54 / 702
第五十四話
しおりを挟む
素材集めでまったくの問題がなかったわけではなかったが無事に帰ってきたクロードは素材を贔屓にしている鍛冶屋に持ち込んでいた。
「クロード様。よくお越しいただきました。本日のご用はなんでしょうか?」
「リザードマンの皮が大量に手に入ったのでそれの加工をお願いします。まずはこちらとこちらの物を一品ずつお願いします」
「承りました。完成したらお屋敷の方へお運びいたします」
「後はこのインゴットで槍と剣をお願いしますね」
「質の良いインゴットですね。これなら良質の武器が作れますよ」
クロードは鍛冶屋の倉庫に素材となるリザードマンの皮とインゴットを置いて帰っていった。
「親方。これはまた大量の素材ですね。忙しいのはいいことですが全部捌くのは大変ですよ」
「御贔屓にしてくださる侯爵家からの依頼だ。幸い2品以外の指定はない。中途半端な仕事をしないようにしつつ全速力で取り組むぞ」
職人達は不眠不休で制作にあたり結果として王室御用達の鍛冶屋の称号を手に入れるのだがそれはまた別の話である。
屋敷に戻ったクロードはいない間に集まっていた薬草で回復薬を作っていた。
育成が難しく作れない薬草もあるが開拓村を中心に薬草畑を大量に増やした結果、採集に出向かなくてもある程度の品質の回復薬を作ることが可能になっていた。
自室では薬草の匂いが付くため今では専用の部屋を与えられておりそこにファールハイト兄様がやってきた。
「やぁ。クロード。武具の素材を集め終わったばかりだというのに勤勉だね」
「僕は与えられた役目を果たそうとしているだけですよ」
「そんなに焦らなくても大丈夫だと思うけどね。少しこっちにきて休まないかい」
「もう少ししたら切りがいいのでそれからで大丈夫ですか?」
「わかった。その間にお茶を入れておこう」
切りのいいところまで作業を進めファールハイト兄様と向かい合って座る。
「お茶請けも用意したからゆっくり食べよう」
机の上にはクッキーが並べられている。
クロードは一つつまんで食べてみる。
「甘くて美味しいです」
「それはよかった」
ファールハイト兄様は優雅に紅茶に口をつける。
自然と会話に上がったのは今のプロミネンス領の状況だ。
「経済がまわって領民の生活の質はあがっているけどそれに伴い問題もまた多く起きてるんだよ」
「それは大変ですね」
「父様は何でも自分で解決しようとするけどそこから仕事を奪うのが僕の役目でね」
ジョークを言うファールハイト兄様と笑いあう。
休憩を終えたクロードはまた回復薬作りに戻ったのだった。
「クロード様。よくお越しいただきました。本日のご用はなんでしょうか?」
「リザードマンの皮が大量に手に入ったのでそれの加工をお願いします。まずはこちらとこちらの物を一品ずつお願いします」
「承りました。完成したらお屋敷の方へお運びいたします」
「後はこのインゴットで槍と剣をお願いしますね」
「質の良いインゴットですね。これなら良質の武器が作れますよ」
クロードは鍛冶屋の倉庫に素材となるリザードマンの皮とインゴットを置いて帰っていった。
「親方。これはまた大量の素材ですね。忙しいのはいいことですが全部捌くのは大変ですよ」
「御贔屓にしてくださる侯爵家からの依頼だ。幸い2品以外の指定はない。中途半端な仕事をしないようにしつつ全速力で取り組むぞ」
職人達は不眠不休で制作にあたり結果として王室御用達の鍛冶屋の称号を手に入れるのだがそれはまた別の話である。
屋敷に戻ったクロードはいない間に集まっていた薬草で回復薬を作っていた。
育成が難しく作れない薬草もあるが開拓村を中心に薬草畑を大量に増やした結果、採集に出向かなくてもある程度の品質の回復薬を作ることが可能になっていた。
自室では薬草の匂いが付くため今では専用の部屋を与えられておりそこにファールハイト兄様がやってきた。
「やぁ。クロード。武具の素材を集め終わったばかりだというのに勤勉だね」
「僕は与えられた役目を果たそうとしているだけですよ」
「そんなに焦らなくても大丈夫だと思うけどね。少しこっちにきて休まないかい」
「もう少ししたら切りがいいのでそれからで大丈夫ですか?」
「わかった。その間にお茶を入れておこう」
切りのいいところまで作業を進めファールハイト兄様と向かい合って座る。
「お茶請けも用意したからゆっくり食べよう」
机の上にはクッキーが並べられている。
クロードは一つつまんで食べてみる。
「甘くて美味しいです」
「それはよかった」
ファールハイト兄様は優雅に紅茶に口をつける。
自然と会話に上がったのは今のプロミネンス領の状況だ。
「経済がまわって領民の生活の質はあがっているけどそれに伴い問題もまた多く起きてるんだよ」
「それは大変ですね」
「父様は何でも自分で解決しようとするけどそこから仕事を奪うのが僕の役目でね」
ジョークを言うファールハイト兄様と笑いあう。
休憩を終えたクロードはまた回復薬作りに戻ったのだった。
549
あなたにおすすめの小説
称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~
しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」
病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?!
女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。
そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!?
そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?!
しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。
異世界転生の王道を行く最強無双劇!!!
ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!!
小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!
最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした
服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜
大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。
目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!
そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。
まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!
魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!
侯爵家三男からはじまる異世界チート冒険録 〜元プログラマー、スキルと現代知識で理想の異世界ライフ満喫中!〜【奨励賞】
のびすけ。
ファンタジー
気づけば侯爵家の三男として異世界に転生していた元プログラマー。
そこはどこか懐かしく、けれど想像以上に自由で――ちょっとだけ危険な世界。
幼い頃、命の危機をきっかけに前世の記憶が蘇り、
“とっておき”のチートで人生を再起動。
剣も魔法も、知識も商才も、全てを武器に少年は静かに準備を進めていく。
そして12歳。ついに彼は“新たなステージ”へと歩み出す。
これは、理想を形にするために動き出した少年の、
少し不思議で、ちょっとだけチートな異世界物語――その始まり。
【なろう掲載】
外れスキルは、レベル1!~異世界転生したのに、外れスキルでした!
武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生したユウトは、十三歳になり成人の儀式を受け神様からスキルを授かった。
しかし、授かったスキルは『レベル1』という聞いたこともないスキルだった。
『ハズレスキルだ!』
同世代の仲間からバカにされるが、ユウトが冒険者として活動を始めると『レベル1』はとんでもないチートスキルだった。ユウトは仲間と一緒にダンジョンを探索し成り上がっていく。
そんなユウトたちに一人の少女た頼み事をする。『お父さんを助けて!』
インターネットで異世界無双!?
kryuaga
ファンタジー
世界アムパトリに転生した青年、南宮虹夜(ミナミヤコウヤ)は女神様にいくつものチート能力を授かった。
その中で彼の目を一番引いたのは〈電脳網接続〉というギフトだ。これを駆使し彼は、ネット通販で日本の製品を仕入れそれを売って大儲けしたり、日本の企業に建物の設計依頼を出して異世界で技術無双をしたりと、やりたい放題の異世界ライフを送るのだった。
これは剣と魔法の異世界アムパトリが、コウヤがもたらした日本文化によって徐々に浸食を受けていく変革の物語です。
スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!
無限に進化を続けて最強に至る
お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。
※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。
改稿したので、しばらくしたら消します
【改稿版】休憩スキルで異世界無双!チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。
ゆう
ファンタジー
剣と魔法の異世界に転生したクリス・レガード。
剣聖を輩出したことのあるレガード家において剣術スキルは必要不可欠だが12歳の儀式で手に入れたスキルは【休憩】だった。
しかしこのスキル、想像していた以上にチートだ。
休憩を使いスキルを強化、更に新しいスキルを獲得できてしまう…
そして強敵と相対する中、クリスは伝説のスキルである覇王を取得する。
ルミナス初代国王が有したスキルである覇王。
その覇王発現は王国の長い歴史の中で悲願だった。
それ以降、クリスを取り巻く環境は目まぐるしく変化していく……
※アルファポリスに投稿した作品の改稿版です。
ホットランキング最高位2位でした。
カクヨムにも別シナリオで掲載。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる