親子そろって悪役令嬢!?

マヌァ

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仮装パーティ編。

68話『仮装パーティの衣装』

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11月中期、ハロウィンイベントならぬ、仮装パーティのイベントがある。

魔法開発に時間を費やすうちに、あっという間にパーティ1週間前に

なってしまった。



私は、エドワード殿下とベリアル様を寮の談話室に呼び出していた。

実は、お願いしたいことがあるからだ。



「それでエミリアは、何を僕達にお願いしたいんだい?」



妙に嬉しそうなエドワード殿下が問うてくる。

ベリアル様も同じ表情だった。



「私、お二人の為に仮装パーティ用のドレスコードを作りましたの」



私は、デザイナーから書いてもらったデザイン画を2人に見せた。



「これは、テーマは何というんだい?」



殿下とベリアル様は興味深そうにデザイン画を見ている。

ベリアル様は特に、仮装パーティが初めてなので、うずうず感が出ていた。

「テーマは、『ヴァンパイアの魔王としもべ』ですわ」



魔王と言った瞬間に、パアアアと明るい顔になる本物の魔王ベリアル様。

しかし、その魔王の格好はベリアル様、貴方ではないのだ。すまぬ。

エドワード殿下もデザインを見て微笑んでいる。





私が渡したデザイン画には、特徴がちゃんと出ている3人の立ち絵が描かれ、

誰がどの格好をするのかが良くわかるようにしてある。



まずエドワード殿下の格好だ。

テーマの魔王はもちろん殿下だ。彼を目立たせるのは当然である。

だって、国王夫妻もくるんだもん。

ヴァンパイアの魔王のしもべに出来るわけが無い。



ぇ? ベリアル様はいいのかって?

彼は参加できればそれで満足するのでいいのだ。



殿下の格好は赤リボンのクラヴァットの白シャツ。

濃い灰色のフロックコートとズボン。

長い黒のマントの内側は赤だ。襟元が大きく広がって立ったタイプで

首前でリボン結びさせてある。手には白のシルクの手袋だ。

化粧で青白くさせ、耳を尖らせて、2本の牙をつけてもらい完成だ。


次はベリアル様の格好だ。イメージはヴァンパイアの侍従だ。

胸元にフリルのついた白のクラヴァットのシャツに、黒の燕尾服で内側は赤。

ズボンも同じく黒。褐色の肌に角も出してもらう。

2本の牙をつけてもらい完成だ。





最後に私の格好だ。イメージはヴァンパイアの女王様だ。(照)

真っ赤なフリルをふんだんに使ったプリンセスラインのドレスを、

前のほうだけ膝上にし、後ろのほうは段差をつけてタレ下げさせている。

足は黒の網タイツに真っ赤なヒールだ。

髪はゆるふわウェーブにして、背中には蝙蝠の羽をつける。

化粧で青白くさせ、2本の牙をつけて完成だ。手には乗馬鞭を持つ。



仕上げに、全員に血糊ちのりを適度にぬったくって、

禍々しさを演出するのだ!



実はこれらの格好、ナナリーを近づけさせないための作戦である。

このパーティ、私と殿下はペアでの出場は必須なのだ。

国王夫妻も参加するのもそうだけれど、この仮装パーティは

実は部門分けされている。


その部門分けは、『妖精』か『モンスター』だ。

ドレスコードがこの2種類なのだ。



そしてもちろんのことながら、ナナリーは妖精でくるのだ。

モンシロ蝶の羽をもつ花の妖精的な格好だ。

そして、イケメンsも木の妖精を意識した格好だ。



ここで、ゲームの世界の話をしよう。

エミリアとエドワード殿下の仮装がドリアードとトレント。

妖精にもモンスターにも取れる格好をしていた。

エミリアは肌の色と髪の色を緑にして黄緑のマーメイドドレス。

装飾品は果物系。

エドワード様は肌の色を黄唐茶きがらちゃに染めて、

果物をあしらった緑のタキシード。



ここで問題。

ナナリー達の格好はなんだったでしょうか?


そう、花の妖精なのである。被っているのだ。植物つながりで。

これで、全員同じ場所に居ても違和感無い集団になっちゃうのだ。



パーティの内容は、部門別に分けられた会場で

テーマにあわせたペア又は集団が会場の真ん中に設置してある道を歩く。

モデルさんの歩く舞台のような感じである。ランウェイだっけ?


ゲームのナナリーと愉快な森の集団は、皆一緒に参加だ。

ここで問題が。

私も参加しているのだけど、私はナナリーの引き立て役なのだ。

ピンクと黄色のフリフリのドレスに白い蝶の羽の花の妖精のナナリーと

全身ほぼ緑の私。

どっちが目立つかなんて一目瞭然だ。



しかも、パーティの最後に、ヒロインは押しキャラとダンスを踊れる。

好感度上げ絶好のチャンスイベントなのである。



(あ、最後の好感度上げは別にどうでもいいよ。

 同じ部門の好きな人と踊ってください)



私はナナリー達と一緒に参加を回避するために策を巡らせた。

その方法が、衣装の部門チェンジだ。

こちらは、ヴァンパイア集団で全体的に赤と黒だ。

血糊をつかって結構な禍々しさに仕上げるつもりなので、

彼女達と部門はまったくもって合わないのだ! くっくっく。



というわけで、もう3人分の衣装は仕立て済みだ。

もちろん、私のポケットマネーで。



内緒に進めていたので、今日まで誰にも衣装は見せてない。

こそっと、部門だけをマリエラとレヴァンヌに伝えたけどね。


「もう衣装は作成済みですので、当日まで内緒でお願いしますね。

 お二人の寮のお部屋に当日の朝、衣装を届けさせますわ」



「わかった」 「いいだろう」



殿下は新しいイタズラをしているような表情で。

ベリアル様は「皆には内緒」と言う言葉に上機嫌だった。 頬が緩んだ。



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