王道学園と、平凡と見せかけた非凡

壱稀

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10話

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『哀留って、意外に表情や感情が豊よね。』

『意外ってなんだよ』

『だからかな?キレると変わるわよね』

『意外って所はスルーか(笑)てか、変わるか?キレてるってのが滅多にないし、自分じゃようわからんわ』

『変わる変わる。表情が、ごっそりと無くなるのよね~。』

『無表情でキレるのか(笑)…なんか格好いいな』

『格好いいかは、別にして。普段は人畜無害な平凡がキレると、怖いよねって話し―………

ギャップ萌え!!!!!』


『結局そこかい!!』




脳裏で、哀奈との会話が面白おかしくリピートされた。


うん。

こんな事を思い出してるって事は多分、俺は今キレているんだろうな。


ふふふふふ。
すっげぇ頭の中がクリアだ。今の俺なら何でも出来ちゃうぜ~★





犀利 空side



本当、唯ちゃんは楽しい。

怒ったり、笑ったり、泣いたり、感情がコロコロ変わるから見てて飽きない。


僕達双子を一瞬で見破って、
「双子でも、空と海は別々の人間だろ!!」
って、いつも見分けがつかず一緒くたにされていた僕達を、個人として見てくれた。

本当に、唯ちゃんは楽しい。



















ぷくくっ(笑)

あはははははは!!!!!!!





「空と海は別々だ!」だって。
そりゃそうでしょうよ(笑)双子だろうが、それぞれに意志はあるんだよ。

双子で一卵性。見分けがつかぬほど同じだと「2人は1人」って考えられて、個々として見られなくなるり、そこに寂しさや憤りを感じる―……?まぁ。双子の考え方は色々だろうけど。


僕達は違う。


普通に見分けをつけてくれる友人は居るし、僕達それぞれ自由にしてるし。

合わせて喋ったりしているのは、未だに見分けが付かなかったり、一卵性ってのに変な偏見を持ってる奴らへのお遊びみたいな?


それと唯ちゃんみたいな、「お前達はちゃんと別々の人間だ。俺だけはちゃんと理解してるから!」ってな、自己満的な反応が楽しくて。


超飽きない子だよね。


だから、唯ちゃんは僕らのお気に入り!



そんな唯ちゃんと、唯ちゃんにベッタリな奴らと一緒に2階席に上がってきた、一般生徒君。

確か名前が「ヘイ」?
唯ちゃんがそう呼んでたけど。


なんだろ?普通の子みたいだけど、なんで連れてきたんだろ??んで。今唯ちゃん達は、なにやら三浦先輩の話をしている。


あ―……
そっか。
三浦先輩、今部屋に籠もってるんだっけ。


会長である藤谷先輩が入院してから、三浦先輩は生徒会室に姿を出さなくなった。

まぁ、しょうがないよね。どんどん溜まってく仕事も、今は三浦先輩しか処理してないし。

僕達もたま――に書類に手を着けるけど、今は唯ちゃんと居る方が楽しいしね。


ん?


「何、海?」


くいくいっと、周りに気づかれないように海が僕の袖を引っ張った。

「あれ」と視線で示された先には、ヘイ君が居た。






あれ?

凄い無表情なんだけど…


一瞬ギクリと固まる。
その無表情さが怖かった。



思わず、海と肩を寄せ合いジッと様子を伺う…と、その時―……


食堂に、悲鳴という爆音が響いた。




犀利 空side  end



哀留side 


きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!




「あっれぇ~?生徒会とは名ばかりの皆さん、お揃いで何やってのぉ?」




………んん?

なんか、緩い聞き覚えのある声が聞こえた。
冷めた頭で記憶を辿る。

ま、……辿る程でもなかったな。


この声はアイツしかいない。


「!!岸沼!?」

そう、誰かが叫んだ。


チラッと見ると、1階から2階へと上がる階段を登り切り、手摺に寄りかかる美形―………円が居た。


口元ににやにやと笑みを浮かべている円に対し、他の奴らの表情が警戒するように歪んだ。


逆に。
俺の表情は、だらんっとやる気ない物に戻る。

あ――…………萎えた。


円の登場により、先程までの怒りが一気に降下。
拍子抜けってなかんじに冷めた―。

結局、シリアスヴァージョン突入しなかったし。
前回の前振り、なんやねん!!
とかって、脳内でエアー突っ込み(ど突き)なんぞをやってみる…


………なんか虚しい。


そんな影を背負う俺をよそに、


「…貴方のような者が、ワザワザ何のようですか!?まさか食事をしに来た訳ではないでしょう?」

皆無言だった中、副会長の緊張と拒絶する声が響いた。

…………

おっと、こちらはシリアスモードだったか。
失敬!


副会長の言葉に笑みを深くする円。


「あっは。当たり前じゃん~。食堂で騒ぎがあったからって、俺達はお仕事しに来たわけぇ。ね!」


そう言いながら円が視線と声を後ろに向けると、そこには




「無能なクセに自分達の影響も考えずに、随分と場をかき回したらしいな」



おっと――…
鬼が来なすった。


我等が風紀副委員長、蓮さんのご登場です。


はい!拍手!!!


脳内で拍手喝采をしたら、一瞬で見つけられてヤーさんの如く睨まれました。


『何してんだお前は』

『僕は無実です』

『有害だろ』

『ヒドイ!俺、害虫チガウアルヨ!!』

『殺虫してやるよ。それと……後で覚えてろよ』

『忘れます』


…………


この会話は、俺と蓮が目で会話した内容です。

ふふふ。
凄いでしょう!
なんやかんやと、5年程友人してるからね!
目での会話なんてお茶の子さいさいさ☆だが、ここで敢えて言おう!!!


そんな特技いらん!!と!



なんのメリットもないわ!!!!!
ただ、後がコワイだけだわ!!!!!!


俺が1人でうんうん唸っている間、蓮の登場によりその場は威圧感で張り詰めていた。


が。
そんな空気をぶち壊すのは、勿論この方っ!!

「なぁなぁなぁ!!!!名前なんて言うんだ!!?俺、如月 唯って言うんだ!唯って呼んでくれよ!!2人共、すっげぇ格好いいな!!!!!!俺と友達になろうぜ!!」


小猿くんでっす!

小猿くんは、円と蓮の登場に一瞬ぽかんとしてたみたいだけど、美形2人を見てテンションが上がったらしく、元気はつらつ&人懐っこそうにしながら2人に近寄っていった。


「ヲイ!唯!!」

不良君が素早く小猿くんの腕を掴み止める。


「何だよ晃!!離せよ!」


「駄目だ!あの2人には関わるな!!」


小猿くんに晃(コウ)と呼ばれた不良君。
何やら顔色が悪い。


……ここで、哀留探偵の推測によると。

恐らく不良君は、以前風紀に厄介になるような何かをした事があり、あの2人のSっぷりを体験してしまったため、怯えているのでは?!
だから、大事な小猿くんを近づかせたくないんだろう。
健気だねぇ~


が、

「なんでそんな意地悪を言うんだよ!?それに、そんな言い方じゃ2人を差別しているじゃないか!!そういう壁を作るから、あいつ等は孤立するんだぞ!?俺は、あいつ等がどんな奴だろうが友達になるんだ!俺が親友になって、孤独な2人と周りの壁を壊してやる!!」

「!ゆ、唯…」

自分の意見を聞いてくれない小猿くんに哀しげな声を出す、不良君。

「「「「唯(ちゃん)」」」」

何やら複雑な表情をする、会計と双子と爽やか君。

「唯…なんて君は心が美ししいんですか。」

どんな者にも手を差し伸べようとする小猿くんに感極まった、副会長。




「え――――……ないわぁ―」

「………」

今回小猿くんと初対面して。人伝に話を聞く以上のぶっ飛びように笑顔と無表情でイラつく、円と蓮。



「っ―………ぐふふふっっ………ブッげほっけほっ!!!!」



そんな円と蓮にコッソリと親指を立てて爆笑してる、俺。

やっべ、大声で爆笑したい…!!!
それを我慢したら咳き込んだ。
その咳き込みすら笑える(笑)だって、小猿くんの言い方だと…


「蓮と円が周りから差別されて孤立してて可哀想だから、そんな2人を助けてやるよ!」


…的な?



あの蓮と円が、孤立?孤独?可哀想??




ぶっははははははははははははははははは!!!!!!!!!!!!!!!!!
どうやったらそんな思考になるわけ?!
あ――笑いすぎて腹イテェ。


周りの状況や反応なんてなんのその、小猿くんは更に2人に詰め寄り「大丈夫!俺が側に居てやるからな!」とか「俺だけは2人の味方だからな!」とか力説しています。


それに対し、「唯を拐かすな風紀!!」とか「唯ちゃんは、俺のだからぁ渡さないよ~!」とか、何故か風紀が小猿くんを取る前提で牽制する、小猿くん信者達。

「…マジ何言ってんだこの宇宙人と無能共。頭いかれてんの?かち割ってやろぉかぁ―…」

瞳孔が開いて、何やら不気味に笑む円。


「止めろ岸沼。かち割った後の、後始末がメンドクセェ。どうせなら………埋めろ」

真面目な顔で、犯罪を勧める蓮。


何やら、色んな意味での修羅場になった。



ご愁傷様でっす!!(笑)


このままここで、この蓮と円の哀れな状況を見て居たい所だが……この混乱に乗じて、俺は去る事にします!

だってぇ~、さっきから逃げるタイミングをことごとく邪魔されてるんだよー?今のこの微妙な空気の中なら、気配を消して逃げれる!
誰も俺の事なんて気にしないって。


蓮と円を生け贄にして逃げるぜ、俺は!!
え、良心?


ナニソレ、美味しいの??


てなわけで、アデュー☆


バチコーンとウィンクを飛ばして、スッとその場から離脱。
蓮と円を盾にしながら階段を降りようとしたら、流石に2人から凄まじい殺気を向けられたが、ここで俺に声をかけてくる事はなかった。

こんなタイミングで俺と2人が関わりあるってバレる訳にもいかないし、殺気を飛ばしながらも2人は俺が逃げることを理解してくれている。

良い奴らだ…!!!
こんな良い奴らを犠牲にして俺だけ逃げるだなんて、心が痛んだ―……………………気がした。


今は知るかぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!


それに逃げる事を理解していようが、キレてる事には変わりない!
それとこれは別だろう。お前ら!!!!
俺が、今までどんだけ苦労したか知ってんのか!??

なんか訳が分からないまま巻き込まれて、騒音被害と心身にダーメジを受けて悩まされてたんだぞ!!


逃げたって良いじゃないか!!


俺は悲劇のヒロインの如く心の中で涙を流し、食堂から飛び出した。


蓮!円!
お前達の雄志は忘れない!生きていたら、また会おう。

その為にも、俺はお前達の雄志を後世に伝える義務がある。

そう――………




せっちゃんとカナたんとひぃりんに、お前達が実は孤独で孤立しててロンリーな奴らだったと言う事実を伝える!!
そして、小猿くんが2人の親友になった事を――……………




面白おかしく語る義務があるんだ!!!!!!!
授業?
はっ。そんなもの後だよワトソン君。



俺は一旦、ピタリと足を止めて食堂へ向かって合掌する。



成仏しろよ☆



さぁ!いざ、風紀室へ!
3人に、風紀室に集まるようにメールを送る。

そして、俺は猛ダッシュ!!


え、だって蓮達が帰還したらどうすんの。

俺ボッコボコの説教コースじゃん?


そうなる前に、風紀室に行き3人に笑い話をするんだい!



ひゃっほ―い!



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