親子そろって悪役令嬢!?

マヌァ

文字の大きさ
64 / 231
学園生活開始~学園祭。

64話『密談 3』

しおりを挟む

※エドワード編の続きです。
ここで!? と思うかもしれませんが、ここで です。
エドワード編はずっとあとの話としてまた出てきます。




エドワード殿下の目の前には誰かがいます。

インタビュー形式で、エドワード殿下が一方的に語っている風です。

そういう体で書いています。ご了承ください。



■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■





僕は、君にちゃんと話さなきゃいけないことがあるから。



ああ、わかったよ。

さっきの続きからだね?





学園祭が近づき、クラス劇の主役に僕とマリエラ嬢が選ばれたんだ。

練習は順調だったよ。

けれど、僕の不注意で僕は手に怪我を、マリエラ嬢は足に怪我を負ったんだ。

僕はすぐにマリエラ嬢に謝った。

マリエラ嬢は自分にも非があると言うことで、事故として済ませてくれた。



劇の主役後任は、ベリアルとエミリアに決まったね。



2人は練習に真剣に取り組んでいたよ。

ベリアルに至っては、寮で僕に細かく意見を求めてくるほどだった。

僕は真剣に取り組むベリアルの姿に、またしても好感を覚えたんだ。

エミリアは、意外にも演技が得意そうで、

役に入った瞬間に人格が切り替わるように見えたよ。

あの瞬間だけは、前に感じていた人形という印象にピッタリだったね。





学園祭当日。

三ノ実の教室でナナリーの衣装が切り刻まれる事件が起きたよね。



今回も犯人はエミリアになりそうだったけれど、ここ最近のエミリアを

見ていたから、僕にはわかる。

彼女はナナリー達に構っている時間などなかったことにね。

そもそも、学園初期のころから、エミリアはナナリーのことなんて

なんとも思ってなかったように思う。



エミリアのサロンに呼ばれた女子生徒たちも言っていたからね。



『僕が見聞を広げるために彼女の傍に居るのだと。

 自分は信じているのだと』



僕は、またしてもエミリアに助けてもらっていたのだと気づいたよ。

彼女は僕に変な噂が流れないようにしてくれていたのだと感動さえ覚えた。

僕のエミリアはなんて優秀なのだろう。

感謝しても、し足りないくらいだよ。

ん?

あぁ、事件の話だったね。



結局、衣装を切り裂いた犯人は見つからなかったよね。

エミリアへの疑念は僕が保障することで解かれたけれど、

カインとコンラートはエミリアが犯人だと信じて疑わなかったようだし。



あの後、三ノ実の問題なのだからとマリエラ嬢が解散を言い渡して、

僕達はクラスに戻ったよね。

あの後、皆で食べたサンドイッチもおいしかった。



学園祭2日目。

僕達のクラスの劇は好調で何の問題もなく上手くいったよね。



ただ、一つだけ気になることがあったかな。

劇の後のエミリアの様子が変だった。

何かあったよね?



それに、エミリアがベリアルに向ける視線。

あんな視線は僕には向けてくれたことがない。



僕は、不安で胸が押しつぶされそうになったよ。



そして、打ち上げのパーティで確信したよ。





エミリアの『君』への気持ちが――。





「驚かないんだね?」



ティーカップを傾ける彼、ベリアルに僕は問いかける。



「いいや。 正直驚いている」



カップをソーサーに戻し、ベリアルは真っ直ぐにこちらに視線を向ける。



「それで? 私にどうしてほしいのだ」



彼はとても正直な性格だ。

話す時間が増えたおかげで彼の人柄を、より理解できていた。



「どうもしないさ」



僕は、彼に頼みたいことがあった。

だからこそ、彼に僕の胸のうちを全て晒した。

けれど、その前に彼に聞いておかなきゃいけないことがある。



「ベリアル。 正直に言ってくれ。

 エミリアのことを君はどう思っている?」



こちらに視線を向けるベリアルは視線が揺れていた。

彼なりに気を使った答えを探しているのか?

やさしい性格の彼に僕はなんて酷い質問をしているのだろうか。


「私は、エミリア嬢のことを、好ましく思っている。

 この感情は、エドワードよりもずっと強いと自信すらもてる程に」



ふふっ。



僕はまっすぐに見つめて言ってくれたベリアルに感謝した。

彼の友人になれて、本当に良かった。



「正直に言ってくれてうれしいよ。

 君に頼みたいことがある――」



僕はひと呼吸置く―



「2年後の卒業式前に、エミリアをさらってくれ――」



僕は、ベリアルに打ち明ける。彼との内緒の話はここからだ。



残酷な運命を背負う覚悟を僕は打ち明ける。



2度と、彼女達を死なせないように―――。







しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語

ノン・タロー
恋愛
高校2年の夏……友達同士で行った小テストの点を競う勝負に負けた僕、御堂 彼方(みどう かなた)は、罰ゲームとしてクラスで人気のある女子・風原 亜希(かざはら あき)に告白する。 だが亜希は、彼方が特に好みでもなく、それをあっさりと振る。 それで終わるはずだった――なのに。 ひょんな事情で、彼方は亜希と共に"同居”することに。 さらに新しく出来た、甘えん坊な義妹・由奈(ゆな)。 そして教室では静かに恋を仕掛けてくる寡黙なクラス委員長の柊 澪(ひいらぎ みお)、特に接点の無かった早乙女 瀬玲奈(さおとめ せれな)、おまけに生徒会長の如月(きさらぎ)先輩まで現れて、彼方の周囲は急速に騒がしくなっていく。 由奈は「お兄ちゃん!」と懐き、澪は「一緒に帰らない……?」と静かに距離を詰める。 一方の瀬玲奈は友達感覚で、如月先輩は不器用ながらも接してくる。 そんな中、亜希は「別に好きじゃないし」と言いながら、彼方が誰かと仲良くするたびに心がざわついていく。 罰ゲームから始まった関係は、日常の中で少しずつ形を変えていく。 ツンデレな同居人、甘えたがりな義妹、寡黙な同クラ女子、恋愛に不器用な生徒会長、ギャル気質な同クラ女子……。 そして、無自覚に優しい彼方が、彼女たちの心を少しずつほどいていく。 これは、恋と居場所と感情の距離をめぐる、ちょっと不器用で、でも確かな青春の物語。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

今更気付いてももう遅い。

ユウキ
恋愛
ある晴れた日、卒業の季節に集まる面々は、一様に暗く。 今更真相に気付いても、後悔してももう遅い。何もかも、取り戻せないのです。

処理中です...