悪役令嬢は元魔王で中身は男です〜魔王の人格と共に処刑を完全回避してみせる!〜

卯月小雛

文字の大きさ
4 / 6
一章 悪役令嬢のフラグを避けましょう

モナク 3

しおりを挟む
モナクside


「さて!!マリアンヌを味方につけねぇと!!ちょっと行ってくるから待っててねモナク!!」

バタバタと、可愛らしいドレスを揺らしながら美しい少女の皮を被った男は出ていった。
白く柔らかい肌に濡羽色の肩下まで伸ばした髪、俺と同じ赤い瞳を思い浮かべる。

『・・・』

俺は前世まではあいつと同じだった。
記憶を持ったまま転生し、あいつは魔王としての別の人格を無意識に創り上げていた。
それが、俺だ。
悪意の塊、なのに変なとこで情けがある。
ツンデレで、部下を魅了する美しさ・・・
そして、この2度目の転生。
俺と、あいつの精神は分裂した。

『そして・・・』

魔王としての俺、日本という国で生きていた俺が別々に存在する事になった。
でも、大妖精になった事で魔王としての俺は完全にあいつとは別人になった。
それで、2度目の転生なんかを経験して俺が居ないあいつの精神が心配で見に来てみれば。
なんとも美しい赤子が居た訳だ。

『スキアーの醜い部分や嫉妬やら悪意やらを根こそぎとはいかねぇが大部分を奪って出来た人が俺・・・かぁ』

魔王だった頃の感覚はスキアーと同じようにある。
覚醒した勇者の真っ白なオーラが眩しい。
目に刺さる。痛い。痛い。痛い。
頭が痛い、胸も痛い。


聖剣で刺された。


多分、今世で光の大精霊などに会ったらあいつは怯えるだろう。
2度目でも、死は死だ。
しかも、1度目の死は痛みを感じること無くぽっくり逝ってるから・・・。
死の恐怖を忘れずに生きるのは辛い。
俺はずるくて、その死への恐怖だけをスキアーに置いて分裂してしまったんだ。

『悪いなぁ・・・スキアー』

その分、お前をしっかり守るから。
中身が男でも関係無い、俺はお前の・・・

『・・・お前の?』

なんだろ?

『・・・まぁ、いっか。』

窓を開け放つと気持ち良い風が舞い込んできた。
そこから無駄に広いベランダに出る。

『久々に力試しでもするか』

両腕を目の前に突き出し、ふっと軽く念を込めると小さな竜巻が現れる。
そのまま大きくしていきたいが、そうすると被害が・・・最悪の場合死人が出るな。
スキアーに害をなすなら殺すけど。

『なら、これだな』

たしか、スキアーが言っていた。
最近、この国は雨が降りにくく水不足らしい。
なのに俺たち貴族や国の重役は美味しい美味しいお水を平らげてる。

『どこの世界でも人間ってのは醜いねぇ』

元魔王だから言える事だが。
と、また両腕に軽く力を込める。
そのまま片手を持ち上げると黒い雲が浮かぶ。

『行け、水の無き村へ。雨を降らせてやれ』

少しでも、スキアーが殺されなくて良いように。
あいつは悪役令嬢なんかじゃない。
もう日本で暮らしていた男でもない。

(とても優しく美しい少女だ)


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

元恋人が届けた、断りたい縁談

待鳥園子
恋愛
シュトルム辺境伯の末娘ソフィに隣国の帝国第二皇子から届けられた『縁談』の使者は、なんと元恋人のジョサイアだった。 手紙ひとつで別れることになったソフィは、素直になれずジョサイアから逃げ回る。 「私に届けなければ、彼は帝国に帰ることが出来ない」 そう思いようやく書状を受け取ろうと決意したソフィに、ジョサイアは何かを言い掛けて!?

悪役令嬢の心変わり

ナナスケ
恋愛
不慮の事故によって20代で命を落としてしまった雨月 夕は乙女ゲーム[聖女の涙]の悪役令嬢に転生してしまっていた。 7歳の誕生日10日前に前世の記憶を取り戻した夕は悪役令嬢、ダリア・クロウリーとして最悪の結末 処刑エンドを回避すべく手始めに婚約者の第2王子との婚約を破棄。 そして、処刑エンドに繋がりそうなルートを回避すべく奮闘する勘違いラブロマンス! カッコイイ系主人公が男社会と自分に仇なす者たちを斬るっ!

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

【完結】ハメられて追放された悪役令嬢ですが、爬虫類好きな私はドラゴンだってサイコーです。

美杉日和。(旧美杉。)
恋愛
 やってもいない罪を被せられ、公爵令嬢だったルナティアは断罪される。  王太子であった婚約者も親友であったサーシャに盗られ、家族からも見捨てられてしまった。  教会に生涯幽閉となる手前で、幼馴染である宰相の手腕により獣人の王であるドラゴンの元へ嫁がされることに。  惨めだとあざ笑うサーシャたちを無視し、悲嘆にくれるように見えたルナティアだが、実は大の爬虫類好きだった。  簡単に裏切る人になんてもう未練はない。  むしろ自分の好きなモノたちに囲まれている方が幸せデス。

大好きな婚約者に「距離を置こう」と言われました

ミズメ
恋愛
 感情表現が乏しいせいで""氷鉄令嬢""と呼ばれている侯爵令嬢のフェリシアは、婚約者のアーサー殿下に唐突に距離を置くことを告げられる。  これは婚約破棄の危機――そう思ったフェリシアは色々と自分磨きに励むけれど、なぜだか上手くいかない。  とある夜会で、アーサーの隣に見知らぬ金髪の令嬢がいたという話を聞いてしまって……!?  重すぎる愛が故に婚約者に接近することができないアーサーと、なんとしても距離を縮めたいフェリシアの接近禁止の婚約騒動。 ○カクヨム、小説家になろうさまにも掲載/全部書き終えてます

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】

皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」 「っ――――!!」 「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」 クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。 ****** ・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

処理中です...