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白魔法の文献編
167話『援軍到着 1』
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※エミリア視点です。
テスト研修が行われたコルトの街で過ごしてまだ3日、
長い時間を過ごした気がするね。
大成功に終わった炊き出し後、皆が作った料理を堪能し、
現在、私達学生は教会前の広場を片付けている。
始める前より終わった後の片付けのほうが大変だ。
余った食材は全て教会の中に運び、
洗って綺麗にした調理器具は全て花壇前に並べた。
片づけが終わった生徒達は、汗だくの状態だった。
一部の生徒は、ちゃんと着替えを持参していて、
教会の一室を借りて交代で着替えをしている。
私とベリアル様もちゃんと着替えを持ってきていたからね。
汗をふき取り、着替えも済ませたよ。
教会の外に出る頃には、空は茜色に染まっていた。
教会前の大通りから沢山の馬の蹄の音が聞こえる。
お母様とシュゼルツ様が言っていた王都からの援軍が到着したようだ。
王都の援軍達は国の紋章が描かれた旗を掲げ、
一台の豪華な馬車を取り囲んでいた。
豪華な馬車には見覚えがあった。
王家の家紋が施された馬車ってことは、王族が乗っているってことだ。
馬車は、教会の隣にある旅宿の前で泊まる。
宿の前には旗を掲げて道を作るコルトの兵士の姿と、
奥にはお母様が淑女の礼をして、待ち構えていた。
旗を掲げる兵士たちの道を通る金色の髪には見覚えがあった。
私とベリアル様はお互いに顔を見合わせ頷く。
先生に声をかけてお母様の元へ行く旨を伝えた。
「先生。
ベリアル王子と共に、お母様の元へ行っても、よろしいでしょうか?
王家の家紋の施された馬車が見えました。
王族に連なる方がお越しです。
お母様だけでは、お相手は荷が重いかと思います」
「なるほど。
エドワード殿下がお越しの場合は、君が傍にいるといいだろうからね。
君達の事は、皆には私が伝えておこう。
王族との会談が終わったら、中央宿舎まで戻ってきなさい」
私とエドワード殿下との婚約解消の件はまだ公にしていない。
納得の表情の先生に少しだけ罪悪感が湧く。
私は、誤魔化すようにお礼を言って、そそくさとその場を後にした。
旅宿は貸切状態になっていて、騎士達が宿屋を取り囲むように
配置されていた。
騎士達の胸章には王家の紋章とバイゼイン家の紋章も付けている。
という事は、殿下の護衛を買って出たのはバイゼイン家だろうか?
バイゼイン騎士団長を筆頭にした近衛騎士団達は、王国の胸章の隣に、
バイゼイン家の家紋のされた胸章を付けている。
それに、妙に目立つ金色の部分が入った鎧なので一目瞭然だ。
彼達は城や王族を守るのが基本だ。
見栄えの良い格好をするのは当たり前だよね。
本当は、街や街の外を巡回する兵士との違いが分かるようにとの
配慮だった気がするけど。
宿屋に向かって歩く途中、私の肩にとまっているアリエ様が
私の髪の毛で遊びだしている。
ひっぱったり、毛づくろいするような仕草だ。
なんとなく、嫌な予感が私を襲った。
「エミリア」
名前を呼んだベリアル様も不安顔だ。
ベリアル様も嫌な予感を感じとっているのかな?
良く見ると、シェイド様も牙で自分の尻尾をカミカミしている。
それでも、私は進まなきゃ行けない気がして……。
「行きます」
それだけベリアル様に告げて、宿の入口に向かった。
テスト研修が行われたコルトの街で過ごしてまだ3日、
長い時間を過ごした気がするね。
大成功に終わった炊き出し後、皆が作った料理を堪能し、
現在、私達学生は教会前の広場を片付けている。
始める前より終わった後の片付けのほうが大変だ。
余った食材は全て教会の中に運び、
洗って綺麗にした調理器具は全て花壇前に並べた。
片づけが終わった生徒達は、汗だくの状態だった。
一部の生徒は、ちゃんと着替えを持参していて、
教会の一室を借りて交代で着替えをしている。
私とベリアル様もちゃんと着替えを持ってきていたからね。
汗をふき取り、着替えも済ませたよ。
教会の外に出る頃には、空は茜色に染まっていた。
教会前の大通りから沢山の馬の蹄の音が聞こえる。
お母様とシュゼルツ様が言っていた王都からの援軍が到着したようだ。
王都の援軍達は国の紋章が描かれた旗を掲げ、
一台の豪華な馬車を取り囲んでいた。
豪華な馬車には見覚えがあった。
王家の家紋が施された馬車ってことは、王族が乗っているってことだ。
馬車は、教会の隣にある旅宿の前で泊まる。
宿の前には旗を掲げて道を作るコルトの兵士の姿と、
奥にはお母様が淑女の礼をして、待ち構えていた。
旗を掲げる兵士たちの道を通る金色の髪には見覚えがあった。
私とベリアル様はお互いに顔を見合わせ頷く。
先生に声をかけてお母様の元へ行く旨を伝えた。
「先生。
ベリアル王子と共に、お母様の元へ行っても、よろしいでしょうか?
王家の家紋の施された馬車が見えました。
王族に連なる方がお越しです。
お母様だけでは、お相手は荷が重いかと思います」
「なるほど。
エドワード殿下がお越しの場合は、君が傍にいるといいだろうからね。
君達の事は、皆には私が伝えておこう。
王族との会談が終わったら、中央宿舎まで戻ってきなさい」
私とエドワード殿下との婚約解消の件はまだ公にしていない。
納得の表情の先生に少しだけ罪悪感が湧く。
私は、誤魔化すようにお礼を言って、そそくさとその場を後にした。
旅宿は貸切状態になっていて、騎士達が宿屋を取り囲むように
配置されていた。
騎士達の胸章には王家の紋章とバイゼイン家の紋章も付けている。
という事は、殿下の護衛を買って出たのはバイゼイン家だろうか?
バイゼイン騎士団長を筆頭にした近衛騎士団達は、王国の胸章の隣に、
バイゼイン家の家紋のされた胸章を付けている。
それに、妙に目立つ金色の部分が入った鎧なので一目瞭然だ。
彼達は城や王族を守るのが基本だ。
見栄えの良い格好をするのは当たり前だよね。
本当は、街や街の外を巡回する兵士との違いが分かるようにとの
配慮だった気がするけど。
宿屋に向かって歩く途中、私の肩にとまっているアリエ様が
私の髪の毛で遊びだしている。
ひっぱったり、毛づくろいするような仕草だ。
なんとなく、嫌な予感が私を襲った。
「エミリア」
名前を呼んだベリアル様も不安顔だ。
ベリアル様も嫌な予感を感じとっているのかな?
良く見ると、シェイド様も牙で自分の尻尾をカミカミしている。
それでも、私は進まなきゃ行けない気がして……。
「行きます」
それだけベリアル様に告げて、宿の入口に向かった。
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