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14話

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生徒会長が、まさかの入院3ヶ月……


これで暫くは奴らを表立って止める者が居なくなり、この状況が今まで以上に酷くなる未来は、誰もが想像できることだった―……



こうなったら、情報収集とか。


奴らが小猿くんから離れるのを待ってる、とか。


小猿くんが人間になるのを待ってる、とか。


今問題を起こしている奴らが神隠しにあうのを期待して待っている、とか。


もう、いっそのこと学園爆発しろ……とか。



もう、そんなのを待っている暇はない!!


行動を起こせよ、俺!

大丈夫!!
俺、出きる子!!


だって、風紀委員長だもん。
これでも、偉いんだもん!!


……た、多分きっと!



てな訳でさくさくっと行動しましょう!
俺はすくっと立ち上がり、この室内で存在感バリバリである、風紀委員長の席に近づく。
そして、その机に寄りかかりながらソファーに座る皆を見回した。



「さて、諸君!ついに俺達が表舞台に立つ時が来た」


この時の俺は、高揚していた。
だって、だってさ!
皆、嬉しそうな顔してんだよ!?


蓮も、円も、せっちゃんも、カナたんも、ひぃりんも!


皆、「やっと暴れられる」って「奴らを埋めれる」って、スッゴイ素敵な表情をしてんだよ!?




…………………あれ?



「奴らを埋めれる」で、素敵な表情って良いのか???



ま、いっか。



「まず今やるべき事は、俺の存在を全校生徒に知らすことだ」


今まで風紀委員は、委員長の存在を明かしていなかった。てか、蓮と円以外知らなかったし。


今まではその穴を副委員長である蓮が補っていたが……いくら蓮が優秀であっても、やはり「委員長」と「副委員長」での使える権力の差はあるのだ。


そこで、「委員長」である俺が表舞台に出て「委員長」である立場の力を使えば…今まで出来なかった事も、出きるようになる。



その第一に、生徒会への牽制。



元々、生徒会と風紀は対等な関係である。


だが、今までは「風紀委員長」が不在だった為、どうしても生徒会の方が立場は上になっていた。


そのため。生徒会の役員達も、風紀を下に見ている為……今の状況をいくら警告しようが、聞く耳を持たなかったのだ。


だが、これからは違う。


「生徒会長不在の今、風紀委員長である俺に勝てる者は居ない。つまりは、俺の天下だ!!!!!!」


ってな事になる。


そんな状況がなんだか楽しくなって、フハハハと高笑いをしつつ「頭が高い、控えおろう!!!!」って調子こいたら、案の定なんか顔面にぶっ飛んできました。


さ―せん。


「…つまり、これからはあの無能な方達から『委員長不在』だからと見下されず、ビシバシ精神的に追い詰める指導が出きるって事ですね?」


はい、そうです。

ですが―…

「なんかカナたんくr「なんかいいましたか?」いいえ、独り言です!!」


ふぃー。
口は災いの元だぜっ(バチコーン)


「でぇ?肝心なぁ哀ちゃん御披露目ってぇ、どうするのぉ?派手にやらないと意味ないよねぇ?」


ん?


「あぁ、そうだな。こんなド平凡、「風紀委員長」と言った所で誰も覚えないからな」


んん?


「『覚えない』じゃなくて、『覚えらんない』じゃねぇか?こんな顔、特徴もないからすぐ忘れるぞ」


んんん?


「いっそのこと整形しますか……?」


んんんnげふげふっ!
「ん」ばっかり言い過ぎてむせた。


てかヲイ、コラ。


何さっきから失礼な事を、真顔で話あってんだね?君達はっっ!!!!



俺の存在がインパクト薄いだって?

そりゃ、平凡ですから?
変えられない事実ですが、なにか??!



「てめぇら平凡を悪く言うな!!!!喧嘩売ってんなら買うぞおらぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」


え、宣戦布告ですか?


奴らとやり合う前に、お前らをギッタギタにしてやんよ?そんな意味あいを込めて、仁王立ちしつつ皆を見下ろし叫ぶ。


10個の目が俺を見つめ………いや、凝視している。



………………





「生意気言って、すいまっせんでした」



三つ指ついて、深々と土下座したのはしょうがない。

うむ。
お主等の視線に、俺のピュアなハートが耐えきれなかったのだよ!


そんな俺を見て、呆れたため息を吐くカナたん。


オロオロしているひぃりんと、「哀ちゃんいきなり変なのぉ~」とケラケラ笑う円。


虫を見るような視線を向けてくる、蓮。


カシャカシャと、笑いながらまたもや写メるせっちゃん。


ちょ…!!!
おま、どんだけ虐めっこなんだよ!!
これ以上、俺を虐めて何がしたいんだ!?平凡虐待反対!!!!!!


どうやって、いじめっ子せっちゃんに対して裁判を起こそうかと、正座のまま思案を始めたら……前髪をグイッと掴み上げられた。


え!?痛い痛い!何これ!??


「ちょちょ!!!??」

「蝶々?」


そんなボケはいらん円!!!!!!


「痛い痛い!!抜ける!禿げる禿げる!前髪から禿げるのは嫌だぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」



「突っ込み所はそこか、ヲイ」


がっちりと掴まれた前髪……そりゃ、まずそこを気にするだろうが!!

俺が叫び喚いていると、すごく自然に犯人から突っ込みを入れられた。

え?それ(犯人)は誰だって?
そりゃ、あなた……



蓮様よ!





俺に、こんな精神的(禿げる心配)・肉体的暴力をするのはコイツしかいない…!!!!

「ちょ、おま、一体なんなわけ?!俺から存在感と髪を奪うのが、お前の生きがいなのか!!?」


そんなんだったら、お前とは絶交だかんな!


「…そんな生きがいイラン。その、すぐ本題から脱線する思考回路をどうにかしろ」


………すっごい長いため息を吐きながら、前髪を離してくれました。


すぐさま、前髪と頭皮をいたわる。

部屋に帰ったら、頭皮マッサージしてやるからな!


頭皮と妄想という名の会話をしていると、真剣な眼差しの蓮と目があった。


「……はぁ。あのな、よく聞け」


「あい」

おっとっと。
どうやら真面目な話らしい。


「お前を「風紀委員長」として全校生徒・教師に言うのは簡単だ。放送でも何でもかければ良いからな」

まぁ、そうだろな。

「が、ここからだ。お前の名を言った所で、誰もお前の顔を知らない。つまりは、「風紀」とお前の繋がりが周りには分からない………そこが、やっかいだ」


グッと眉間にシワを入れる蓮。本当、めんどくさそうだ。
その蓮の続きを、カナたんが引き継ぐ。


「今までとは別に、あなたと私達の接触が必然的に多くなります。しかも、公の場で。私達風紀は、あなたを「委員長」として分かっているから接触しますが……周りはそうはいかないでしょう」


……―あぁ、わかった。


「つまり。俺がこれから普通にカナたん達風紀委員達と関わる事で、周りから非難を浴びるって事か―…?良いとこ陰口、下手したら制裁と暴力?」


表情はそれぞれだが、皆深く頷いた。



「風紀委員長」と、俺の名・桐生 哀留と学園内に知らした所で、俺の顔と名前を合致して全校生徒に認識してもらわねば意味がない。


…例えば。
蓮と一緒に居るところを見られたとする。
周りからしたら、憧れの風紀副委員長様に近づく平凡、「キィィィィィィ――!!!!!」って事態になり、俺はあれよあれよと制裁コースにご案内になるだろう。


つまり。
これから公に行動しようとしている俺にとって、全校生徒・教師に顔を覚えてもらわねばいけないって事だ。
命の危機だ。


だから、さっき「誰も覚えない」とか「整形」って言ってたのか―……



しゃーないわな(納得)



「んでも、まじどうすよ。俺、絶対埋もれる顔と存在感だぜ?」

あ、埋もれるってのは「大勢居る中に埋もれる顔」って意味ね?

土の中に埋もれるわけじゃないからね?
期待しても埋められないからね!??


ううむ………
何か考えねば。
俺の印象を周りに強く与える、インパクトがある何か……………

俺が一人唸りながら考えている間に、蓮達も提案をだす。


「…そこなんだよな。いっそのこと、デカデカと名札でもつけるか?」

「…風紀委員長ってっすか?」

「ぷっ。ダッセェ!!!」

「えぇ―でもぉダサくとも、哀ちゃんの役職がすぐ分かるようにしとかないとぉ、本当にまずいよぉ?俺達が一緒に居るときは居いけどぉ、一人になったら絶対リンチされちゃうよぉ。」


「まぁ、教室では私が居るから良いとしまして……それでも正直、ずっと一緒に居れる訳でもありませんしね…。やはり、生徒達に顔を覚えてもらわねば」

そうなんだよな。
君達美形ならば、そんな悩まなくとも良い案件なんだろが―……


すいませんねっっ!!!!!!





………あれ?




「でもさ、例え俺が委員長って覚えてもらったとしても、"このどこにでも居るいち生徒"がお前ら美形集団に囲まれ、生徒会長と同じ権力を持つ位置に居るってのさ――……

それ事態を気にくわない奴らって、居るよな?」


てか、ぜっっっっっったい居るだろうよ。


親衛隊とか、親衛隊じゃなくとも気にくわないって思う奴らは出てくると思う。



「そしたら、顔覚えてもらう云々。
意味なくね??」



「「「「「………」」」」」



「……………あれ?俺って、どう転んでもリンチご案内系??」


「「「「「…………………………ドンマイ!!」」」」」


「え、何その投げやり感!!?ちょ、人でなし!!!!!!最後まで助けようよ!俺、皆に愛される委員長サマだよ!??偉いんだよ!?

………み……見捨てないでぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!!!」


あからさまにテンションが低くなった奴らに恨めしげに叫びながら、おぃおぃとひぃりんの足にしがみついて更に嘆く。


すると、

「み、見捨てるだなんて!!!!!大丈夫っすよ!先輩の事は、絶対俺達が守りますから!!」

一生懸命に慰めてくれるひぃりん、ズキュン!!
かわゆすぎる!


「ひぃりん、本当!?」


「はい!!」


「じ、じゃあ……守ってくれるついでに、皆で俺のお願いも聞いてくれるかな??」

「もちろんっす!!」


優しく、慕ってくれる可愛い後輩。
あぁ、俺はなんて果報者なんだ!!!

一瞬、蓮が訝しげに此方を見たが気づかない振りをする。


では、そんなひぃりんと皆様に大事なお願いをしてしまいましょう。



…ふふふ。
どう転んでも、周りからの俺の印象がよろしくないと予想されるのならば…



鳴かぬのなら、ド派手に先に鳴いちゃおうよ、ホトトギス(意味不)


コホンと、一つ咳をし。
高らかに宣言する!


「じゃあ、皆さん。
今週ある生徒会総会を、風紀で乗っ取るので!!それの段取りの資料強奪やら、各所への手回しやら…宜しく!」


えへへ。
と、可愛く小首を傾げてみました。



「「「「「…………」」」」」



ちょ!あんまりにも俺が可愛いからって、皆で固まるなよっ!
照れんだろうがっ!



…………



激しい罵倒やら突っ込みが入るかと思い、照れながらも待っていたら…いつまでたっても訪れない。

え――…がっかりだわぁ――……
それじゃあ、お笑い芸人失格だぞ?


数分後、5人の口から長い長――――――いため息がでた。


あ、幸せがたくさん逃げた!!




そして、

「………お前のそのぶっ飛んだ思考回路、どうなってんだ……?」

蓮が、真剣な顔で俺の頭をゴンゴンと叩いた。



え?普通じゃね??



てか、揺するなよ。
カランコロンって、音なんかしないからなっ!!



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