許婚様は私がお好きらしい。

はるの美羽都

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今更ではありますが

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   改めて私、桜川さくらかわ  綺羅きらは許婚の篠目しのめ  りょうさんと婚約いたしました。
そして、今更ではありますが私と怜さんはスマートフォンというものを購入し、LINEという連絡手段を手に入れ、連絡先を交換しました。
「まぁ……!指1本で、こんな……」
「おぉ、画期的なシステムだな……」
今まで、自宅の電話の子機を使ったりお手紙で雑談や連絡を取っていたので、二人きりで密に連絡を取り合うことは滅多になかったのです。
「これで、メールやらメッセージのやり取りやらが出来るのですね!」
「あぁ、そうだな。あっ、メールのアドレスも教えてくれ」
「分かりました!アドレスは、こちらです」
両親は仕事上、数年前から既にスマートフォンを持っていましたが私には「早い」と言って、なかなかスマートフォンを持つ許可が降りませんでした。
しかし、許婚様の説得により「流石に持たせないと不便」という判断で、とうとう!遂に私と許婚様は、個人の連絡ツールを持てることになったのです!
大勝利ですわ!これは、素晴らしき記念日になりました!
「さく……」
「何でしょう?怜さん」
「ぐっ……き、綺羅」
「はい、怜さん♪」
「これで、ようやく気兼ねなく連絡が取れるな」
「えぇ!動画やゲームも出来ますわね」
「もう、これでメイドや執事たちに聞かれることはないな!」
「そうですわ!私たちは自由を手に入れたんです!」
私たちはあまりの嬉しさに興奮し、感極まってしまいましたわ。
とりあえず、帰宅することにして連絡を取りながら、アプリやらアイコンやらの勉強をしていました。
どこをどのように押せば、そうなるのか。
どうすれば、こうなるのかとあれこれ苦戦していました。
それからは、片時もスマートフォンを離したくなくて、手元に置いてばかり。
分からないことがあれば友達に聞いたり、既にスマートフォンを持っているメイドたちに聞いたりして、何とか使えているという状況ですわ。
許婚様を側で感じられる気がして、スマートフォンを離したくないのです。
許婚様から来たメッセージに、少しでも早く返事をしたくて一生懸命に操作方法を覚えて、メッセージを打って送信しています。
LINEの通知音というのでしょうか、通知を知らせてくれる音を聞くと、とても嬉しくて胸がおどりますわ!
いそいそと、メッセージの内容を確認して返信する───
スマートフォンに慣れている方にとっては、なんてないことでも私からすれば、慣れるまで毎回ドキドキですわ。
通知音にテンションが上がり、返信してから許婚様から来るメッセージが待ち遠しく感じたり……
これって、つまり……あの有名な“スマホ依存症”というものなのかしら!?
本当、スマートフォンにハマると危険ですわね……
だから、お父様もお母様も私がスマートフォンを持つことに反対されてきたのでしょうか。
スマートフォンを持った今なら、何だか分かった気がしましたわ。
それでも、楽しいものです。スマートフォンさえあれば、検索も暇潰しも勉強も仕事も、何でも出来ます。
本当にスマートフォンは魔法みたいなので、研究して開発した方にお礼を申しあげたいぐらいですわ!
本当、指1本で操作もメールも何でも出来ちゃうなんて……!もう、すごいとしか言いようがありませんわ。
これで私はようやく、自由を手に入れました!




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