オマケなのに溺愛されてます

浅葱

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ローハンの思惑

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その日から、奏多は秘密裏に魔法の特訓をはじめた。

奏多の1日のスケジュールはこうである。

朝8時に起床、朝食を取った後すぐにジークベルトに付き添われローハンの執務室へと向かう。
そこで昼まで魔法習得の為の講義を受け、実践を行う。これはジークベルトが教えてくれる時もあればローハンが相手をしてくれることもある。何故場所がローハンの執務室であるかというと、奏多の魔法適性が全属性であることを、周囲に秘密にしている為であった。

その後昼食をとり軽く休憩を挟んだ後、ローハンから頼まれた仕事に取りかかる。
この仕事というのが、近々に行われる他種族との会談で使用される資料の校閲作業であった。
とは言っても、奏多には内容の矛盾や法令違反の指摘は難しい為、あくまで誤字脱字や表現の矛盾を修正するのが主な役割である。(ユニークスキル、フル活用)


そして作業ノルマが終わり次第夕食となり、夜の自由時間→就寝となる。
つまり、午前は勉強、午後は仕事、夜はまったり自分時間にあてれるという、社蓄の頃に比べてかなり充実した毎日を過ごしていた。

(適度な勉強、時間内に終われる仕事、確保出来る充分な睡眠時間……!)

あれ?これって元いた世界よりも好待遇じゃない?と奏多が気付くまでそう時間はかからなかった。


そうしてこの生活を続けるうちに、奏多はすっかり、元の健やかな精神状態と健康な身体を取り戻したのであった…











「うーん、これは思っていたより有能な子ですねぇ…」

ローハンは奏多から提出された資料に目を通しながらひとりごとのようにそう呟く。
彼女のユニークスキルを疑っていたわけではないが、物は試しにと与えてみた仕事を奏多はほぼ完璧に近い形で仕上げてきた。本音を言えば、部下に任せるより迅速かつ正確な出来である。

「これに知識と経験が備われば文句無しだ」

外交官にだってなれるかもしれない、とローハンは思う。正直なところ、他種族との円滑なコミュニケーションは我が国の大きな課題のひとつだった。ただでさえこの国の貴族は排他的で差別的だ。選民意識に支配された特権階級に広く根付いたそうした思想は他国との軋轢を生む一方で、他種族との関係は総じて悪い。

その為多言語を操る人材が不足しているというのが目下の問題のひとつだった。
他国に派遣されることの多いローハンやその部下たちはまず第一に言語の壁にぶち当たる。
だが彼女がいれば、この問題は容易に解決されるに違いなかった。
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