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裏切り者の血脈
「基本的に、魔物をこの世に呼び出す呪法は禁忌とされているのですよ」
通信機越しにローハンがそう説明してくれたのは、聖女の騒動がひと段落したその日の宵闇頃のことだった。
「この地に存在しないはずの魔物を異界から呼び出すことは可能です。だがそれは選ばれたスキルを持つ者のみに限られた特殊な召喚魔法となります。後はダンジョン内にいる魔物を一定時間呼び出すことも可能ですね。それは王族のみに許された特権で、王宮内でのみ有効な召喚魔法となります」
「え、えーと……」
「王城を外敵から守る為の安全策として、過去の大魔法使いが作った召喚石を王族たちは保有しているんだ。しかしこれも回数制限があるらしく、無尽蔵に召喚出来るわけではないらしい」
「つまり…」
魔物を呼び出すのは、誰でも出来ることじゃないってことですか?と聞くと、「というより、出来てはいけないのですよ」とローハンは言った。
「出来ては、いけない?」
「先程選ばれたスキルを持つ者のみに限られた特殊な召喚魔法と言いましたが、これを具体的に説明するとある血族の者にしかこのスキルは発現しません。そしてその血族は既に死に絶えています」
「えっ」
「勿論表向きは、だが」
「ジークベルトの言う通り、世間ではこの一族は謀反を企てた為当時の王に粛清されたと言われています。ですが、生き残りは僅かに存在しているのです。最もその血は、大分薄くなっているでしょうが」
「私、てっきり最初のリッチは王子殿下が差し向けたものかと思っていました…」
正直にそう言うと、ローハンは「無理もありませんね」と奏多の発言を肯定する。
「普通に考えれば、聖女に唆されたジルベール殿下がカナタを襲ったと推測するのが自然です。最初の襲撃は王城内でしたから尚更ですね。ついでに言うとこの魔物や魔獣を召喚する召喚魔法については正確な情報は殆どの人間が詳しく知らない状態です。精々使えるのは高位の魔法使いだ、くらいの認識でしょう」
「は、はぁ」
「なのでカイロスやメルディも、それ程疑問に思っていなかったはずです。カナタがリッチに襲われたことも、それが王宮内であったことも、襲われた事自体は疑問でも、それがあり得ないことだとまでは思っていなかったはずです」
「えーと…(こんがらがってきた)」
「つまり、何が言いたいかというとですね」
ローハンはたっぷり間をとってから、こう続けた。
「聖女が魔物を呼び出す瞬間を、大勢の人間が目撃した。これはとんでもないスキャンダルなのですよ。何せ、今この時点で魔物を召喚出来る人間は、その滅びた裏切者の一族の残党、もしくはその者たちの残した魔導具を所持している人間、だけなのですから」
要するに、聖女は国賊と繋がりがあると断定されたわけですねと、場違いなほど朗らかに、ローハンは微笑んだ。
通信機越しにローハンがそう説明してくれたのは、聖女の騒動がひと段落したその日の宵闇頃のことだった。
「この地に存在しないはずの魔物を異界から呼び出すことは可能です。だがそれは選ばれたスキルを持つ者のみに限られた特殊な召喚魔法となります。後はダンジョン内にいる魔物を一定時間呼び出すことも可能ですね。それは王族のみに許された特権で、王宮内でのみ有効な召喚魔法となります」
「え、えーと……」
「王城を外敵から守る為の安全策として、過去の大魔法使いが作った召喚石を王族たちは保有しているんだ。しかしこれも回数制限があるらしく、無尽蔵に召喚出来るわけではないらしい」
「つまり…」
魔物を呼び出すのは、誰でも出来ることじゃないってことですか?と聞くと、「というより、出来てはいけないのですよ」とローハンは言った。
「出来ては、いけない?」
「先程選ばれたスキルを持つ者のみに限られた特殊な召喚魔法と言いましたが、これを具体的に説明するとある血族の者にしかこのスキルは発現しません。そしてその血族は既に死に絶えています」
「えっ」
「勿論表向きは、だが」
「ジークベルトの言う通り、世間ではこの一族は謀反を企てた為当時の王に粛清されたと言われています。ですが、生き残りは僅かに存在しているのです。最もその血は、大分薄くなっているでしょうが」
「私、てっきり最初のリッチは王子殿下が差し向けたものかと思っていました…」
正直にそう言うと、ローハンは「無理もありませんね」と奏多の発言を肯定する。
「普通に考えれば、聖女に唆されたジルベール殿下がカナタを襲ったと推測するのが自然です。最初の襲撃は王城内でしたから尚更ですね。ついでに言うとこの魔物や魔獣を召喚する召喚魔法については正確な情報は殆どの人間が詳しく知らない状態です。精々使えるのは高位の魔法使いだ、くらいの認識でしょう」
「は、はぁ」
「なのでカイロスやメルディも、それ程疑問に思っていなかったはずです。カナタがリッチに襲われたことも、それが王宮内であったことも、襲われた事自体は疑問でも、それがあり得ないことだとまでは思っていなかったはずです」
「えーと…(こんがらがってきた)」
「つまり、何が言いたいかというとですね」
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「聖女が魔物を呼び出す瞬間を、大勢の人間が目撃した。これはとんでもないスキャンダルなのですよ。何せ、今この時点で魔物を召喚出来る人間は、その滅びた裏切者の一族の残党、もしくはその者たちの残した魔導具を所持している人間、だけなのですから」
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