サプレッション・バレーボール

四国ユキ

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静かな日々

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 私も真希も無事受験に合格し、金倉高校に通うことになった。莉菜はどうなったか知らないが、バレーの名門白峯高校に受かったはずだ。
真希は私が貸した本を読みふける静かな生活を送っている。
私も新しくできた友達とそれなりに楽しく過ごしながら、当たり前のようにバレーボール同好会に所属するようになっていた。もしかしたら同好会といえども、強い人がいるかもしれない、大会に出て勝ちたいと思っている人がいるかもしれない。そうであれば真希がいつ戻ってきても大丈夫。そんな期待を抱いていた。
それはすぐに打ち砕かれた。同好会と言うだけあって、体を動かすことが目的の人しかいなかった。もちろんそれは悪いことではない。バレーボールに限らず、何かをする目的など人それぞれで、私の理想を押し付けるわけにはいかない。
それでも私は同好会に所属し、バレーを続けた。女王と呼ばれた全国トップレベルの選手、私が今の高校生の中でなら日本で一番強いと信じて疑わない、王木真希が戻って来るんじゃないか、そう思って練習を重ねてきた。またいつか共にコートで戦う日が来るのではないか、そのときのために真希の居場所を作っておきたかった。

一年生の秋から毎週土曜日は予備校に通うようになった。その帰り道、真希が大学から何人かの女子学生と一緒に出てくるのを見かけた。夜遅いが街灯が灯っていて、こちらに気づかれないかドキリとしたが、何やら話込んでいてこちらに気がつく様子はない。真希はバレーで使うボールのメーカーのロゴが入った袋を抱えていた。他の学生も同様で、どうやら大学の部活かサークルに交じってバレーをしているようだった。
 真希が今出てきた大学は、東王大学といってバレーボールで何度も大学日本一にもなっている強豪だ。真希の身長は一七五センチと女子としては大柄だが、他の学生も負けず劣らず大きい。真希より頭一つ分大きい人もいる。これだけ体格に恵まれた人たちなのだから、きっとサークルではなく部活でやっている人たちなのだろう。
 どうして真希が高校の同好会ではなく、大学の部活に参加しているのかは分からない。私たちの同好会に参加してくれればいいのに、私は少しだけもやもやした。ただ、楽しそうな真希を久しぶりに見て安心したのも事実だ。
 中三の部活引退後、あんなことがあってバレーを続ける気をなくしてしまったと思っていたが、やはり好きなのだろう。バレーを、試合を、勝利を、だれよりも渇望し愛していた人だ、そう簡単には諦められないのだ。
きっといつか、真希の気が変わって同好会に参加するようになって、県大会を勝ち抜き、全国にいけるようになるんじゃないか、そんな淡い期待をしているうちに高校三年の春になってしまった。
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