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そう簡単に人は殺せない
「なりませんよ」
「え?」
心の内を読んだのかと思うほど、カイロスは唐突に、そうはっきりと応えた。
「聖女を好きにはなりません。いくら聖女の見た目が美しかろうと、内面の美しさには敵いません」
「えっと…心の中、読んだ?」
「あまりにわかりやすい顔をしていたので、つい」
カイロスはそう言うと、くすりと微笑した。
何やら最近カイロスはこんなふうに柔らかく笑う。ツンケンしていた頃が嘘みたいに、彼の態度はわかりやすく軟化していた。
(懐かない猫を、手懐けた気分…)
王都に戻れば暫く顔を合わすこともなくなるだろうが、出来れば友人としてこれからも付き合っていけたらいいなと奏多は思う。
この接し方が果たして友人に対するそれなのかどうか、鈍い奏多に判断出来るはずもなかった。
「最悪だ、聖女が来る」
カイロスと別れ自室で朝食の続きを取っていると、バン!と乱暴に扉が開かれた。
こんな開け方をする奴は、ひとりしかいない。
「ジークベルト、ドアが壊れるよ…」
「言ってる場合か!聖女が来るんだぞ、今すぐ逃げる準備だ」
「逃げるって…何処へ?」
「とりあえずはクロードのところだな」
言いながらジークベルトは荷造りをはじめる。思った以上に焦っている様子のジークベルトを見て、奏多は頭に浮かんだ疑問をそのまま口にする。
「逃げても、追ってくるだけじゃないかな…」
「だとしても、このままお前と聖女を会わせるわけにはいかない。クロードの話を聞いただろう?聖女はお前を、悪意を持って害する気だ」
「うーん、それなんだけどさ」
私たちの世界って、そう簡単に人を殺せるような教育を受けてないんだよね、と奏多は続ける。
「だからさ、なんていうかこう……認識のズレがあるんじゃないかって思うんだ」
「認識のズレ?」
「そう、確かに私は彼女に良く思われていないんだろうし、コイツ邪魔だなぁくらいには思われてると思うんだけど」
でもそれで即死ね!となるほど短絡的ではないと思うんだよね、と奏多は言う。
「………どういうことだ?」
「リッチに襲われた時は、殺される!私命狙われてるかも!って怯えちゃって混乱してたんだけど、ここ数日冷静になって少し考えてみたの。今の聖女も、過去の聖女たちも、殺そうと思って襲ったわけじゃない。結果として、死なせてしまっただけなんじゃないかなって」
「…………言ってる意味が、よく理解出来ないんだが」
「あのね、私たちのいた世界って…」
そこで、奏多はジークベルトに自分と聖女の元いた世界の話をした。遠く離れた国での戦争の話、自国の生活水準と教育システム、そして娯楽としてのゲームやライトノベル、その中に出てくる聖女や乙女ゲーム、逆ハーレムという概念を…
「え?」
心の内を読んだのかと思うほど、カイロスは唐突に、そうはっきりと応えた。
「聖女を好きにはなりません。いくら聖女の見た目が美しかろうと、内面の美しさには敵いません」
「えっと…心の中、読んだ?」
「あまりにわかりやすい顔をしていたので、つい」
カイロスはそう言うと、くすりと微笑した。
何やら最近カイロスはこんなふうに柔らかく笑う。ツンケンしていた頃が嘘みたいに、彼の態度はわかりやすく軟化していた。
(懐かない猫を、手懐けた気分…)
王都に戻れば暫く顔を合わすこともなくなるだろうが、出来れば友人としてこれからも付き合っていけたらいいなと奏多は思う。
この接し方が果たして友人に対するそれなのかどうか、鈍い奏多に判断出来るはずもなかった。
「最悪だ、聖女が来る」
カイロスと別れ自室で朝食の続きを取っていると、バン!と乱暴に扉が開かれた。
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「言ってる場合か!聖女が来るんだぞ、今すぐ逃げる準備だ」
「逃げるって…何処へ?」
「とりあえずはクロードのところだな」
言いながらジークベルトは荷造りをはじめる。思った以上に焦っている様子のジークベルトを見て、奏多は頭に浮かんだ疑問をそのまま口にする。
「逃げても、追ってくるだけじゃないかな…」
「だとしても、このままお前と聖女を会わせるわけにはいかない。クロードの話を聞いただろう?聖女はお前を、悪意を持って害する気だ」
「うーん、それなんだけどさ」
私たちの世界って、そう簡単に人を殺せるような教育を受けてないんだよね、と奏多は続ける。
「だからさ、なんていうかこう……認識のズレがあるんじゃないかって思うんだ」
「認識のズレ?」
「そう、確かに私は彼女に良く思われていないんだろうし、コイツ邪魔だなぁくらいには思われてると思うんだけど」
でもそれで即死ね!となるほど短絡的ではないと思うんだよね、と奏多は言う。
「………どういうことだ?」
「リッチに襲われた時は、殺される!私命狙われてるかも!って怯えちゃって混乱してたんだけど、ここ数日冷静になって少し考えてみたの。今の聖女も、過去の聖女たちも、殺そうと思って襲ったわけじゃない。結果として、死なせてしまっただけなんじゃないかなって」
「…………言ってる意味が、よく理解出来ないんだが」
「あのね、私たちのいた世界って…」
そこで、奏多はジークベルトに自分と聖女の元いた世界の話をした。遠く離れた国での戦争の話、自国の生活水準と教育システム、そして娯楽としてのゲームやライトノベル、その中に出てくる聖女や乙女ゲーム、逆ハーレムという概念を…
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