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歴代聖女の逸話
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「このまま事務官として、彼女を魔術師団に引き入れたいところですが…」
「みすみすカナタを危険な目にあわせる気か?」
「ジークは反対ですか?でもどちらにせよ何処かの庇護下にはいずれ入ってもらわねば困るでしょう?」
ある程度彼女の有用性を示しておくに越したことはないと思いますよ、とローハンは続ける。
「有用でなくとも、俺は構わない」
「ジークはそれでいいかもしれませんが、彼女の気持ちはどうするのです。彼女だってただ貴方に四六時中守られてばかりじゃ息が詰まるでしょう」
「自衛の為の魔法を覚えるのは、俺だって賛成だ」
「ああ、そちらの問題もありましたねえ………それにしても全属性持ちとは、穏やかじゃない」
こんなことが王子や他の貴族たちに知られたらと思うと私は頭が痛いですよ、とローハンは嘆息する。
「聖女は所詮、ただのお飾りだからな」
「お飾り……とまでは言いませんが、聖女には聖女にしか出来ない役割があるのは事実ですしね」
「よく言うぜ、聖女はただの器だろう」
「だとしても、です」
それに見たでしょう?あの召喚された聖女の様子を、とローハンはジークベルトに問いかける。
「彼女が正真正銘王に選ばれた聖女であるのなら、まずろくなことにはならないでしょう」
「聖女は王に好まれる資質を持っているっていうアレか?ようは手っ取り早く庇護してもらう為に召喚者にとって都合良く好ましい姿をしているという逸話は眉唾じゃなかったんだな」
「まあそもそも聖女としての役割を考えると、それが前提としてあることが重要とも言えるわけで…」
「はっ、くだらねえ」
そんなものに頼らなければこれ以上国の繁栄はのぞめないとでも言うのか、とジークベルトが忌々しげに顔を歪める。聖女召喚の意義についてはその立場によって考え方が異なるのが常だが、ことジークベルトにとって聖女という存在は忌避の対象であるらしかった。
まあ、ローハン自身も似たようなものなのだが。
「王子たちの思惑は……大体想像出来ますが、そのおかげで貴方もカナタさんの護衛騎士が出来ているのでしょうから、そう悪い話でもないのでは?」
「俺は邪魔なんだそうだ」
「貴方がいると、まあ………邪魔になるでしょうね…」
第一王子も第二王子もそれなりに優秀ではあるが、特出した何かがあるわけではない。
見目は良いが、ただそれだけだ。
第三王子にいたってはまるで論外である。
彼らとジークベルトが並んでいたとして、大半の女性は迷わずジークベルトを選ぶだろう。
そのくらい、この男は別格なのだ。
「みすみすカナタを危険な目にあわせる気か?」
「ジークは反対ですか?でもどちらにせよ何処かの庇護下にはいずれ入ってもらわねば困るでしょう?」
ある程度彼女の有用性を示しておくに越したことはないと思いますよ、とローハンは続ける。
「有用でなくとも、俺は構わない」
「ジークはそれでいいかもしれませんが、彼女の気持ちはどうするのです。彼女だってただ貴方に四六時中守られてばかりじゃ息が詰まるでしょう」
「自衛の為の魔法を覚えるのは、俺だって賛成だ」
「ああ、そちらの問題もありましたねえ………それにしても全属性持ちとは、穏やかじゃない」
こんなことが王子や他の貴族たちに知られたらと思うと私は頭が痛いですよ、とローハンは嘆息する。
「聖女は所詮、ただのお飾りだからな」
「お飾り……とまでは言いませんが、聖女には聖女にしか出来ない役割があるのは事実ですしね」
「よく言うぜ、聖女はただの器だろう」
「だとしても、です」
それに見たでしょう?あの召喚された聖女の様子を、とローハンはジークベルトに問いかける。
「彼女が正真正銘王に選ばれた聖女であるのなら、まずろくなことにはならないでしょう」
「聖女は王に好まれる資質を持っているっていうアレか?ようは手っ取り早く庇護してもらう為に召喚者にとって都合良く好ましい姿をしているという逸話は眉唾じゃなかったんだな」
「まあそもそも聖女としての役割を考えると、それが前提としてあることが重要とも言えるわけで…」
「はっ、くだらねえ」
そんなものに頼らなければこれ以上国の繁栄はのぞめないとでも言うのか、とジークベルトが忌々しげに顔を歪める。聖女召喚の意義についてはその立場によって考え方が異なるのが常だが、ことジークベルトにとって聖女という存在は忌避の対象であるらしかった。
まあ、ローハン自身も似たようなものなのだが。
「王子たちの思惑は……大体想像出来ますが、そのおかげで貴方もカナタさんの護衛騎士が出来ているのでしょうから、そう悪い話でもないのでは?」
「俺は邪魔なんだそうだ」
「貴方がいると、まあ………邪魔になるでしょうね…」
第一王子も第二王子もそれなりに優秀ではあるが、特出した何かがあるわけではない。
見目は良いが、ただそれだけだ。
第三王子にいたってはまるで論外である。
彼らとジークベルトが並んでいたとして、大半の女性は迷わずジークベルトを選ぶだろう。
そのくらい、この男は別格なのだ。
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