心中エンド絶対回避のお約束!

ぶんゆ

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42話

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その会話が耳に入ってきたとき、ルークスは「来てしまった」と思わず天を仰いだ。

「もう18か。早いな。高等部の入学祝いは何がいい?」
「俺、沢山色が入った色鉛筆が欲しいんだよ!」
「あらあら、ふふ、ちょっと子供っぽいんじゃない?」

相変わらずルークス抜きで和気あいあいと進むその会話の内容には、嫌という程覚えがある。
人間、どれほど理不尽でも責められ続けると段々自分が悪い気になってくるものだが、過去両親に責められ続けたルークスも「自分がなにかしてしまったのではないか」と血迷った時があった。そんな時は、兄が消える前の出来事を何度も何度も隅々まで思い返したものだ。
だからよく覚えている。
兄が消える直前の夕食の席で交わされたこの会話を。

「ルークス!ルークスは何がいい?」
「・・・僕は別に」
「え~~」

そう、こうやってルベリオが話を振ってくるのも同じ。両親の「何故お前が」と言いたげな苦い表情も同じ。
ここまで一致するとなると、今日は「本来ルベリオが消える日」、つまり運命の日である可能性は高い。
ルークスは思わず吐き出しそうになった溜息を飲み込んで、兄に向けて微笑んでみせた。

「考えておくよ」
「そうしな!せっかくだしね」

ルークスの返答に気をよくしたようでルベリオはまた前に向き直った。
それにホッと肩の力を抜きつつ、この後のことに考えをめぐらせる。
あの子共攫いの魔物以来、怪しい噂や情報は集められなかった。あいつを追い払ったことでなにか変わったと信じたいが・・・
その他にもルークスが起こした様々な行動で変わったことは多い。悲観はしたくないところだ。
とはいえ、最悪を想定し対策しておくに越したことはない。
そのためには・・・

「そうだ!ルークス、この後俺の部屋に来ない?」

この誘いはなんとしてでも断る必要があるだろう。
ルークスは両親の方を意識して見ないように努めながら、さも申し訳なさそうな顔を作って見せた。

「ごめん、兄上・・・。僕用事があって・・・」
「え?夜中に?」
「うん。帰ってきたらどんな用事だったか話すからさ」
「そっかぁ・・・先に予定があるなら仕方ないね。・・・うーん、明日は?」
「多分大丈夫」
「じゃあ明日にしよう!」

はしゃぐルベリオと指切りげんまんをしながら、思いのほかアッサリと認めて貰えたことにホッとする。両親の口出しもなくなによりだ。
屋敷周りの魔物たちには今日は近付かないように伝えて、自分自身もなるべく屋敷から離れよう。
ルークスはこっそり決意を固めると、軽く頷いた。
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