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26-1 ディークの想いとセルヴィの想い
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セルヴィはディークと触れ合うようになってから、次第に使用人たちとも少しずつ会話をするようになっていた。今までも全く話さないという訳ではなかったが、しかし、やはり一線引いたような、壁があるような、そんな態度だった。
しかし、最近は自分から声を掛けることも増えて来た。そんなセルヴィの姿にディークは微笑ましくもあり、なんだか自分だけが知っていた可愛いセルヴィの姿を皆に知られていくのが悔しいという独占欲も込み上げたり、となにやら複雑な心境で過ごしていた。
(まあでも、やはり殿下はもっと皆と交流したほうが良いよな……呪いがなくなったときのためにも……)
そうディークは苦笑する。
(いずれ呪いがなくなったとき、殿下は……)
ディークは一人考え込む。この先呪いがなくなったときのことを。そのときのために自分が出来ることはなんだろうか。ディークは常にそう考えるようになっていた。
「殿下、皆でガーデンパーティでもしませんか?」
「え?」
唐突にディークが提案し、セルヴィは固まった。
「な、なんで急にそんなことを?」
「え? いえ、別に急でもないですけどね。最近、殿下も皆とよく話されるようになってきましたし、もっと仲良くなっても良いんじゃないかと思って」
「……分かった」
「じゃあ、トルフさんとイアンにお願いしてきますね!」
ディークは意気揚々とセルヴィの執務室から出て行った。
セルヴィ自身は別に皆とこれ以上仲良くする必要もないのでは、と思っていたが、しかし、ディークが望むのならば、と頷いた。他の人間と仲良くさせることで、ディークが自分から離れて行こうとしているのではないか、とセルヴィは不安にもなる。しかし、それを口にすることも出来ず、ただ嬉しそうなディークの顔が見たい、それだけだった。
ディークがトルフとイアンにガーデンパーティの提案をすると、二人とも驚き目を見開いたが、大いに喜び頷いた。
「まさか殿下が皆と交流を望んでくださるなんて……」
トルフは泣いて喜んだ。その姿にディークはイアンと顔を見合わせ笑い合う。
「いやぁ、しかし本当にびっくりだな。どうやって殿下を変えたんだ?」
ニヤッとしながらイアンが聞いてくるが、ディークはもう焦ることもなかった。以前ならばセルヴィに欲情する自分に焦り、他人からのからかいに戸惑っていたが、もう今はセルヴィを愛していることを認めていた。セルヴィに欲情する自分のことも認めていた。だからディークはもうたじろぐこともなかった。
「んー、愛?」
イアンは驚いた顔をしたが、そんな顔を見てディークが笑い、冗談なんだか本気なのかが分からず苦笑した。
「なんかよく分からんが、まあとりあえず良かったよ。皆も喜ぶだろうしな、豪華な料理を用意してやる」
ニッと笑ったイアンはそう言ってトルフと日程を調整し準備をしてくれることとなった。
ガーデンパーティは昼から夜まで行われる予定で開催された。当日には、庭園に使用人全員が集まり、和気あいあいとしている。皆が信じられないとばかりに、セルヴィの話で持ち切りだ。
そんななかに足を踏み入れるのにやはり抵抗のあるセルヴィは、近くまでやって来たところで足がすくむ。
「殿下? 大丈夫ですか?」
「あ、あぁ……」
セルヴィの顔が少し蒼褪めているように見えたディークは、セルヴィの手を握り、顔を近付けたかと思うとチュッと唇を合わせた。
「!!」
「大丈夫ですよ」
そう言ってぎゅっと抱き締め頭を撫でる。セルヴィはディークの背中に腕を回し、ぎゅうっと抱き締め返した。そしてディークの首筋に顔を埋めると、ディークの香りに安心する自分に気付く。そして、ディークの首筋に唇を這わせ、ペロリと舐めたかと思うと、ジュッと音を立て強く吸った。
「んあっ!? ちょ、ちょっと、殿下!?」
ディークは首筋を舐められ吸われ、ぞくりと下半身が疼く。そのことに焦り、セルヴィの肩を掴みガバッと身体を離した。
「な、なにしてんですか!?」
顔を赤くさせ焦るディークの姿に、セルヴィは目を丸くした後、プッと笑った。
「フ、フフ、いつもの仕返しだ」
「!?」
クスクスと笑うセルヴィの姿に、ディークは焦りはしたがなにやら可愛い仕返しに、小さく溜め息を吐くのだった。
「今夜覚えといてくださいね」
「!?」
ニヤッとしたディークにセルヴィのほうが今度は顔を真っ赤にさせるのだった。
そして必死に顔の火照りをおさめながら、皆のいる場所へと向かう。ディークとセルヴィが現れると、皆一斉にこちらを向き、笑顔で迎える。
セルヴィはたじろぎながらも、ほんの少しの笑みを浮かべはにかみながらその場に混じった。
しかし、最近は自分から声を掛けることも増えて来た。そんなセルヴィの姿にディークは微笑ましくもあり、なんだか自分だけが知っていた可愛いセルヴィの姿を皆に知られていくのが悔しいという独占欲も込み上げたり、となにやら複雑な心境で過ごしていた。
(まあでも、やはり殿下はもっと皆と交流したほうが良いよな……呪いがなくなったときのためにも……)
そうディークは苦笑する。
(いずれ呪いがなくなったとき、殿下は……)
ディークは一人考え込む。この先呪いがなくなったときのことを。そのときのために自分が出来ることはなんだろうか。ディークは常にそう考えるようになっていた。
「殿下、皆でガーデンパーティでもしませんか?」
「え?」
唐突にディークが提案し、セルヴィは固まった。
「な、なんで急にそんなことを?」
「え? いえ、別に急でもないですけどね。最近、殿下も皆とよく話されるようになってきましたし、もっと仲良くなっても良いんじゃないかと思って」
「……分かった」
「じゃあ、トルフさんとイアンにお願いしてきますね!」
ディークは意気揚々とセルヴィの執務室から出て行った。
セルヴィ自身は別に皆とこれ以上仲良くする必要もないのでは、と思っていたが、しかし、ディークが望むのならば、と頷いた。他の人間と仲良くさせることで、ディークが自分から離れて行こうとしているのではないか、とセルヴィは不安にもなる。しかし、それを口にすることも出来ず、ただ嬉しそうなディークの顔が見たい、それだけだった。
ディークがトルフとイアンにガーデンパーティの提案をすると、二人とも驚き目を見開いたが、大いに喜び頷いた。
「まさか殿下が皆と交流を望んでくださるなんて……」
トルフは泣いて喜んだ。その姿にディークはイアンと顔を見合わせ笑い合う。
「いやぁ、しかし本当にびっくりだな。どうやって殿下を変えたんだ?」
ニヤッとしながらイアンが聞いてくるが、ディークはもう焦ることもなかった。以前ならばセルヴィに欲情する自分に焦り、他人からのからかいに戸惑っていたが、もう今はセルヴィを愛していることを認めていた。セルヴィに欲情する自分のことも認めていた。だからディークはもうたじろぐこともなかった。
「んー、愛?」
イアンは驚いた顔をしたが、そんな顔を見てディークが笑い、冗談なんだか本気なのかが分からず苦笑した。
「なんかよく分からんが、まあとりあえず良かったよ。皆も喜ぶだろうしな、豪華な料理を用意してやる」
ニッと笑ったイアンはそう言ってトルフと日程を調整し準備をしてくれることとなった。
ガーデンパーティは昼から夜まで行われる予定で開催された。当日には、庭園に使用人全員が集まり、和気あいあいとしている。皆が信じられないとばかりに、セルヴィの話で持ち切りだ。
そんななかに足を踏み入れるのにやはり抵抗のあるセルヴィは、近くまでやって来たところで足がすくむ。
「殿下? 大丈夫ですか?」
「あ、あぁ……」
セルヴィの顔が少し蒼褪めているように見えたディークは、セルヴィの手を握り、顔を近付けたかと思うとチュッと唇を合わせた。
「!!」
「大丈夫ですよ」
そう言ってぎゅっと抱き締め頭を撫でる。セルヴィはディークの背中に腕を回し、ぎゅうっと抱き締め返した。そしてディークの首筋に顔を埋めると、ディークの香りに安心する自分に気付く。そして、ディークの首筋に唇を這わせ、ペロリと舐めたかと思うと、ジュッと音を立て強く吸った。
「んあっ!? ちょ、ちょっと、殿下!?」
ディークは首筋を舐められ吸われ、ぞくりと下半身が疼く。そのことに焦り、セルヴィの肩を掴みガバッと身体を離した。
「な、なにしてんですか!?」
顔を赤くさせ焦るディークの姿に、セルヴィは目を丸くした後、プッと笑った。
「フ、フフ、いつもの仕返しだ」
「!?」
クスクスと笑うセルヴィの姿に、ディークは焦りはしたがなにやら可愛い仕返しに、小さく溜め息を吐くのだった。
「今夜覚えといてくださいね」
「!?」
ニヤッとしたディークにセルヴィのほうが今度は顔を真っ赤にさせるのだった。
そして必死に顔の火照りをおさめながら、皆のいる場所へと向かう。ディークとセルヴィが現れると、皆一斉にこちらを向き、笑顔で迎える。
セルヴィはたじろぎながらも、ほんの少しの笑みを浮かべはにかみながらその場に混じった。
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