瓜目トンネル

たくみん

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1章 トンネル

日常

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午後11時00分
「なぁなぁ、次はどこ行くの?」
「そうだなぁ、どっかいい場所ねえかな?」
「おまえら、瓜目トンネルって…知ってる?…」
 心霊スポットがすきなゆうき、つよし、よわし達はある県に存在する「瓜目トンネル」に行こうとしていた。
 話を持ち出したのはゆうきだった。
「瓜目トンネルの噂ってしてる?」
 僕とよわしは初めて耳にするワードだった。
「瓜目トンネルをくぐるとその先には昔存在していたある村があって、そこの村の住民は大量殺人事件で全員殺されたって噂しってる?」
 当然のことだが、瓜目トンネルさえ知らなければ村の噂なんて知るわけがなかった。
 しかし、僕とよわしはその噂を聞いた時、心がその心霊スポットに奪われていた。

 午後11時30分
 僕ら3人はゆうきが運転する車で、
心霊スポット「瓜目トンネル」へと向かった。
 さすがに今の時間帯に山を走らせてる車はなく、人が歩いてる訳でもない。
 ゆうきの運転する車の音だけが山に響き、静寂が続く。
 外は暗く、人影もなければ、街灯もなく、道路は車のライトを照らしてかろうじて見てるくらいだ。

午前0時00分
 山を抜けると、大通りにでた。
「あれ、この道であってるのかな?」
 ゆうきはカーナビのタッチパネルを1人ブツブツ言いながら叩いている。
 「あれ?大通りのあそこにトンネルがあるけど…もしかして、あれ?」
 よわしは後部座席から身を乗り出して大通りの先にあるトンネルに指をさしている。
「なんだよ、全然怖くないじゃん」
 大通りには車の通りが多く、街灯が多く灯いているのでとても明るい。
 ゆうきはカーナビを操作する手を止め、口角を上げ、微笑みこう言った。
「いや、あそこは新瓜目トンネルであって、
瓜目トンネルは別にあるそうだぜ」
 3人は視線をカーナビに向けた。
 もう一個の山を抜けて、さらにその奥にあるもうひとつの山の中に瓜目トンネルと表記してある場所があったのだ。
 その時、僕らのこころは、緊張と興奮で高まっていた。
 普段の日常が、覆されること僕らはまだ知らない。
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