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それはともかく
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「言いたいことはわかったし、納得出来る部分も大いにある。が、事実お前は襲われたんだろう?それはどう説明する」
「それは……」
ひとつ、思い当たる要素があるんだよなぁと奏多は思案する。
もしこの世界が所謂乙女ゲーム的なものだと仮定した場合、勿論ヒロインは聖女である梨々香だ。そしてこういったゲームには基本、お助けキャラや課金アイテムなんかが存在するのが常である。
もしかしたら、ヒロインの側にその手のアイテムを渡している、もしくは援助している人物がいたりするのではないだろうか…?
(…なんて、全ては私の想像でしかないんだけど)
なんの根拠も無い話である。けれど、一応仮定の話として協力者がいる可能性をジークベルトには提示しておいた。
「なるほど、協力者か」
「根拠の無い話で申し訳ないけど…」
「いや、充分に有り得る話だ。お前の話は、全てが興味深い」
「………う、うぅ」
ここまで全肯定されると流石に恥ずかしい…と思う奏多であった。基本的にジークベルトは、というかローハンもメルディもカイロスもだけれど、彼らは皆自分の話を真摯に聞いてくれる。それが奏多にとっては、地味にとても、嬉しいことなのであった。社畜だった頃は自分の意見など路傍の石もいいとこで、自己肯定感なんて地に落ちていた。
ここでは、自分の言葉が相手に伝わっていることを強く実感出来る。それが、なにより嬉しかったのだった。
「………それで、結局どうするんだ?逃げるのか?それともここに残るのか?」
逃げるならとことん付き合うぞ、とジークベルトは荷物を背負って、良い笑顔でこちらを見てくる。うん、これはむしろ逃げたそうまである。ちょっとした旅行気分か。
「さっきも言ったけど、逃げてもこう、なんていうか超常的な力で攻撃されたらひとたまりもないと思うの。いくらジークベルトが強くっても、聖女の操る能力は未知数でしょう?わからないものをわからないままにしておくのは、私はちょっと怖いと思う」
「じゃあどうするんだ?」
「直接話し合いたいなって思うんだけど、駄目かなあ?」
「それは駄目だろ」
「えっ、なんでっ?」
「なんでって、お前も実際会ってわかってるだろう、話の通じる相手だったか?」
「………………」
いや、でも、うーん、
「じゃあ、あの、妥協策ということで…」
赫赫然然ありまして、どうにか妥協点を見つけた、聖女来襲三日前。
「それは……」
ひとつ、思い当たる要素があるんだよなぁと奏多は思案する。
もしこの世界が所謂乙女ゲーム的なものだと仮定した場合、勿論ヒロインは聖女である梨々香だ。そしてこういったゲームには基本、お助けキャラや課金アイテムなんかが存在するのが常である。
もしかしたら、ヒロインの側にその手のアイテムを渡している、もしくは援助している人物がいたりするのではないだろうか…?
(…なんて、全ては私の想像でしかないんだけど)
なんの根拠も無い話である。けれど、一応仮定の話として協力者がいる可能性をジークベルトには提示しておいた。
「なるほど、協力者か」
「根拠の無い話で申し訳ないけど…」
「いや、充分に有り得る話だ。お前の話は、全てが興味深い」
「………う、うぅ」
ここまで全肯定されると流石に恥ずかしい…と思う奏多であった。基本的にジークベルトは、というかローハンもメルディもカイロスもだけれど、彼らは皆自分の話を真摯に聞いてくれる。それが奏多にとっては、地味にとても、嬉しいことなのであった。社畜だった頃は自分の意見など路傍の石もいいとこで、自己肯定感なんて地に落ちていた。
ここでは、自分の言葉が相手に伝わっていることを強く実感出来る。それが、なにより嬉しかったのだった。
「………それで、結局どうするんだ?逃げるのか?それともここに残るのか?」
逃げるならとことん付き合うぞ、とジークベルトは荷物を背負って、良い笑顔でこちらを見てくる。うん、これはむしろ逃げたそうまである。ちょっとした旅行気分か。
「さっきも言ったけど、逃げてもこう、なんていうか超常的な力で攻撃されたらひとたまりもないと思うの。いくらジークベルトが強くっても、聖女の操る能力は未知数でしょう?わからないものをわからないままにしておくのは、私はちょっと怖いと思う」
「じゃあどうするんだ?」
「直接話し合いたいなって思うんだけど、駄目かなあ?」
「それは駄目だろ」
「えっ、なんでっ?」
「なんでって、お前も実際会ってわかってるだろう、話の通じる相手だったか?」
「………………」
いや、でも、うーん、
「じゃあ、あの、妥協策ということで…」
赫赫然然ありまして、どうにか妥協点を見つけた、聖女来襲三日前。
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