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麗華さんのバレンタインデー
しおりを挟む学校に着いて自分のクラスに入ると、既に麗華さんが来ておりました。
「ごきげんよう、麗華さん!」
「あら、ごきげん……そんなにたくさん」
「はい!これで当分、チョコレートに困ることはありませんわ!」
と、ホクホクした気持ちでニコニコして答えると
「幸せそうで何よりですこと」
と一言だけ言って、机に向かってしまいました。
「あの、麗華さん。チョコレートと手紙は、持って来ましたの?」
「えっ、えぇ。ちゃんと持ってきたわよ」
「それなら良かったです!今日は近くの神社で麗華さんの為に、お参りしてお願いしてきましたの!」
「はぁ!?」
「長年の片想いが、ようやく報われることを祈って」
「何よ、仰々しい……」
「私にとっては、仰々しいことですわ!」
麗華さんが、ずっと胸に閉まっていた片想い。
今日こそは、叶って欲しい。
好きな人と付き合えることは、とても温かくて幸せな気持ちになるんだってことを、知っていただきたいですわ。
「分かったわよ……ありがと」
「はい!」
「サッと渡して、サッと帰るわ」
「えぇ!?いやいや、少しぐらいはお話されてもよいのでは……」
「無理よ、恥ずかしいわ!二人きりだなんて、とても耐えられないし!!」
「そ、そうですわよね……」
もっとお話ししたかったのだけれど、チャイムが鳴ったので私は自分の席に戻ることにしました。
そして、放課後───
許婚様の計らいで、生徒会室をお貸しすることになりました。
「生徒会室なら、他の生徒たちに聞かれることもないだろう。生徒会長の特権を、まさかこの形で実現することになるとはな……」
「陰ながら応援しておりますわ!」
「二人とも……その、ありがと」
「礼を言われる筋合いはない」
「許婚様も、応援していらっしゃるのです!」
「本当にありがとう。じゃあ、お借りするわね」
生徒会室の鍵を渡して、私たちは退散。
誠に勝手ながら密かに陰から、お二人のことを見守らせていただきますわ!
「上手くいくといいな」
「えぇ!」
許婚様と小声でコソコソ話ながら、巧幡くんが来るのを待っていました。
すると、しばらくして───
「あっ、来たぞ……!」
「本当ですわ」
巧幡くんが生徒会室に入っていくのを、しかと見届けました。
後は麗華さんか、巧幡くんが出てきて反応を確認するのみ。
「何だか、こちらがドキドキしてきましたわ……」
「あぁ、確かにそうだな」
この日ばかりは、お二人とも素直になって気持ちを伝え合っていただきたいですわ……!
―――あれから、30分が経過しております。
「まだなのか、アイツら」
「そうですわね……」
未だに出てくる気配がありません。どうされたのでしょうか?
「もしかして、仲良くお二人でチョコレートわを食べていらっしゃるとか……」
「いや、それは有り得ないだろう」
「では、何でしょうか」
「まさか……ずっと黙っている、とか?」
「えぇ!?」
でも確かにお二人なら、その可能性もなきにしもあらずですわね……
「もし、そうだった場合はどうすれば……」
「うーん……そうだな。方法か……」
と二人で考えていると生徒会室のドアが開き、静かに麗華さんが出て来ました。
「あっ!」
「出てきた……」
私と許婚様は、思わず体から身を乗り出してしまいました。
「なっ!?」
一瞬、びっくりした様子の麗華さんでしたが、恥ずかしそうにピースサインを出してくださいました!
「キャーーー!おめでとうございます、麗華さん!!」
「おい……バカ!」
小声で許婚様に怒られましたが、そんなことはどうでもよいのです。
麗華さんの長年の片想いが実り、晴れて両想いになったのです!
これほど嬉しいことはありませんわ!
今日の出来事は、ずっとずっと……忘れないことでしょう。
とても素敵な想い出になりましたわね。麗華さん……!
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