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過去編③ 同棲
第九話 セフレなあいつ
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啓と一緒に風呂に入る羽目になった俺は、なるべく早く終わらせようと、さっさとシャワーを浴びて湯船に浸かった。こんな狭い風呂場で啓のエロい裸を見せつけられたうえに、自分の貧相な裸を啓に曝さなきゃいけないなんて。どんな罰ゲームだよ。
「幸、俺もお湯に入りたい」
「いいよ、入れば? 俺、もう出るし」
「え、なんで? 一緒に入ろうぜ」
「無理。狭いし」
さっさと湯船から出て洗い場にいる啓の隣を通り過ぎようとして、啓に後ろから抱き締められた。
「幸……」
畜生。狭すぎて、逃げ場なんかないのだ。
「幸、会いたかった」
「……俺は、会いたくなかった」
「うん、わかってる」
啓はなんもわかってない。
俺の気持ちなんて、なんも。
「幸?」
ほんとは啓に会いたくなかったわけじゃない。
啓が俺のこと探してたって知って、嬉しくなかったわけじゃない。
「なあ、幸」
けど啓が俺になにを求めてるかわかんない。
だから勝手に期待して傷つきたくない。
「俺、勃っちった。どうしよ」
「ばっ、んなの知らねえよっ」
こっちはシリアスになってんのに、なんだよそれ。
この絶倫野郎め。やっぱただヤりたいだけかよ。
「幸のエロい裸見たせいだし」
啓が俺の尻に勃起したそれを擦りつけながら、俺の乳首を指で摘まんでくりくりと弄る。
「ちょ、啓! まじでそれやめっ……、ぁ、や……」
「幸のも、勃ってんじゃん」
ゆるく勃ち上がっていたのを扱かれて、堪え性のない俺のものはすぐに完勃ちになった。
「ちがっ、それは啓がっ、……あ、ぁぁっ」
「幸、きもちい?」
「ん、ぁっ、……は、ぁ、……くっ」
「声、抑えた方がよくね? 聞かれちゃうぜ? 幸のいい声」
耳元に囁やかれ、俺は慌てて両手で口を押さえた。
「ふっ、可愛い、幸。イきたい?」
畜生。畜生。畜生。
あれから俺がどんだけ啓で抜いたと思ってんだよ。
記憶の中の啓じゃなくて、ほんとの啓に抱かれたいって。
今まで俺がどんだけ想像したと思ってんだよ。
「イ、きたい……」
啓がこんなにも近くにいて、我慢なんかできるわけがない。
「このまま?」
「やだ……、一緒がい、」
「じゃ、こっち向けよ、幸」
素直に振り向いた俺を、欲に濡れた啓の目が絡めとる。
「ちゃんと口塞いどけ」
言われた通りに両手で口を塞ぐ俺の視線の下で、啓の手が啓のと俺のを一緒にまとめて握った。啓のでかくて赤黒いそれとは正反対の俺のが、啓が手を動かすたびにローション代わりにしたボディソープで白濁していく。自分ではない誰かから与えられる刺激と、視覚的にもエロすぎる光景に、俺はもう立っていられないほど感じていた。
「……ふ、……っ、く、……ぁ、……」
「しょうがね、な、……ほら壁、凭れろよ」
壁を背にした俺を片手で支えながら、啓はもう片方の手で二人分をまとめて扱く。
「ぃ、ぁ、……っ……ぁぁあっ」
「く、……ぅ、っ」
俺はあっけなくイった。ほぼ同時に果てた啓が、完全に脱力した俺を抱きとめる。
「やっ」
奥まったそこにぐいっと指を押し付けられて、俺は身を捩った。
「ここ、ひくついてる」
「さ、わんなっ」
「欲しい?」
啓の指がそこをくるくると撫でる。
「ここに、俺の、挿れて欲しいだろ?」
欲しいに決まってる。啓が欲しい。啓に奥まで犯されたい。
でもここじゃ駄目だ。自分の家でなんて絶対に嫌だ。
「や、ここじゃ、だめ……」
思わず漏らしてしまった本音に、啓はふっと笑った。
「じゃあ、俺んち来いよ」
あの夏の夜と同じセリフ。啓のことばは甘い毒だ。俺の脳を麻痺させる。
「俺んちで可愛がってやる。俺ので幸のいいとこいっぱい突いて、何回でもイかせてやる」
啓は俺の体を欲しがってる。俺の体が対価になるなら、俺は啓と一緒にいてもいいのかもしれない。朦朧とした頭で、俺はそう結論付けた。
「行く、から、も……」
俺の答えに満足した啓に今度は口でイかされ、心身ともに限界を超えた俺は翌日の昼近くまでぐっすり眠った。目が覚めたときには、結託した啓と母親によって、その日のうちに啓のマンションに引っ越す話が決まった後だった。
・
・
・
「幸、疲れてね? ちょっと休憩したら?」
啓の寝室の奥にあるウォークインクローゼットで荷物を片付けていると、啓がボトルを手に入ってくる。当面必要なものだけを持ってきたから片付けるのに時間が掛かるわけでも疲れるわけでもない。ただこの急な展開を自分の中でちゃんと消化する時間が欲しかっただけだ。
「ほら。水」
「……さんきゅ」
手渡されたのは去年の夏に来たときと同じ、普通の水のペットボトルだった。啓が手にしている飲みかけのボトルもこの前と同じ、金のラベルの炭酸水の瓶ボトルだ。
あの夏の一夜はもう二度と戻ってこないと思ってたのに……
「……なあ、啓」
「ん?」
なんで俺を探してたの?
なんで俺に部屋を貸すの?
なんでそんな嬉しそうな顔で俺を見んの?
「あのさ……」
聞けない。
そんなこと。
「他に部屋、ねえの?」
「なんで? 俺と一緒でいいじゃん。ベッドでかいし。クローゼットだって場所余ってんし」
「そうかもしんねえけど……」
「余ってる部屋にベッドとか入れてもいいけどめんどくせえじゃん。着るもんだけ持ってきたほうが引越しも楽じゃね?」
「そう、だよな」
確かに、荷物が服とかだけなら楽に引っ越せる。
俺がここを出て行かなきゃなんないときも、簡単に出て行ける。
そういう関係、ってこと。
啓に会いたくなんてなかった。けど、会ってしまった。ここまで来てしまった。
啓に流されたからとか、母親の圧力に逆らえなかったからとかじゃない。
俺がそうしたかったから。俺が啓と一緒にいたかったから、ここに来た。
俺の体が対価の関係、不毛ではあるけど少なくとも対等な関係だ。
この関係に未来なんてなくても、啓と一緒にいたい。
そう思うくらい、俺は啓に惹かれてる。
うん。俺は大丈夫。
俺はちゃんと納得してここにいる。
「幸」
ウォークインクローゼットのど真ん中に置いてあるソファーに腰を下ろし、啓がぽんぽんと隣を叩く。俺は促されるまま、啓の隣に座った。
「腹は? 減ってねえ?」
「あんまり」
「じゃあ、飯食う前にさ……、幸、食ってい?」
耳元で囁かれた啓の吐息交じりの声が体を熱くする。
「いい、けど……、先にシャワー浴びたい」
シャワーを浴びて寝室へ入ると、一年前の夏の日と同じように啓が水を飲みながらベッドに座って待っていた。濃紺のバスローブも同じ。違うのは、あの日は夜で部屋には薄暗い照明がついてたけど、今日はまだ外が明るくて柔らかい太陽の光が部屋を照らしていることぐらいだった。
「俺のこと可愛がってくれんだろ?」
バスローブを肌蹴ながらベッドに歩み寄る。
「そのでかいので俺のいいとこ突いて」
膝をついたベッドがぎしっと軋む。
「いっぱいイかせてよ、啓」
啓に跨って、耳元に唇を寄せた。
「ちょ、いってえよ、啓」
「うるせえ、黙れ」
俺の精一杯の挑発が成功したのか、啓は手荒く俺を組み敷いた。獲物を狙う獣じみた目つきで俺を見下ろす啓から目が離せない。
「一年だぞ。一年。俺がどんだけ……」
唇を引き結んでことばを切った啓が俺の唇を塞ぐ。昨日の夜はキスしなかった。だからこれが一年振りのキス。
「んっ、キス……好き、けい、……ふ、ぁ……」
「ああ、もうっ。まじでお前黙れっ」
キレ気味に声を荒げた啓に体をひっくり返され、いきなりそこに冷たいローションをぶっ掛けられた。
「すげ、すぐ三本いけそ。幸、自分で解してきた?」
「ん、……さっ、き……シャワー、で……」
「そんなに俺が欲しかった?」
「欲し、い……、啓、欲し……、っ、ぐぅっ」
予告もなく啓のでかいのをずんと奥まで突き入れられて、冗談ではなく一瞬喉が詰まった。自分の指で解してきたとはいえ、啓のでかいのを受け入れるのは体に相当の負担がかかるのだ。
「は、……ぁ、は、……はっ……」
ぶわっと体中に汗が吹き出す。呼吸を取り戻そうと懸命になっている俺のことなどお構いなしに、啓は俺のなかの締まり具合を確認するかのようにゆるゆると腰を動かし始めた。
「やべ、幸。俺、まじ余裕ねえわ」
「啓、まっ、ゴム、」
啓にゴムをつける時間なんてなかったはずだ。
「わりぃ。一回だけ、生でヤらして」
「や、だって、ちょ、啓っ」
這って前に逃げようとした俺の腰をがっちりと掴み、啓はぱんぱんと音がするほど強く腰を打ち付けてくる。
「まっ、ぅあ……、はっ、……く、ぁ、……、ひ、ぅっ」
「ヤバ、……も、出る、……幸っ、ぅ……くっ、……は」
啓のものがずるりと引き出されたのは、啓がイく前だったのか後だったのか。後だったら最悪だ。
中出しなんてされたことない。腹下すって聞くけどほんとだろうか。
「まじ最悪……」
俺の背中でぐったりしてる啓の息が整った頃にぽつりと呟けば、啓に「ごめん」と後ろから抱き締められた。
「中には出してねえから」
「どうだか」
「や、まじで。ぎりぎりセーフ」
「てかちゃんとゴムつけろっつーの」
「だってしょうがねえじゃん。あれから一年も禁欲してたんだぜ、俺。幸のせいだし」
調子のいいこと言いやがってと思う反面、啓が拗ねた口調で話すのが可笑しくて頬がゆるむ。
「笑うなよ。まじへこむ」
「だってなんか笑える」
いつも俺様なくせに。
拗ねるとガキっぽくて可愛い。
「この早漏野郎って?」
「あー」
啓が気にしてんのはそっちね。
「あーって……やっぱそう思ってんだ」
啓の落ち込んだ声にまた笑ってしまった俺の顔を、啓が恨みがましい目で覗き込む。
「思ってねえよ。大体、俺だってあれ以来ヤってねえし」
「嘘ばっか」
「嘘だって思う?」
それは自分自身が嘘吐いてるから? 一年も禁欲してたなんてやっぱ嘘?
それとも俺は男なしじゃいられないやつだって思ってる?
啓にどう思われようとセフレの俺には痛くも痒くもないはずだ。
「ちょ、幸っ」
啓の隙をついて、今度は俺が啓を押し倒す。
「啓、キスしようよ」
上に跨り、啓の首に腕を回してキスを強請った。
「いっぱい気持ちよくしてくれるって言ったじゃん。俺、啓とキスすんの好き」
わざと甘えた声を出せば、啓はハァとため息を吐いて苦笑する。
「幸お前まじでたちわりぃ」
「そういうの、嫌い?」
「すげえ好き」
そして啓は俺の欲しかったキスをくれた。
「幸、俺もお湯に入りたい」
「いいよ、入れば? 俺、もう出るし」
「え、なんで? 一緒に入ろうぜ」
「無理。狭いし」
さっさと湯船から出て洗い場にいる啓の隣を通り過ぎようとして、啓に後ろから抱き締められた。
「幸……」
畜生。狭すぎて、逃げ場なんかないのだ。
「幸、会いたかった」
「……俺は、会いたくなかった」
「うん、わかってる」
啓はなんもわかってない。
俺の気持ちなんて、なんも。
「幸?」
ほんとは啓に会いたくなかったわけじゃない。
啓が俺のこと探してたって知って、嬉しくなかったわけじゃない。
「なあ、幸」
けど啓が俺になにを求めてるかわかんない。
だから勝手に期待して傷つきたくない。
「俺、勃っちった。どうしよ」
「ばっ、んなの知らねえよっ」
こっちはシリアスになってんのに、なんだよそれ。
この絶倫野郎め。やっぱただヤりたいだけかよ。
「幸のエロい裸見たせいだし」
啓が俺の尻に勃起したそれを擦りつけながら、俺の乳首を指で摘まんでくりくりと弄る。
「ちょ、啓! まじでそれやめっ……、ぁ、や……」
「幸のも、勃ってんじゃん」
ゆるく勃ち上がっていたのを扱かれて、堪え性のない俺のものはすぐに完勃ちになった。
「ちがっ、それは啓がっ、……あ、ぁぁっ」
「幸、きもちい?」
「ん、ぁっ、……は、ぁ、……くっ」
「声、抑えた方がよくね? 聞かれちゃうぜ? 幸のいい声」
耳元に囁やかれ、俺は慌てて両手で口を押さえた。
「ふっ、可愛い、幸。イきたい?」
畜生。畜生。畜生。
あれから俺がどんだけ啓で抜いたと思ってんだよ。
記憶の中の啓じゃなくて、ほんとの啓に抱かれたいって。
今まで俺がどんだけ想像したと思ってんだよ。
「イ、きたい……」
啓がこんなにも近くにいて、我慢なんかできるわけがない。
「このまま?」
「やだ……、一緒がい、」
「じゃ、こっち向けよ、幸」
素直に振り向いた俺を、欲に濡れた啓の目が絡めとる。
「ちゃんと口塞いどけ」
言われた通りに両手で口を塞ぐ俺の視線の下で、啓の手が啓のと俺のを一緒にまとめて握った。啓のでかくて赤黒いそれとは正反対の俺のが、啓が手を動かすたびにローション代わりにしたボディソープで白濁していく。自分ではない誰かから与えられる刺激と、視覚的にもエロすぎる光景に、俺はもう立っていられないほど感じていた。
「……ふ、……っ、く、……ぁ、……」
「しょうがね、な、……ほら壁、凭れろよ」
壁を背にした俺を片手で支えながら、啓はもう片方の手で二人分をまとめて扱く。
「ぃ、ぁ、……っ……ぁぁあっ」
「く、……ぅ、っ」
俺はあっけなくイった。ほぼ同時に果てた啓が、完全に脱力した俺を抱きとめる。
「やっ」
奥まったそこにぐいっと指を押し付けられて、俺は身を捩った。
「ここ、ひくついてる」
「さ、わんなっ」
「欲しい?」
啓の指がそこをくるくると撫でる。
「ここに、俺の、挿れて欲しいだろ?」
欲しいに決まってる。啓が欲しい。啓に奥まで犯されたい。
でもここじゃ駄目だ。自分の家でなんて絶対に嫌だ。
「や、ここじゃ、だめ……」
思わず漏らしてしまった本音に、啓はふっと笑った。
「じゃあ、俺んち来いよ」
あの夏の夜と同じセリフ。啓のことばは甘い毒だ。俺の脳を麻痺させる。
「俺んちで可愛がってやる。俺ので幸のいいとこいっぱい突いて、何回でもイかせてやる」
啓は俺の体を欲しがってる。俺の体が対価になるなら、俺は啓と一緒にいてもいいのかもしれない。朦朧とした頭で、俺はそう結論付けた。
「行く、から、も……」
俺の答えに満足した啓に今度は口でイかされ、心身ともに限界を超えた俺は翌日の昼近くまでぐっすり眠った。目が覚めたときには、結託した啓と母親によって、その日のうちに啓のマンションに引っ越す話が決まった後だった。
・
・
・
「幸、疲れてね? ちょっと休憩したら?」
啓の寝室の奥にあるウォークインクローゼットで荷物を片付けていると、啓がボトルを手に入ってくる。当面必要なものだけを持ってきたから片付けるのに時間が掛かるわけでも疲れるわけでもない。ただこの急な展開を自分の中でちゃんと消化する時間が欲しかっただけだ。
「ほら。水」
「……さんきゅ」
手渡されたのは去年の夏に来たときと同じ、普通の水のペットボトルだった。啓が手にしている飲みかけのボトルもこの前と同じ、金のラベルの炭酸水の瓶ボトルだ。
あの夏の一夜はもう二度と戻ってこないと思ってたのに……
「……なあ、啓」
「ん?」
なんで俺を探してたの?
なんで俺に部屋を貸すの?
なんでそんな嬉しそうな顔で俺を見んの?
「あのさ……」
聞けない。
そんなこと。
「他に部屋、ねえの?」
「なんで? 俺と一緒でいいじゃん。ベッドでかいし。クローゼットだって場所余ってんし」
「そうかもしんねえけど……」
「余ってる部屋にベッドとか入れてもいいけどめんどくせえじゃん。着るもんだけ持ってきたほうが引越しも楽じゃね?」
「そう、だよな」
確かに、荷物が服とかだけなら楽に引っ越せる。
俺がここを出て行かなきゃなんないときも、簡単に出て行ける。
そういう関係、ってこと。
啓に会いたくなんてなかった。けど、会ってしまった。ここまで来てしまった。
啓に流されたからとか、母親の圧力に逆らえなかったからとかじゃない。
俺がそうしたかったから。俺が啓と一緒にいたかったから、ここに来た。
俺の体が対価の関係、不毛ではあるけど少なくとも対等な関係だ。
この関係に未来なんてなくても、啓と一緒にいたい。
そう思うくらい、俺は啓に惹かれてる。
うん。俺は大丈夫。
俺はちゃんと納得してここにいる。
「幸」
ウォークインクローゼットのど真ん中に置いてあるソファーに腰を下ろし、啓がぽんぽんと隣を叩く。俺は促されるまま、啓の隣に座った。
「腹は? 減ってねえ?」
「あんまり」
「じゃあ、飯食う前にさ……、幸、食ってい?」
耳元で囁かれた啓の吐息交じりの声が体を熱くする。
「いい、けど……、先にシャワー浴びたい」
シャワーを浴びて寝室へ入ると、一年前の夏の日と同じように啓が水を飲みながらベッドに座って待っていた。濃紺のバスローブも同じ。違うのは、あの日は夜で部屋には薄暗い照明がついてたけど、今日はまだ外が明るくて柔らかい太陽の光が部屋を照らしていることぐらいだった。
「俺のこと可愛がってくれんだろ?」
バスローブを肌蹴ながらベッドに歩み寄る。
「そのでかいので俺のいいとこ突いて」
膝をついたベッドがぎしっと軋む。
「いっぱいイかせてよ、啓」
啓に跨って、耳元に唇を寄せた。
「ちょ、いってえよ、啓」
「うるせえ、黙れ」
俺の精一杯の挑発が成功したのか、啓は手荒く俺を組み敷いた。獲物を狙う獣じみた目つきで俺を見下ろす啓から目が離せない。
「一年だぞ。一年。俺がどんだけ……」
唇を引き結んでことばを切った啓が俺の唇を塞ぐ。昨日の夜はキスしなかった。だからこれが一年振りのキス。
「んっ、キス……好き、けい、……ふ、ぁ……」
「ああ、もうっ。まじでお前黙れっ」
キレ気味に声を荒げた啓に体をひっくり返され、いきなりそこに冷たいローションをぶっ掛けられた。
「すげ、すぐ三本いけそ。幸、自分で解してきた?」
「ん、……さっ、き……シャワー、で……」
「そんなに俺が欲しかった?」
「欲し、い……、啓、欲し……、っ、ぐぅっ」
予告もなく啓のでかいのをずんと奥まで突き入れられて、冗談ではなく一瞬喉が詰まった。自分の指で解してきたとはいえ、啓のでかいのを受け入れるのは体に相当の負担がかかるのだ。
「は、……ぁ、は、……はっ……」
ぶわっと体中に汗が吹き出す。呼吸を取り戻そうと懸命になっている俺のことなどお構いなしに、啓は俺のなかの締まり具合を確認するかのようにゆるゆると腰を動かし始めた。
「やべ、幸。俺、まじ余裕ねえわ」
「啓、まっ、ゴム、」
啓にゴムをつける時間なんてなかったはずだ。
「わりぃ。一回だけ、生でヤらして」
「や、だって、ちょ、啓っ」
這って前に逃げようとした俺の腰をがっちりと掴み、啓はぱんぱんと音がするほど強く腰を打ち付けてくる。
「まっ、ぅあ……、はっ、……く、ぁ、……、ひ、ぅっ」
「ヤバ、……も、出る、……幸っ、ぅ……くっ、……は」
啓のものがずるりと引き出されたのは、啓がイく前だったのか後だったのか。後だったら最悪だ。
中出しなんてされたことない。腹下すって聞くけどほんとだろうか。
「まじ最悪……」
俺の背中でぐったりしてる啓の息が整った頃にぽつりと呟けば、啓に「ごめん」と後ろから抱き締められた。
「中には出してねえから」
「どうだか」
「や、まじで。ぎりぎりセーフ」
「てかちゃんとゴムつけろっつーの」
「だってしょうがねえじゃん。あれから一年も禁欲してたんだぜ、俺。幸のせいだし」
調子のいいこと言いやがってと思う反面、啓が拗ねた口調で話すのが可笑しくて頬がゆるむ。
「笑うなよ。まじへこむ」
「だってなんか笑える」
いつも俺様なくせに。
拗ねるとガキっぽくて可愛い。
「この早漏野郎って?」
「あー」
啓が気にしてんのはそっちね。
「あーって……やっぱそう思ってんだ」
啓の落ち込んだ声にまた笑ってしまった俺の顔を、啓が恨みがましい目で覗き込む。
「思ってねえよ。大体、俺だってあれ以来ヤってねえし」
「嘘ばっか」
「嘘だって思う?」
それは自分自身が嘘吐いてるから? 一年も禁欲してたなんてやっぱ嘘?
それとも俺は男なしじゃいられないやつだって思ってる?
啓にどう思われようとセフレの俺には痛くも痒くもないはずだ。
「ちょ、幸っ」
啓の隙をついて、今度は俺が啓を押し倒す。
「啓、キスしようよ」
上に跨り、啓の首に腕を回してキスを強請った。
「いっぱい気持ちよくしてくれるって言ったじゃん。俺、啓とキスすんの好き」
わざと甘えた声を出せば、啓はハァとため息を吐いて苦笑する。
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