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1章:初体験からの初体験
1章:初体験からの初体験(4)
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心臓の表面で一瞬止まった光は、そのままあっさりと貫通し、遠くの雲に大きな穴をあけた。
ダムレイの心臓は色を失い、黒い塵となって消えていく。
さらに灰色だったその巨体も、徐々に黒く染まり、立ったまま動かなくなった。
「やった……のか……?」
「ダムレイ……活動を停止……。これまで見られた体表面の電磁波も確認できません!」
「「「「お……おおおおおお!」」」」
隊員達から歓声が上がる。
害異が観測されてから半年間の悲願だ。
喜びもするだろう。
「少女を救出して! 早く!」
しかしそれも、真白さんの一言でぴたりと止まる。
すぐに車両に乗り込んだ数名の隊員が赤石の元へと向かう。
よれよりも……。
「伊予ちゃん! いるんだろ!?」
僕は思わず叫んでいた。
真白さんが首を傾げたが、かまっている場合ではない。
「伊予ちゃん!」
――いないよ。
頭の中に響いたのは、間違いなく伊予ちゃんの声だ。
――これはね、ジュン君に力を渡した時の残り香みたいなものなの。
――だから、もうすぐ消えちゃう。
――だいたいのことは真白さんに伝えてあるから、彼女に聞いてね……。
「伊代ちゃん! 伊代ちゃん!」
どれだけ叫んでも、再び彼女の声が聞こえることはなかった。
そしてすぐに、僕の体から力が抜け始めた。
がくりとひざから崩れ落ちる。
「ジュン君!?」
真白さんが抱き留めてくれたが、僕のまぶたは重たく、ゆっくりと閉じていく。
「真白さん……説明してくだ……さい……なぜ……伊予ちゃん……は……」
最後まで言うこともできず、僕の意識は闇へと沈んでいった。
◇ ◆ ◇
僕は自室のベッドに入っていた。
となりには幼なじみの伊代ちゃんが裸で眠っている。
窓の外からは雀の鳴き声。
スマホを見ると、7月21日の早朝である。
ああそうか……これはあの時の夢だ。
「伊代ちゃん……」
僕は伊代ちゃんにそっとキスをした。
「ん……」
彼女はそっと薄く目を開ける。
トレードマークのポニテが解かれた姿に、あらためてどきりとする。
中学、高校と進学するにつれてだんだんと疎遠になっていった幼なじみ。
僕が高校でいじめられるようになってから、唯一庇ってくれたのは彼女だった。
そんな彼女が昨晩、久しぶりに部屋に来た。
これまでの彼女からはありえない積極さで迫られ、僕達はお互いの初めてを捧げあった。
幸福と快楽に満ちた時間はあっという間に過ぎ、朝を迎えたのだ。
「ごめんね……」
彼女は狭いベッドの中で、焦点の合わない瞳で僕を見つめた。
「なにが……? すごく嬉しかったよ?」
「ひどいことに巻き込んじゃう。でもあたし、相手はジュン君じゃなきゃイヤだったの……。これからジュン君はいろんな人とすることになると思うけど……」
「どういうこと? 何を言ってるの?」
疑問の声を上げた僕の口を、伊代ちゃんの細い人差し指がそっと塞ぐ。
「ちょっと妬けちゃうけど……拒まないでね。それが世界のためなの。全てが終わったら、あたしをさっきみたいな優しいキスで起こしてね……」
弱々しくそう言った彼女の目は、二度と開くことはなかった。
その直後、部屋になだれ込んできた真白さん達に謎の施設に連れて行かれることになる。
意識の戻らない伊代ちゃんは、謎の施設に保護された。
さらに、そこにいたのが赤石と一晩を過ごすように言われ、今に至るのだ。
あの朝は、「世界ってなんだよ」と思ったけれど、今なら少しだけ理解できる。
僕に『主人公をやれ』ということなんだ。
どうしてこうなったのか、伊代ちゃんが何を知っていたのかはわからないけれど。
ダムレイの心臓は色を失い、黒い塵となって消えていく。
さらに灰色だったその巨体も、徐々に黒く染まり、立ったまま動かなくなった。
「やった……のか……?」
「ダムレイ……活動を停止……。これまで見られた体表面の電磁波も確認できません!」
「「「「お……おおおおおお!」」」」
隊員達から歓声が上がる。
害異が観測されてから半年間の悲願だ。
喜びもするだろう。
「少女を救出して! 早く!」
しかしそれも、真白さんの一言でぴたりと止まる。
すぐに車両に乗り込んだ数名の隊員が赤石の元へと向かう。
よれよりも……。
「伊予ちゃん! いるんだろ!?」
僕は思わず叫んでいた。
真白さんが首を傾げたが、かまっている場合ではない。
「伊予ちゃん!」
――いないよ。
頭の中に響いたのは、間違いなく伊予ちゃんの声だ。
――これはね、ジュン君に力を渡した時の残り香みたいなものなの。
――だから、もうすぐ消えちゃう。
――だいたいのことは真白さんに伝えてあるから、彼女に聞いてね……。
「伊代ちゃん! 伊代ちゃん!」
どれだけ叫んでも、再び彼女の声が聞こえることはなかった。
そしてすぐに、僕の体から力が抜け始めた。
がくりとひざから崩れ落ちる。
「ジュン君!?」
真白さんが抱き留めてくれたが、僕のまぶたは重たく、ゆっくりと閉じていく。
「真白さん……説明してくだ……さい……なぜ……伊予ちゃん……は……」
最後まで言うこともできず、僕の意識は闇へと沈んでいった。
◇ ◆ ◇
僕は自室のベッドに入っていた。
となりには幼なじみの伊代ちゃんが裸で眠っている。
窓の外からは雀の鳴き声。
スマホを見ると、7月21日の早朝である。
ああそうか……これはあの時の夢だ。
「伊代ちゃん……」
僕は伊代ちゃんにそっとキスをした。
「ん……」
彼女はそっと薄く目を開ける。
トレードマークのポニテが解かれた姿に、あらためてどきりとする。
中学、高校と進学するにつれてだんだんと疎遠になっていった幼なじみ。
僕が高校でいじめられるようになってから、唯一庇ってくれたのは彼女だった。
そんな彼女が昨晩、久しぶりに部屋に来た。
これまでの彼女からはありえない積極さで迫られ、僕達はお互いの初めてを捧げあった。
幸福と快楽に満ちた時間はあっという間に過ぎ、朝を迎えたのだ。
「ごめんね……」
彼女は狭いベッドの中で、焦点の合わない瞳で僕を見つめた。
「なにが……? すごく嬉しかったよ?」
「ひどいことに巻き込んじゃう。でもあたし、相手はジュン君じゃなきゃイヤだったの……。これからジュン君はいろんな人とすることになると思うけど……」
「どういうこと? 何を言ってるの?」
疑問の声を上げた僕の口を、伊代ちゃんの細い人差し指がそっと塞ぐ。
「ちょっと妬けちゃうけど……拒まないでね。それが世界のためなの。全てが終わったら、あたしをさっきみたいな優しいキスで起こしてね……」
弱々しくそう言った彼女の目は、二度と開くことはなかった。
その直後、部屋になだれ込んできた真白さん達に謎の施設に連れて行かれることになる。
意識の戻らない伊代ちゃんは、謎の施設に保護された。
さらに、そこにいたのが赤石と一晩を過ごすように言われ、今に至るのだ。
あの朝は、「世界ってなんだよ」と思ったけれど、今なら少しだけ理解できる。
僕に『主人公をやれ』ということなんだ。
どうしてこうなったのか、伊代ちゃんが何を知っていたのかはわからないけれど。
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