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古典的な手法
「何の用だ、アーチボルト。カナタに謝罪でもしに来たか」
「………何故そのような女に私が謝罪をしなければならない?理解に苦しむな」
「何故って、お前らの崇め奉っている聖女様がやらかしたんだ、まずはその不手際を謝ってもらわないとな」
「不手際、だと?」
「そうだ。お前ら相手じゃ満足出来なかったから聖女様は態々こんなところまで足をお運びになったんだろうさ。聖女の相手はお前ら貴族の十八番だろ?俺にまで色目を使うな気色悪い」
「貴様っ……言わせておけば…!」
「はい、もうストップ、おわり、いったんやめ!!」
放っておいたら殴り合いならぬ剣での決闘が始まりそうな勢いである。そんなものは勿論見たくないので奏多は2人の間に割って入る。ちょうど手にしていた風呂桶の底を箒の柄でガンガンと思い切り叩いて2人の注意を引いた。ちょっと古典的過ぎる喧嘩の止め方だったが、この際それはご愛嬌である。
「もう、いい大人同士が大声出してみっともない!ジークベルトもいちいち険のある言い方しないの!」
それにこの人怪我してるし、と奏多は血でべっとりと濡れたアーチボルトの腕を見る。うう、グロい、いったいどれだけの力で刺されたらこうなるのだろうか……本当にジークベルトは容赦が無い。
「止血…いや、回復魔法を…」
「カナタ」
「あっ…」
血まみれの腕を手に取り言霊によるスキルを発動しようとしたところでジークベルトに制止される。ああそうか、この人にスキルを使うわけにはいかないのか…とそこで奏多ははたと気付く。
(出来ることをやれないのは、なんだか心苦しいな)
まあこの人は身分のある立派な騎士なんだろうし、自分がやらずとも誰かが手当をしてくれるのだとは思うけれど…
そんなことを考えながらも溢れ出る血を止めようと、反射的に持っていたハンカチで奏多は止血を試みる。こういう時は、確か傷口に直接あてて強く圧迫するのがいいんだっけ
裂けた袖の奥の刺し傷にハンカチを押し当て、ぐっと力を込めたところで突然ジークベルトに後ろから羽交締めにされてしまった。えっ、と思った時にはアーチボルトから引き剥がされ、彼は部屋の外へと追い出されていた。バタン!!と派手な音をたてて扉が閉められる。
「ちょ、ちょっと、ジークベルト!」
「あんな奴にまで優しくする必要なんてない」
「優しくなんてしてないよ、ただ止血しただけでしょ?」
「……………ああ、もう、手が血で汚れている」
はあ、と大仰な溜息を吐いて、ジークベルトは奥の部屋へと引っ込んで行った。奏多が先程叩いた風呂桶にお湯を張ってくれているらしい音が遠くから聞こえてくる。
「………手くらい、自分で洗えるのに」
優しいのか強引なのか、まったくよくわからない男である。
「………何故そのような女に私が謝罪をしなければならない?理解に苦しむな」
「何故って、お前らの崇め奉っている聖女様がやらかしたんだ、まずはその不手際を謝ってもらわないとな」
「不手際、だと?」
「そうだ。お前ら相手じゃ満足出来なかったから聖女様は態々こんなところまで足をお運びになったんだろうさ。聖女の相手はお前ら貴族の十八番だろ?俺にまで色目を使うな気色悪い」
「貴様っ……言わせておけば…!」
「はい、もうストップ、おわり、いったんやめ!!」
放っておいたら殴り合いならぬ剣での決闘が始まりそうな勢いである。そんなものは勿論見たくないので奏多は2人の間に割って入る。ちょうど手にしていた風呂桶の底を箒の柄でガンガンと思い切り叩いて2人の注意を引いた。ちょっと古典的過ぎる喧嘩の止め方だったが、この際それはご愛嬌である。
「もう、いい大人同士が大声出してみっともない!ジークベルトもいちいち険のある言い方しないの!」
それにこの人怪我してるし、と奏多は血でべっとりと濡れたアーチボルトの腕を見る。うう、グロい、いったいどれだけの力で刺されたらこうなるのだろうか……本当にジークベルトは容赦が無い。
「止血…いや、回復魔法を…」
「カナタ」
「あっ…」
血まみれの腕を手に取り言霊によるスキルを発動しようとしたところでジークベルトに制止される。ああそうか、この人にスキルを使うわけにはいかないのか…とそこで奏多ははたと気付く。
(出来ることをやれないのは、なんだか心苦しいな)
まあこの人は身分のある立派な騎士なんだろうし、自分がやらずとも誰かが手当をしてくれるのだとは思うけれど…
そんなことを考えながらも溢れ出る血を止めようと、反射的に持っていたハンカチで奏多は止血を試みる。こういう時は、確か傷口に直接あてて強く圧迫するのがいいんだっけ
裂けた袖の奥の刺し傷にハンカチを押し当て、ぐっと力を込めたところで突然ジークベルトに後ろから羽交締めにされてしまった。えっ、と思った時にはアーチボルトから引き剥がされ、彼は部屋の外へと追い出されていた。バタン!!と派手な音をたてて扉が閉められる。
「ちょ、ちょっと、ジークベルト!」
「あんな奴にまで優しくする必要なんてない」
「優しくなんてしてないよ、ただ止血しただけでしょ?」
「……………ああ、もう、手が血で汚れている」
はあ、と大仰な溜息を吐いて、ジークベルトは奥の部屋へと引っ込んで行った。奏多が先程叩いた風呂桶にお湯を張ってくれているらしい音が遠くから聞こえてくる。
「………手くらい、自分で洗えるのに」
優しいのか強引なのか、まったくよくわからない男である。
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