好きなんです!

はるの美羽都

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バカな俺 (朱乃 奏視点)

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    はぁ……やってしまった。
せっかく、華夜はなやと一緒に帰れたのに。
なんで俺は素直に話せないんだろうか。
どうして思っていることと、反対のことを言ってしまうんだろう……
今日は、アイツら(双木なみき誠歩まさと)のはからいで、こうして華夜と一緒に帰れているのに。
なんで、あんな酷いことしか出てこないんだ……!?
「本当は、告白すげー嬉しい」って伝えたいのに───

「で、どうだった?」
「何が?」
「何が?って……華夜さんと一緒に帰ったんだろ?連絡先ぐらいは、交換した?」
今はその話すんなよ、と本気で思った。
「……」
「えっ」
「うるせー」
「マジで!?何してんだよ、お前!せっかくのチャンスを……」
「俺も悔しいんだよ!こんな、性格だからさ……!」
「やっぱり、俺からそれとなく伝えとこうか?華夜さんとは委員、一緒だし話せるしさ」
「……いや、頑張る」
「大丈夫か?」
「おう……」
もし、次も駄目ならその時はお前に頼むから、もう一回頑張りたいと言うと
「分かった!双木さんと考えるから」
と言ってくれた。本当に良い友を持ったと、我ながら思う。

そして、また別の日の放課後。
俺は今、華夜と一緒に下校している。
俺と華夜が一緒に帰る時は、いつも遅めだ。
冷やかされないように、出来るだけバレないように細心の注意を払って。
「あの……」
「な、なんだ」
「私のこと、嫌いなのに……どう」
「嫌いじゃねぇよ」
「えっ」
「嫌いなら、一緒に帰んねーだろ普通」
「あっ、そ、そっか……そうだ、よね」
華夜は不安そうにビクビクしながらも、俺に言葉をつむいでくれる。
「あのさ」
「は、はいっ!」
「連絡先」
「へっ?」
「連絡先……教えろ」
今の俺の顔は、トマトやリンゴみたいに真っ赤なんだろう。
それぐらい、顔が熱いのが自分でもよく分かる。
“顔から火が出るほど恥ずかしい”とは、まさにこのことだなと身を持って知った。
「えっと……」
迷惑だったか。今更、連絡先を教えて欲しいなんて、どういう神経してんだ?って思われたかな。
「あっ、これ……私の、連絡先です」
ビクビクしながら、LINEのIDを教えてくれた。
確認して、無事に登録完了。
「さんきゅ」
「あ、うん……!」
今日は何とか、途中まで一緒に帰ることが出来た。
連絡先も知れたし、一歩前進だな!
後々、思ったことだけど「連絡先、教えろ」って言い方、悪かったよな……
何か偉そうに聞こえたもんな……
ということで今日も、俺の塩ツン対応は健在でした。
はぁ……何とか少しでも、話しやすい雰囲気にしないと。


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