままでよかったのに。便利なものなんていらない。金属も、何も無くても良かったのに……。」
棚瀬は黙ったまま、今の便利で豊かな生活と、産業公害で死んだであろう、目の前の女子の前世を思った。
ひとしきり女子が泣いて、泣き止んで落ち着いてから、棚瀬は女子を家まで送って行った。
棚瀬は何故あの女子の事がわかったのか。
カイトは意味が分からない所を棚瀬に聞いた。
「未来野さんの今までの前世は、『物語を作る』という事に特化したものだった。しかもそれは今までなかった素晴らしい、人類の生活が豊かに、幸せになる、夢のような未来の話だったんだ。
そのお話の欠片が世界に散って、未来の現実に現れる種となり、飛行機も、機関車も、テレビも扇風機も出来たんだ。
そしてお前は、前世では目が見えなかった未来野と、たくさんのワクワクする道具や乗り物などの話を語り合い、話の種を広めた。
お前たちペアは、それを繰り返して来たんだ。
その話の種たちがなければ、工業はこれほど成長することもなかっただろう。産業公害もなかっただろう」
カイトは何も言う事ができなかった。
「未来野さんに面会できるようになったら教えてくれよ」
棚瀬はそう言って、カイトと別れた。
⑩
病室のドアを開けても、かなり近づいても、ベッドで横たわっているサキは、面会人が来た事に気付かない。
「サキ」
霊体のカイトの声はテレパシーのように届くらしく、サキはカイトの方を見た。
棚瀬と知らない女子が一人、一緒にいる事に少し驚く。
一度はサキの事を殺そうと襲ってきた彼女も、今のこの世界の発達ぶりを認めていない訳でもなかったし、口で説明できる感情ではなかったけど、何となく一緒に来ていた。
棚瀬と女子が持ってきたクッキーを開け、カイトは二枚目を棚瀬の中に入り、みんなで食べた。
「あ」
女子の目が、テレビに映った施設に釘付けになった。
『あおぞら財団付属 大西淀川・公害と環境資料館〈愛称:エコミューズ〉』
「私が生きてたとこ、『ミューズ渓谷』っていうの。公害の通称は『ミューズの霧』……。『大西淀川公害の記憶はみんなの財産です』だって……。場所は違うけど、残そうとしてる人たちがいる……!! 私たちが苦しんだ事って、無駄じゃなかったんだね……!!」
言いながら泣き出す姿を、三人は暖かく見守った。
(大丈夫だよ。賢くなった人類は、もう二度と同じ過ちを犯さないよう努力していくよ)
おわり
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