瓜目トンネル

1章 トンネル

背後

午前0時10分
 瓜目トンネルへと車を走らせる。
 道は大通りから外れ、徐々に街灯が減り、山に入っていく。周りは暗く、車内の雰囲気は心霊っぽさに包まれていく。
 「さすがに今の季節でも山の上は寒いな」
今の体感温度は体の末端が冷たく感じる程度だが、昼の気温は35℃と、夏真っ最中の今にしては充分に寒く感じる。
 「おい…もう帰ろうぜ…」などという心霊定番のネタを言い合い、怖さを紛らわしてる中。
 「お、おい」
 ゆうきが突然ブレーキを踏んで車を止める。
「なんだあれは。」
 なんだなんだと騒いでいるよわしと僕はゆうきの視線の先に目を見やる。
 「壁？」
 「フェンスか？」
視線の先にはこの道を塞いでいるフェンスが立ちはだかっていた。
 このままだと車が通れそうにない。
 とりあえずみんな車を降りてフェンスのそばへと近寄る。
 すると、フェンスに看板がはられており、『狐の目を持たなくして入るべからず』とかいていた。
「狐の目…それって…」
よわしが突然目を大きく見開き口にした。
「瓜目トンネルの瓜目と何か関係してるんじゃ…」
みんなで脳を凝らして考えたのだが結局答えは出ず、ゆうきがフェンスに寄りかかると…
「ふぁっ！」
 驚きの声を上げながらゆうきの体は斜め45度に傾いた。
 フェンスが開いたのだ。
 フェンスに鍵がかかっていなかった。
「おーゆうきないす！これで車が通れるな」
「危な…危うく頭から行くところだった」
ゆうきは深呼吸をしながら安否を伝えた。
 「ってか、ナイスじゃねーだろ！心配するとこ！」
僕らは車に戻り、一息ついたところで車を走らせた。

午前0時45分
 フェンスを通り抜けた後から、上には木々に覆われ、空が見えなくなり、周りは漆黒に包まれていく。
 道がだんだん不安定になっていき、
道という道ではなくなりやがて、草木が邪魔をするようになった。
「ったく、なんだよこの道」
「ねぇねぇ、本当にここって通りれる道なの？」
ゆうきの感情に怒りが現れ、よわしと僕の感情に不安と心配を募らせていった。
 すると。
「目的地に到着しました」
カーナビが発声し、みんなは驚きを隠すことなく、肩をびくりとさせた。
「ねぇ、まさか…」
「あーそうだあれだよ」
「まじか…」
みんなの反応は小並感になるほど驚いている。
 みんなの視線は1点に集中している。
 その先には大きな半円の形したっ暗なトンネルが立ちはだかり、その横に『瓜目トンネル』と記載されている看板があった。
「ついたんだ……ってことはこの先に…」
「そうだな、噂が正しければ村が、廃村があるかもしれない。」
 みんなは期待が高まり、興奮している。
すると、背後から車を走らせる音が聞こえた。
3人はぱっ！と後ろをむく。
 車のライトに照らせれて眩しいせいか自然と目を細める。
「なんだなんだ」
白い車が僕達を照らしていた。
すると、車の運転席の方からドアが開いた。
僕ら3人は息をのみ、興奮から恐怖へと感情が変わっていく…………