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11話
今日の夕食はビーフシチュー。
シンプルな白い皿からは湯気と食欲をそそる匂いがたちのぼっている。
ルークスはそっと頬を緩めてスプーンを手に取った。
「ルベリオ、今日の学校はどうだった?」
「いつも通り、普通の日だよ!」
数日ぶりに現れたルークスには目もくれず、両親はしきりにルベリオに話を振る。
ルベリオはそのひとつひとつに、楽しげだったり不満げだったりと感情豊かに答えていった。
兄としてのプライドか優しさか、弟の反抗期を終わらせる使命感に燃えているらしく時折ルークスにも話を振っては弟のすげない態度に頬を膨らませていた。
ルークスはさっさといつも通り3人だけの家族団欒に戻ってはくれないかと内心溜息をつきながら、ホロホロの牛肉に舌づつみを打った。
「今日の放課後はどこにいってたの?」
「ああ!カルドの家に遊びに行ってたんだ」
「サンドール家のご子息か。お前は相変わらず顔が広いな」
人間関係の話になると余計にルークスが入る隙はない。人目があろうと魔物たちと会話をしていたら、いつしか友達を作るどころか周りに誰も近寄らなくなってしまった。
1度目の時も今も、完全なる自業自得で友人が居ないのだ。
「サンドール家といえば近々ご長男が当主の座を継がれるとか」
「ああ。跡継ぎといえばラムサール家も...」
テンポよく進む会話を右から左へと聞き流しながら、また1口ビーフシチューを口に運ぶ。
よく考えると魔物たちが友人と言えるのだろうか、いやそんなことより魔物といえばレディ・リリィの噂が...
取り留めなくそんな思考を巡らせていると、クロードのある言葉が頭に飛び込んできた。
「...ああ、そこは末子が森で行方不明になったとか。お気の毒な事だ」
あやうく口の中のものを吹き出すところだった。
なんというタイミング。
これはレディ・リリィから聞いた噂に関する有益な情報かもしれない。
父の機嫌を損ねる覚悟で口を挟むか、成り行きに任せるか...ルークスは瞬時に2つを天秤にかける。
「行方不明?そんなことがあったんですの?」
思わぬ助け舟。アリアが興味を示したことでこの話はしばらく続きそうだ。
ルークスはスプーンを動かす手を止めて真剣に耳を傾けた。
「なんでも森に遊びに行ってそれきり帰ってこないらしい。捜索隊を組んで捜索したが見つからずじまいだそうだ」
「まぁ...。誘拐なんてことはないんですの?」
「今の今までなんの要求もない訳だからな...。身代金目的の誘拐の線は薄いだろう。
それに、街の方でも同じような話があるらしい」
ルークスは必死で頭の中のメモ帳に情報を書き込んでいく。
これは街でも聞き込みを行う必要がありそうだ。
「そういう話なら俺も聞いたことがあるよ」
「まあ、ホントなのルベリオ」
思わずルークスは勢いよくルベリオの方に顔を向けた。それに驚いたのか僅かに身を引いてからルベリオは額に拳をあてて、記憶を手繰り寄せながら話し出した。
「友人が言うには親戚のところの子供が忽然と消えてしまったと。その子は森に入ったのかどうかは分からないけど」
「そんなに立て続けに...物騒ね」
「その親戚は魔物の仕業だと怯えてしまって大変なのだと嘆いてたよ」
森に迷い込んだ子供ばかりでなく、森の外でも動いている可能性があるのか!
ルークスは一気に興奮した。
これは思っていたより兄の失踪を阻止するために重要な1歩かもしれない。
それに、子供たちの安否も気になるところだ。
情報が集まったら直接森に行こうかとルークスは思案する。
「ルークス?」
「!!...兄上」
「またボーッとしてどうした?やっぱりまだ具合が悪いの?」
「ううん、大丈夫」
気付けば3人はまた他愛もない話に花を咲かせている。
ルークスは明らかに自分だけ減りが早い皿の中身を見ながら、先に食べ終わり退席して後で兄に小言を言われる面倒くささと食べるスピードを調整する面倒くささを天秤にかけた。
シンプルな白い皿からは湯気と食欲をそそる匂いがたちのぼっている。
ルークスはそっと頬を緩めてスプーンを手に取った。
「ルベリオ、今日の学校はどうだった?」
「いつも通り、普通の日だよ!」
数日ぶりに現れたルークスには目もくれず、両親はしきりにルベリオに話を振る。
ルベリオはそのひとつひとつに、楽しげだったり不満げだったりと感情豊かに答えていった。
兄としてのプライドか優しさか、弟の反抗期を終わらせる使命感に燃えているらしく時折ルークスにも話を振っては弟のすげない態度に頬を膨らませていた。
ルークスはさっさといつも通り3人だけの家族団欒に戻ってはくれないかと内心溜息をつきながら、ホロホロの牛肉に舌づつみを打った。
「今日の放課後はどこにいってたの?」
「ああ!カルドの家に遊びに行ってたんだ」
「サンドール家のご子息か。お前は相変わらず顔が広いな」
人間関係の話になると余計にルークスが入る隙はない。人目があろうと魔物たちと会話をしていたら、いつしか友達を作るどころか周りに誰も近寄らなくなってしまった。
1度目の時も今も、完全なる自業自得で友人が居ないのだ。
「サンドール家といえば近々ご長男が当主の座を継がれるとか」
「ああ。跡継ぎといえばラムサール家も...」
テンポよく進む会話を右から左へと聞き流しながら、また1口ビーフシチューを口に運ぶ。
よく考えると魔物たちが友人と言えるのだろうか、いやそんなことより魔物といえばレディ・リリィの噂が...
取り留めなくそんな思考を巡らせていると、クロードのある言葉が頭に飛び込んできた。
「...ああ、そこは末子が森で行方不明になったとか。お気の毒な事だ」
あやうく口の中のものを吹き出すところだった。
なんというタイミング。
これはレディ・リリィから聞いた噂に関する有益な情報かもしれない。
父の機嫌を損ねる覚悟で口を挟むか、成り行きに任せるか...ルークスは瞬時に2つを天秤にかける。
「行方不明?そんなことがあったんですの?」
思わぬ助け舟。アリアが興味を示したことでこの話はしばらく続きそうだ。
ルークスはスプーンを動かす手を止めて真剣に耳を傾けた。
「なんでも森に遊びに行ってそれきり帰ってこないらしい。捜索隊を組んで捜索したが見つからずじまいだそうだ」
「まぁ...。誘拐なんてことはないんですの?」
「今の今までなんの要求もない訳だからな...。身代金目的の誘拐の線は薄いだろう。
それに、街の方でも同じような話があるらしい」
ルークスは必死で頭の中のメモ帳に情報を書き込んでいく。
これは街でも聞き込みを行う必要がありそうだ。
「そういう話なら俺も聞いたことがあるよ」
「まあ、ホントなのルベリオ」
思わずルークスは勢いよくルベリオの方に顔を向けた。それに驚いたのか僅かに身を引いてからルベリオは額に拳をあてて、記憶を手繰り寄せながら話し出した。
「友人が言うには親戚のところの子供が忽然と消えてしまったと。その子は森に入ったのかどうかは分からないけど」
「そんなに立て続けに...物騒ね」
「その親戚は魔物の仕業だと怯えてしまって大変なのだと嘆いてたよ」
森に迷い込んだ子供ばかりでなく、森の外でも動いている可能性があるのか!
ルークスは一気に興奮した。
これは思っていたより兄の失踪を阻止するために重要な1歩かもしれない。
それに、子供たちの安否も気になるところだ。
情報が集まったら直接森に行こうかとルークスは思案する。
「ルークス?」
「!!...兄上」
「またボーッとしてどうした?やっぱりまだ具合が悪いの?」
「ううん、大丈夫」
気付けば3人はまた他愛もない話に花を咲かせている。
ルークスは明らかに自分だけ減りが早い皿の中身を見ながら、先に食べ終わり退席して後で兄に小言を言われる面倒くささと食べるスピードを調整する面倒くささを天秤にかけた。
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