【完結】呪われ王子は生意気な騎士に仮面を外される

りゆき

文字の大きさ
48 / 76

24-2 ディークの決意

しおりを挟む
 ディークはセルヴィの頭を包み込むように抱え、壊れ物を扱うような手付きで撫でた。チュパッと唇を離すと、鼻先を合わせ見詰める。お互いハァハァと荒い息のまま汗だくだ。
 ディークはセルヴィの鼻先にチュッと口付けし、そのままセルヴィの首筋に顔を埋めた。ハァハァと荒い息を整えるように大きく深呼吸をすると、セルヴィの甘い香りが鼻孔を擽り思わず首筋を舐めた。

「んん、ディ、ディーク! も、もう……」
「フフ、すみません」

 セルヴィの匂いを思い切り吸い込み、身体を起こす。お互いの吐き出したモノで身体はぐちょぐちょに……。ディークはセルヴィの頬をひと撫ですると、額にチュッと口付けをしてからセルヴィを抱き上げた。

「な、なにを!?」

 ディークは戸惑うセルヴィを抱えたまま風呂場へと向かい、自身も服を脱ぎ捨てシャワーでお互いの身体を流す。セルヴィはディークの引き締まった身体にドキリとし、目を逸らす。ディークはそんなセルヴィの視線は全く気にならず、セルヴィの身体を洗っていく。優しく手で撫で上げるように洗っていくと、そのたびにセルヴィからは色っぽい声が漏れ、またしてもそそり立ちそうな下半身を必死に耐えるのだった。

(まさか、自分が男にこんな欲情するようになるとはなぁ。他人の男のモノがあんな愛おしく見えるとは……)

 セルヴィのモノを舐め上げていた自分がおかしくて笑いが込み上げる。そんなディークの姿をセルヴィがキョトンとして見ている姿すら可愛く思えて来た自分にさらに笑えたのだった。

 シャワーを終え、お互い服を着ると、すっかり冷めてしまったが軽食を共に摂る。セルヴィはやたらと恥ずかしくなり、俯きながらもそもそと軽食を口にする。
 そんな姿にディークは笑った。

「プッ。そんな緊張しないでくださいよ。いきなりあんなことをしてすみませんでした。でもこれからは毎日しますから」
「はっ!?」

 ディークの爆弾発言にセルヴィはガバッと顔を上げ、ディークを見た。目が合い、みるみるうちに真っ赤になるセルヴィ。そんなセルヴィを微笑ましく目を細めるディークはフフッと笑った。

「ま、毎日!? あ、あ、あんなことをか!?」
「そう、あんなこと」
「!?」
「毎日キスして、身体を撫でて舐めます」
「!?」

 とんでもなく間の抜けた顔となったセルヴィにディークは噴き出した。

「ブフッ。で、殿下……変な顔……ブフッ」
「!!」

 セルヴィは顔を真っ赤にし、涙目になったかと思うと怒った顔となりプイッと横を向いた。

「な、なんのために……」

 ボソッと呟いた言葉にセルヴィは一瞬止まり、そして続けた。

「呪いのため、か?」

 ちらりとディークを見たセルヴィはほんの少し悲しそうな顔に見えた。その意味が分かったディークはクスッと笑い、セルヴィの元へと歩み寄る。そして座るセルヴィを見下ろし、頬に手を伸ばすと、テーブルに片手を付き、顔を寄せた。そしてふんわり唇を合わせると、鼻先をすりっと合わせ見詰めた。

「殿下のことが好きだからしたいんです。呪いはついでです。触れ合うと痛みがマシになるんでしょう?」
「あ、あぁ」
「いくら俺でも好きでもない男のあそこを舐めたりは出来ません」
「!!」

 先程の行為を思い出したのか、カッと真っ赤になったセルヴィはバッと顔を逸らす。

 ディークは仕事熱心だし、のし上がろうという気概も強い。忠誠心も厚い。だがしかし、いくらなんでも男の『アレ』を誰が好んで舐めようとするものか。ディークは他の男の『アレ』を想像しただけで吐き気がする。しかし、セルヴィに対してはなんの躊躇もなく受け入れていた。いや、躊躇どころか自分から欲していた気がする、と苦笑する。

 そして、自身の疼く下半身をセルヴィに突っ込みたい。抱きたい。という衝動に駆られたことに、やはり自分はセルヴィが好きなのだ、と改めて思うのだった。

(殿下のことが好きだ。愛してる……でも……は言わない……知っているのは俺だけでいい……)

 ディークは一人決意を固めた。


しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

ヤンデレ王子と哀れなおっさん辺境伯 恋も人生も二度目なら

音無野ウサギ
BL
ある日おっさん辺境伯ゲオハルトは美貌の第三王子リヒトにぺろりと食べられてしまいました。 しかも貴族たちに濡れ場を聞かれてしまい…… ところが権力者による性的搾取かと思われた出来事には実はもう少し深いわけが…… だって第三王子には前世の記憶があったから! といった感じの話です。おっさんがグチョグチョにされていても許してくださる方どうぞ。 濡れ場回にはタイトルに※をいれています おっさん企画を知ってから自分なりのおっさん受けってどんな形かなって考えていて生まれた話です。 この作品はムーンライトノベルズでも公開しています。

異世界召喚型勇者と(自称)悪役令息

亜桜黄身
BL
異世界から召喚されたゾーイと悪役令息ルカ。 少しMっ気のある執着美形攻め×少し天然な強気受け (他サイトに2021年〜掲載済)

【完結】白豚王子に転生したら、前世の恋人が敵国の皇帝となって病んでました

志麻友紀
BL
「聖女アンジェラよ。お前との婚約は破棄だ!」 そう叫んだとたん、白豚王子ことリシェリード・オ・ルラ・ラルランドの前世の記憶とそして聖女の仮面を被った“魔女”によって破滅する未来が視えた。 その三ヶ月後、民の怒声のなか、リシェリードは処刑台に引き出されていた。 罪人をあらわす顔を覆うずた袋が取り払われたとき、人々は大きくどよめいた。 無様に太っていた白豚王子は、ほっそりとした白鳥のような美少年になっていたのだ。 そして、リシェリードは宣言する。 「この死刑執行は中止だ!」 その瞬間、空に雷鳴がとどろき、処刑台は粉々となった。 白豚王子様が前世の記憶を思い出した上に、白鳥王子へと転身して無双するお話です。ざまぁエンドはなしよwハッピーエンドです。  ムーンライトノベルズさんにも掲載しています。

【完結】悪役に転生したので、皇太子を推して生き延びる

ざっしゅ
BL
気づけば、男の婚約者がいる悪役として転生してしまったソウタ。 この小説は、主人公である皇太子ルースが、悪役たちの陰謀によって記憶を失い、最終的に復讐を遂げるという残酷な物語だった。ソウタは、自分の命を守るため、原作の悪役としての行動を改め、記憶を失ったルースを友人として大切にする。 ソウタの献身的な行動は周囲に「ルースへの深い愛」だと噂され、ルース自身もその噂に満更でもない様子を見せ始める。

【完結】その少年は硝子の魔術士

鏑木 うりこ
BL
 神の家でステンドグラスを作っていた俺は地上に落とされた。俺の出来る事は硝子細工だけなのに。  硝子じゃお腹も膨れない!硝子じゃ魔物は倒せない!どうする、俺?!  設定はふんわりしております。 少し痛々しい。

みにくい凶王は帝王の鳥籠【ハレム】で溺愛される

志麻友紀
BL
帝国の美しい銀獅子と呼ばれる若き帝王×呪いにより醜く生まれた不死の凶王。 帝国の属国であったウラキュアの凶王ラドゥが叛逆の罪によって、帝国に囚われた。帝都を引き回され、その包帯で顔をおおわれた醜い姿に人々は血濡れの不死の凶王と顔をしかめるのだった。 だが、宮殿の奥の地下牢に幽閉されるはずだった身は、帝国に伝わる呪われたドマの鏡によって、なぜか美姫と見まごうばかりの美しい姿にされ、そのうえハレムにて若き帝王アジーズの唯一の寵愛を受けることになる。 なぜアジーズがこんなことをするのかわからず混乱するラドゥだったが、ときおり見る過去の夢に忘れているなにかがあることに気づく。 そして陰謀うずくまくハレムでは前母后サフィエの魔の手がラドゥへと迫り……。 かな~り殺伐としてますが、主人公達は幸せになりますのでご安心ください。絶対ハッピーエンドです。

異世界にやってきたら氷の宰相様が毎日お手製の弁当を持たせてくれる

七瀬京
BL
異世界に召喚された大学生ルイは、この世界を救う「巫覡」として、力を失った宝珠を癒やす役目を与えられる。 だが、異界の食べ物を受けつけない身体に苦しみ、倒れてしまう。 そんな彼を救ったのは、“氷の宰相”と呼ばれる美貌の男・ルースア。 唯一ルイが食べられるのは、彼の手で作られた料理だけ――。 優しさに触れるたび、ルイの胸に芽生える感情は“感謝”か、それとも“恋”か。 穏やかな日々の中で、ふたりの距離は静かに溶け合っていく。 ――心と身体を癒やす、年の差主従ファンタジーBL。

処理中です...