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一章 悪役令嬢のフラグを避けましょう

モナク 2

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『遅いぞこの馬鹿!!!!心配した訳じゃねぇけど早く戻って来るとか出来るだろ!!』

私のベットの上でふんぞり返っている青年。
使用人たちは、本当はモナクがこんなツンデレだなんて知ったら失神するだろうな・・・なんて思いながら適当にあしらった。

「モナク、ちょっと退いて。俺・・・私も座る」
『あ、おう』

と、2人で隣合ってベットに座る。

『で?カプに何かされたか?大丈夫か?』

軽く首を傾げるとサラ、と落ちていく水のように滑らかな白い、腰より下まである長髪。
私のより綺麗な、前世ではその輝きで大勢の部下を魅了した真っ赤な目をぱちぱちと瞬かせる。長く白いまつ毛が美しく揺れた。
浅黒い肌は男の肌と思えない程滑らかで、美しい形をした唇が少し尖る。
控えめに言って(我ながら)凄く美人だと思う。

「ううん、特には。」
『そうか・・・良かったけど、この後運ばれてくる水は銀製のカップに入れてから飲め』
「あぁ、銀って毒に反応するんだっけ?」
『お前が蓄えた知識なのに忘れてどうする』

と、私はその浅黒い肌に手のひらで触れる。

「だって、モナクが覚えててくれるだろ?」
『・・・ふん。』

悪役令嬢にならない為には味方を増やす事が先決だ。
たしか、ヒロインは・・・私が12歳になる時に国に引っ越してくる・・・はず!!(不安)
で、姉達に挨拶しに来る。
その時、悪役令嬢は言うんだ「守護霊を持ってる女が私の前に立たないで!」・・・ん?

「モナク!!」
『どうした?』
「あの乙女ゲーム、ヒロインは守護霊持ってたっけ?」
『あぁ。持ってたな・・・たしか、光の大精霊のリュミエールだったか。大妖精である俺の敵ではないがな』
「待って、原作では悪役令嬢・・・私は守護霊など居なかった!そして、私に守護霊が居ると知っているのは親戚と兄達だけ!!」
『・・・まさか、俺に出てくるなとでも言うのか?』
「頼めないか?」
『嫌だ!』

あ、、、、、、
たまに、モナクは迷子の子供のような顔をする。
泣きそうなのに、怒ってる顔。
私はよく分からないけど、私でもあるモナクの事が分からないなんてあるのかな・・・といつも思っている。
そういや、モナクと分裂してから「イケメン爆ぜろ!」とか「爆発してやる!」とかあんまり思わないかも・・・

『おい、聞いてるかスキアー』
「あ、うん、何?」
『だから、お前に危険が迫ったらすぐに駆け付けるからな!約束しろ!』
「・・・分かった。約束だ、モナク」
『ふん。分かれば良いんだ』

あああああ・・・
我ながらクッソツンデレ可愛い・・・
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