奇妙な魔術師の放遊録 ~ゆかいな仲間たちは今日も我が道を進む?~

遊爆民。

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第三章 王都への旅路

第八話 足止めされる

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 盗賊の襲撃から三日程で、スイール達はラルナ長河を望む渡し場のある宿場町へと到着した。あれからの道中は、途中ですれ違う旅人や商隊に挨拶しただけで、襲撃もなく平和そのものであった。
 特にヒルダは暇を持て余し気味で、道の外の草を取って冠を編んだり、草笛を作って遊んでいたりと、いつも見せぬ女の子っぽい遊びをしており、意外な一面を見せていた。

「今日は渡し船は終わっちまったんだ。明日にしてくれるかな?」

 乗船場では今日の渡し船が終わったと係員が告げている。運航表を見ても到着した時間ではすでに終わりとなっており、渡し船へと続く通路が閉じられてしまっていた。
 そのうちに窓口にも”本日の運航は終了しました”と看板が掛けられるのだろう。

「ブールの街から出発する船より大きくないか?」
「本当ね。帆柱マストの数も一本多いのかなぁ?」

 渡し船が出ないとわかると、河下りの巨大な船に視線が移ったエゼルバルドとヒルダが、興味深く観察していた。

 二人が驚くのも当然で、ラルナ長河はトルニア王国を流れる河の中で最長をの一千キロを超えており、流域面積も最大なのだ。海の様に広い大河を下るにはそれだけの大きさが必要となる。
 そんな感想が漏れ聞こえるのは至極当たり前なのだ。

 ラルナ長河の河下り船のすぐ横には、渡し船が停泊しているがこれも巨大であった。
 船体上部の左右に手すりが付いているが、全通甲板の形状で、前後からタラップを通って馬車をそのまま乗り降りできる構造だった。
 当然だが帆柱マストが一本も存在しない、巨大なオールで推進力を得るガレー船である。

 そして、二人はもっと船を見ていたいと後ろ髪を引かれる思いをしながら、宿場町へと入って行くスイール達を追うのであった。



「今日は酒場のある宿が良いだろう?」

 ”ちらり”とヴルフに視線を向けてみると、その通りだと力強く頷き返していた。たった数日間だが、少ないお酒を水割りにしながら飲んでいたのだから、浴びるほど飲みたいのだろうと思ったのだ。
 それをさも当然とばかりに頷くのだから、どれだけ酒好きなのかと顔が思わず引きつる思いだった。

 立ち並ぶ酒場を兼ねた宿を見て回るが、あまり変わらないと見て乗船場に一番近いとの理由だけでそこに決めた。入り口を潜ってみれば当たりでも外れでもなさそうで、まずまずだと胸を撫で下ろした。

 宿に入り食堂で起こった話は割愛するが、いつも通りに何杯目かのジョッキを飲み干したところでヴルフが潰れて、スイールとエゼルバルドが介抱しながら部屋へと運ぶ、いつものパターンになっていた。

 ただ、ヴルフが潰れてからだが、不穏な噂がそこにいるすべての耳に届くのだった。誰が噂を流したのか定かではないが、噂じゃないのかと疑う者が殆どである。

 隣国、【スフミ王国】の国境まではこの地より直線で三百五十キロ程である。
 ここトルニア王国の先代の王妃がスフミ王国から嫁いで来たため、同盟よりも一歩進んだ関係を結んでいる。

 その隣国は”王国”と名乗り独立国家となっているが、領土はトルニア王国の七分の一程で国力も十分の一程だ。その為、南に位置する【ディスポラ帝国】から幾度も侵略を受けている。事実、現ディスポラ帝国領土の【バスハーケン】周辺一帯は、元スフミ王国の領土であったのだが、百五十年程前に奪われている。
 そして、国力の低下を補うために、独立路線からトルニア王国庇護へと舵を切ったのがその時である。

 その、スフミ王国を挟んで存在するディスポラ帝国が動き出す可能性があると、噂されていた。
 噂は噂であって事実と異なり、動き出す可能性は低いだろうと結論付ける者もいた。だが、スフミ王国を我が物にする野望を叶える機会であり、事実に近いと異論を唱える者達も一定数存在している事も忘れてはいけない。



 明けて翌朝。
 何食わぬ顔をして食堂に揃っていた三人に、爽やかな顔を見せるヴルフの姿があった。

「おはよう。やはり久しぶりのベッドはいいな。よく眠れたわい」
「やぁ、おはよう。昨日も飲み過ぎで、”グーグー”と鼾をかいていたぞ」

 スイールは肩を”トントン”と叩きエゼルバルドと運ぶのは骨が折れるから眠るまで飲まないでくれと暗に示した。その後に耳元を塞ぐ素振そぶりを見せ鼾が五月蠅いとも示していた。

「いやぁ、面目ない。最近は酒に弱くなったもんだな。減らした方がいいかな?」
「そうだな。ほどほどに減らした方がいいぞ。量もだが飲むテンポもだな」

 何気ない朝のやり取りをしている二人だったが、その内容は確実に若くないのだと認めているようで滑稽に見えた。

「ねぇねぇ、ヴルフさん。昨日ね、酒場で噂になってた事があるんだけど、記憶に残ってます~?」
「ん?何の事だ?」

 ヒルダの問い掛けに、聞き覚えが無いと答える。それもそうだろうなと三人は見合った。

「記憶にないか。ヴルフが鼾をかき始めてから、ディスポラ帝国が動き出す噂があるらしいって酒場が騒然となったのだ」
「そうなのか?帝国には、左腕に矢を受けた悔しい記憶があるが……それだけしか印象にない。それに、今はまだ四月だろ。奴らが動き始めるのは作物の収穫が終わる九月か十月だろう。まだ時間があるから大丈夫だ。それに……」
「それに?」

 唯一戦争に参加したことのあるヴルフが安心させようと説明をする。そして、一度言い淀んだ後に、さらに続ける。

「いや、大したことじゃない」
「そうか?かつての上官だった男が今は軍事を任されている……って重要だと思うが?」
「まぁ、そうだな。あいつがいる限り大丈夫だ」

 数年前の旅行中に海の街アニパレで会った、ヴルフのかつての上司、カルロ。それが今やトルニア王国の将軍職に任じられているのだ。実力や頭の柔軟さを持ち得ているのだ。彼を良く知る者達に”心配か?”と聞く方が無粋だろう。
 過去の戦を反省してるのだ、援軍を派遣し勝利をもたらすだろうとヴルフは信じてやまなかった。



 朝食も終わり宿を出たスイール達は渡し船の乗船場へと向かった。昨日は運航の時間が終わっていた為やむなく一泊したのだが、さすがに今日は河を渡れるだろうと来たのだが、そこには信じられぬ言葉が記されていた……。

「えっと、コレなんて書いてある?」
「本日、運休。……であってるのよね?」

 たエゼルバルドとヒルダは乗船場の乗り込み口近くに掲げられその看板を不思議と眺めていた。何処にも運協の理由が記されていない辺りが怪しく感じるのだが……。

「ふむふむ、夜のうちに状況が変わったのか?河の水位が下がった……訳では無さそうだし、不思議な事もあるんだな」

 乗船場からかすかに望める川面を眺めながらスイールが呟く。
 観察眼には自信があるが、彼の目には事件性のあるものは見えなかった。

「仕方ありませんね。何が起きたか聞いてみましょう」

 その場での考察を諦め、足早に係員のいる乗船券売り場へと足を向けた。

「何時になったら乗れるようになるんだよ!」
「だから、得体の知らないもんがいついてるんだから、わからないんだよ!!」

 乗船券売り場に近づくと、少数の係員と大勢の乗船客が罵り合う声が聞こえて来た。
 押し寄せる乗船客は今すぐにでも渡し船や河下りの船に乗り、先を急ぎたいのであろう。
 だが、乗船客の安全を思えば船を出す訳には行かない。
 それにしても運航できぬ理由があまりにも不鮮明で説明不足である。

 係員の言う、”得体の知れないもん”が何かを説明しなくてはならぬのだが、それが全く出て来ないのであれば運航再開は全く不明なのだろう。

「はぁ……。ここにいても始まりませんね。いったい私たちは何をしたのでしょうか、トラブルばっかりで疲れますね」

 ブールからここまでトラブル続きでスイールはうんざりするが、運が無いと諦めた。

 そして、肩を落としながらスイール達が向かった先が宿場町の中でひときわ目立つ建物の運行管理事務所だ。
 何しろ、河下りの帆船と渡し船の巨大ガレー船を運行し、その乗組員の休憩場所や宿泊所も兼ねているのだ。華美な装飾は無いにしろ巨大であることは変わりない。
 その一階部分に運行管理部があり、中を覗けばせわしなく動く人影が見える。

「こんにちは~」

 入り口を潜りカウンター越しに話し掛ける。国の出張機関となっているだけあり、人員はかなり多い。が、本来そこに座っているはずの受付が見あたらなかった。

「こんにちは~。すみませ~ん」

 再度、大きな声で叫んでみると、スイール達に気付いて”ビシッ”と制服を着こなした初老に片足を入れた紳士が近づき応対をしてくれた。

「申し訳ないが、まだ船は出せないんだ、待っててくれるか?こちらも、いつ再開できるかわからなくて、”バタバタ”してる」
「原因は何ですか?船が運行できないとは何が起こっているのですか?」
「分からんのだよ。朝方、小船が、いや結構大きかったな、それが沈没したんだ、河の中央辺りで。向こうからこっちへ従業員が乗ってたんだが、誰も浮かんでこなかったらしい。原因はまだわからんのだよ。なので、ここにいても無駄だぞ」

 その様に告げると、カウンターから離れて対応を協議している輪の中へと入って行った。
 結局の所、河の中央で原因不明の事故が起きた、そこまでは分かったのだが……。

「河の中間辺りですか。巨大な魚が縄張りを作りにでも来ましたか?如何したものでしょうか……」

 何となく、予想が付くのだが、河の中に巣くう相手では手も足も出ずにお手上げの状態だった。何か手は無いかと考えるのである。

「炎の魔法で沸騰させるとか?」
「出来ない……とは言いませんが、河の魚をすべて茹で上げる気ですか?」

 河を沸騰させて魚を追い払おうとエゼルバルドが提案してきたが、生息している生物の全てを死滅させる気かとそれを却下する。
 それ以前に河全てを沸騰させるほどの炎を生み出すなど出来るはずもなかった。

「雷の魔法でズドーンと!!」
「魚どころか人も全滅させます。駄目です」

 雷の魔法を使い、痺れさせてしまったらとヒルダからの提案を受けたが、近くで見ている野次馬も巻き込む可能性があると彼女の案も即刻却下した。

「魚って言うなら、釣り上げる方法が何かあるんじゃないか?」
「そうですね!釣り上げるしかないでしょう。それしかありません!!」

 ヴルフは調査手法に明るいはずも無く、水の中にいるのなら釣り上げてしまえば食べられるのではないかと思っただけなのだ。
 スイールも彼と同じような事を考えていただけに、その意見を喜んだ。

 とは言え、未知の存在を釣り上げるには、どうすれば良いかと頭をひねるのである。
 そこはスイールでは思いつかぬ案を持ち得ているだろう三人に相談するのである。
 そして、竿は丈夫じゃないと駄目とか、餌は獣の肉が欲しいとか、糸はどうとかといろいろな意見が出て来た。

「そういえば、渡っていた船が沈没したって言ってたよね。何か、縄張りに入れれば良いだけじゃないの?」

 ヒルダが疑問に思った事をただ口にしただけだが、それにピンと来たのか、良いアイデアだと手を打ち鳴らした。

「そうです、そうです!船が来ただけで沈没したのですよ。浮かんでいただけで敵と認識されたのですから、何でもいいのですよ。それなら小さな船とか、氷の塊とか何でも良いのでしょう。なかなか良いアイデアです、早速試してみましょう」

 褒められたヒルダは笑みを浮かべて頭を掻いていた。だが、スイールは褒めた気も無ければ誰に話したのでもなく、自らに言い聞かせただけだった。
 そして、頭を働かせながらいそいそと、上流に向け歩き出した。



 乗船場から五分程の上流にスイール達は来ていた。辺りを見渡して付いてきた三人に向き直る。

「さて、河に巣くう原因を釣り上げる前実験をしますよ。この辺りからから流せば乗船場に流されるくらいで中央に着くはずです。小型の船は無さそうですから、氷の塊を作り、流してみましょう」

 簡単に説明すると、河に向かって手を伸ばし魔力を集め始める。杖の魔石が深い青に変色し、十分に魔力が集まったとみると魔法を発動させた。

「では、氷結フリーズアイス!!」

 見る見るうちに水がブロック状に凍り、氷山の様な直径一メートル程の氷塊が出来上がった。河の水を強引に集めたので濁っているのは仕方ない。

「上手く出来たとおもいます。それでは、エゼルバルドは風魔法で河の真ん中まで押し出してください。ちょっとやそっとの魔法では壊れないはずです」
「りょうか~い!」

 スイールに返事をしてから、氷塊に手を向けて魔力を集めだす。ちょっとやそっとでは壊れないとは言われたが、必要以上に攻撃すれば破壊してしまうのは目に見えている。それならば、威力よりも発動時間を伸ばそうとイメージするのである。

風の弾ウィンドショット!」

 本来、風の弾ウィンドショットは敵に空気の塊を当てる魔法であるが、空気の塊を氷塊に当て続けるイメージで発動させた事により、彼の考えた通りに氷塊が岸を離れ始め、河を進ませることに成功させた。

「成功です!後は、これが縄張りに入った敵と認識してくれるかです」

 勢いをつけた氷塊はゆっくりと川面を進み続ける。河の流れに乗り、十分掛けて氷塊が渡し船の航路の上に流れ着いたのである。
 そして、彼らの実験は野次馬を呼び寄せるのであるが、大勢の前で口をあんぐりと開けて驚くほどの事態が訪れるのであった。

”ジャバジャバジャバジャバジャバ!!”
”ガツガツガツガツガツガツ!!”

 氷塊の周りで白波が立ったかと思ったら、それが引き金となり生物の群れが敵と認識した氷塊に向かって川面を波立てながら攻撃を始めたのである。
 たまに水面から飛び上がる姿が見られた。黒光りする胴体に無数の牙を備えた細長いワニの様な口を持つ、全長三メートル以上もある凶暴な魚が姿を現していた。一匹、二匹だけで無く、数え切れぬほど沢山。

「ありゃ、【ピラゲーター】だな~」

 川岸にいた野次馬の一人で、口と顎に立派な白い髭を蓄えた年寄りが”ボソッ”と呟いた。
 その老人が説明するには、ピラゲーターはワニの様な口を持った獰猛な淡水魚で普段は河口の様な汽水域を好み水底に生息している。生態は分かっておらず、産卵時期も場所も不明であるが、河口では珍味として高値で取引される事もあり、釣り上げる事も可能らしい、が……。

「本来なら汽水域にいるはずなんじゃがの~。しかも群れるなどありえん。ありゃ、釣り上げるのも無理だし、今はお手上げじゃな」

 先ほどの氷塊は、ピラゲーターにより”あっ”という間に小さく砕かれ、川を下って行った。巨大なガレー船であっても、あの群れに入っていくのは溶岩の中に裸で飛び込む程に無謀だとスイール達を含め、野次馬達一同も納得が行った。

 スイール達の実験により、ピラゲーターが縄張りにしている場所は、渡し船の航路上だけであると判明したために、河下りの船はしばらくした後に運航が再開されることになった。

 だが、ピラゲーターがなぜあの場所にいるのかは依然として不明のままであり、渡し船の運航がいつ再開されるかは依然として未定であった。

「おじいさん。お話、ありがとうございます」
「いや、なに、知ってる事を呟いたまでじゃよ」

 スイール達のお礼を受け取ると、その老人は乗船券売り場の方へ消えて行った。

「さて、今後の予定ですが……」

 老人を見送ると、さてどうしようかと四人は顔を見合わせた。
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