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6-2 限界を迎えるのは早かった
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「ずっと傍で立っているだけならどこかへ行け」
お互いが我慢比べ状態になっていたが、常に誰かが傍にいるということに先に限界を迎えたのはセルヴィだった。四日目の昼、ついに言葉にしてしまった。ディークにしてもすでに我慢の限界ではあったのだが、さすがに自分から言い出すことも出来ないため、必死に耐えていた。
「いえ、これが私の仕事ですので。なにか、他所での仕事を命令されるのでしたら向かいますが?」
そもそもディーク自身、騎士団で遠征や訓練や毎日身体を動かすことしかしていない。近衛というものは特殊な仕事だと思っている。護衛というものも大事な仕事だということは分かっているのだが、なにより何事かが起こらない限りはひたすら立っているだけ、というのがディークの性に合わないのだ。だからセルヴィの言葉をずっと待っていた。
「ならば、城の警備確認でもしておけ。その後はお前の思うように行動すれば良い」
その言葉にディークは満面の笑みになり背筋を伸ばす。
「分かりました! 行って参ります!」
勢い良く返事をしたディークは意気揚々と部屋から出て行った。
「は?」
セルヴィはディークのあまりの行動の早さに唖然としていたのだった。
「あぁぁあ、やっと自由になった!」
ガチガチになった身体を伸ばし、身体をほぐす。一日の終わりに少しの時間でも必ず訓練をし汗を流す。そのおかげで体力や剣術などが衰えることはなかったが、それでも一日中じっとしているというのは、思っていた以上にきつかった。
セルヴィが言い出してくれるのを今か今かと待っていたディークはルンルンで外へと飛び出して行ったのだった。
「さーて、じゃあとりあえず城の周りでも確認するか」
ディークは結界魔石があると聞いた城壁を確認していく。トルフに設置個所を聞き、あちこち歩き回りようやく発見していく。本当に発動するのか疑問になるほど古惚けた魔石が確かに数箇所設置されていた。
散々城壁沿いに歩き続けたため、城の広さや位置関係は大体把握することが出来た。途中洗濯場を発見したときには、またしてもメイドたちに絡まれそうになり、慌てて逃げ出す。
厩舎の位置や物置の位置、外から見た城の内部の位置関係、などを様々な角度から把握していった。翌日も歩き回り、丸一日を掛け、ほぼミルフェン城の全ての位置関係を把握出来た。
そして夜には皆が寝静まったあと、城内を再び歩き回り、夜の様子を確認していく。騎士姿のままランプを持ち、あちこちを歩いてみるが、やはり特に変わったことなどはない。月明りが差し込み、城内の廊下はランプがなくとも歩けるほど明るかった。
最後にセルヴィの部屋がある廊下を確認しようと向かったとき、どこからともなく呻き声のようなものが聞こえて来た。
「?」
ディークは怪訝な顔となる。音のする方向を探りながら歩いていくと、そこはセルヴィの部屋の前だった。
「うぅぅぅ」
やはりセルヴィの部屋だ。
「殿下? どうかされましたか?」
扉を叩き、声を掛けるが返事はない。勘違いか、とディークはその場を離れようとしたが、そのとき『ガタッ!!』と大きな物音が響き渡った。
「!?」
ディークはもう一度声を掛け、扉を開けなかへと入った。
真っ暗な部屋は目が慣れるまで、どういう状況なのか把握出来ない。しかし次第に目が慣れて来ると、いつも執務をしている机の横にセルヴィが倒れていた。
「殿下!?」
お互いが我慢比べ状態になっていたが、常に誰かが傍にいるということに先に限界を迎えたのはセルヴィだった。四日目の昼、ついに言葉にしてしまった。ディークにしてもすでに我慢の限界ではあったのだが、さすがに自分から言い出すことも出来ないため、必死に耐えていた。
「いえ、これが私の仕事ですので。なにか、他所での仕事を命令されるのでしたら向かいますが?」
そもそもディーク自身、騎士団で遠征や訓練や毎日身体を動かすことしかしていない。近衛というものは特殊な仕事だと思っている。護衛というものも大事な仕事だということは分かっているのだが、なにより何事かが起こらない限りはひたすら立っているだけ、というのがディークの性に合わないのだ。だからセルヴィの言葉をずっと待っていた。
「ならば、城の警備確認でもしておけ。その後はお前の思うように行動すれば良い」
その言葉にディークは満面の笑みになり背筋を伸ばす。
「分かりました! 行って参ります!」
勢い良く返事をしたディークは意気揚々と部屋から出て行った。
「は?」
セルヴィはディークのあまりの行動の早さに唖然としていたのだった。
「あぁぁあ、やっと自由になった!」
ガチガチになった身体を伸ばし、身体をほぐす。一日の終わりに少しの時間でも必ず訓練をし汗を流す。そのおかげで体力や剣術などが衰えることはなかったが、それでも一日中じっとしているというのは、思っていた以上にきつかった。
セルヴィが言い出してくれるのを今か今かと待っていたディークはルンルンで外へと飛び出して行ったのだった。
「さーて、じゃあとりあえず城の周りでも確認するか」
ディークは結界魔石があると聞いた城壁を確認していく。トルフに設置個所を聞き、あちこち歩き回りようやく発見していく。本当に発動するのか疑問になるほど古惚けた魔石が確かに数箇所設置されていた。
散々城壁沿いに歩き続けたため、城の広さや位置関係は大体把握することが出来た。途中洗濯場を発見したときには、またしてもメイドたちに絡まれそうになり、慌てて逃げ出す。
厩舎の位置や物置の位置、外から見た城の内部の位置関係、などを様々な角度から把握していった。翌日も歩き回り、丸一日を掛け、ほぼミルフェン城の全ての位置関係を把握出来た。
そして夜には皆が寝静まったあと、城内を再び歩き回り、夜の様子を確認していく。騎士姿のままランプを持ち、あちこちを歩いてみるが、やはり特に変わったことなどはない。月明りが差し込み、城内の廊下はランプがなくとも歩けるほど明るかった。
最後にセルヴィの部屋がある廊下を確認しようと向かったとき、どこからともなく呻き声のようなものが聞こえて来た。
「?」
ディークは怪訝な顔となる。音のする方向を探りながら歩いていくと、そこはセルヴィの部屋の前だった。
「うぅぅぅ」
やはりセルヴィの部屋だ。
「殿下? どうかされましたか?」
扉を叩き、声を掛けるが返事はない。勘違いか、とディークはその場を離れようとしたが、そのとき『ガタッ!!』と大きな物音が響き渡った。
「!?」
ディークはもう一度声を掛け、扉を開けなかへと入った。
真っ暗な部屋は目が慣れるまで、どういう状況なのか把握出来ない。しかし次第に目が慣れて来ると、いつも執務をしている机の横にセルヴィが倒れていた。
「殿下!?」
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