猛焔滅斬の碧刃龍

ガスト

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1章【王都編】

第52話・狂突と銀槍①

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王都・クローネ、特別訓練場。
ベルトンと同様に、街の外れにあるその訓練場には
ただ、己の肉体と技術のみを道具として、存分に修練を行う場所である。


「いい?ルールはさっき言った通り、3点先取した方が勝ちよ」


僅かに風が吹く、訓練場中心。
ベルトンの3倍もの広さを誇る訓練場のど真ん中で、シルビアは改めて確認を取った。ファリドと銀槍竜の試合を、彼女は審判として見届ける事にしたのだ。


「攻撃は、頭と心臓はダメ。⋯要は、ってコトよ」


殺してはいけない。
そのルールに、シルビアの両側に佇む者達は嗤った。『殺さなければ何をしてもいい』というのが、このルールの本質と理解したからだ。


「⋯一応聞くけど、どれくらいまでがセーフなんだ?」


だが、これはあくまで『試合』という名目。
大いに乗り気であった銀槍竜も、ここで1度踏み留まった。


「心配すんな、銀槍竜ちゃん!死ななきゃオッケーなんだよ!」


しかし、ファリドがそれを強引に引き込む。
『いいこと教えてやる』という前置きの後、彼は王都の冒険者について、1つ話をした。そして⋯⋯


「成程⋯。それなら、心置き無く戦えそうだ」
 
「だろ、だろ、だろ?!さっさと始めようぜ!」


ものの30秒で元人間である銀槍竜を説き伏せてみせた。
話に納得した銀槍竜を見て、ファリドは素早く武器を構える。新品のおもちゃを前にした少年の様に目を輝かせ、彼は自慢の槍を超高速で振り回した。

それはもう、一種の狂気さえ感じさせる迫力。
少なくとも、同じゼクスであるシルビアが、高速で動く槍の正確な位置を把握出来ない速度だった。


「シルちゃーんッ!早くしてくれーッ!!」

「はいはい⋯。アンタは?準備はいい?」


旋風を巻き起こすファリドから、シルビアは首を動かす。
反対方向へ視線を移動させた彼女は、直後に飛び込んできた光景に喉を鳴らした。


「──勿論、万端だぜ。

「⋯素敵ね」


銀 槍。
シルビアの視線の先で、竜は己の武器を無数に展開していた。それも、浮かせた槍を背景に、いつでも始められると言わんばかりの低い構えで。

  
「⋯最後に。何か質問はあるかしら?」
  
「「ない」」
 

煮え滾る溶岩が如く、灼熱の闘気を放つ2匹の雄。
最早待ったなしの状況で、両雄に挟まれるシルビアは胸を高鳴らせた。自身の想像の及ばぬ相手達の衝突と、それを最も近くで見届けられる事に。


「では、2人とも。全力を尽くすように⋯!」

「「⋯⋯⋯⋯⋯」」


──言われるまでもない──


2人は、それを構えと態度で示した。
口角をごく僅かに上げ、槍の回転をピタリと止めるファリド。瞳孔を狭め、全ての銀槍のきっさきを正面の男へ向け直す銀槍竜。

二言は無い。
戦いが始まる。ただ、それだけである。


「「「⋯⋯⋯⋯」」」


風が止んだ訓練場は、不気味な程に静かであった。


「──始めッッ!!!」

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