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21-1 舌打ちの応酬
しおりを挟む『グゥゥゥ』
カオスの空気から一転、一斉に俺へと視線が集中……。
「ブッ、失礼致しました。お食事の準備を始めます」
「す、すみません……」
く、くそぅ、恥ずかしい! 空気は和んだが恥ずかしい!
カァァと顔が熱くなり俯いた。メイドさんと目が合うとヘラッと笑って見せ、メイドさんはフフッと笑った。よし、カオス脱出! と、とりあえずは良かった……俺の腹であの空気から脱出出来るならいくらでも恥をかこうじゃないか! うん……。
「アキラはなにをしても可愛い」
ジウシードは耳にちゅっと口付けながら、また小っ恥ずかしい台詞を投げ掛けてきた。いや、もうほんと勘弁して!! いい歳したおっさんに可愛い可愛い連呼しないで!! 痛い奴じゃん!! ラウルとメイドさんの視線が痛い!! そう思っていたのだが、メイドさんはなぜかまたしても青い顔……なんで?
ジウシードは俺の耳元から顔を離すと、テーブルの向かいに座った。な、なんだ? カオス脱出したんじゃないのか? メイドさんどうした!?
「やはりアホに……」
ラウルはジウシードには聞こえないくらいの声でボソッと呟き溜め息を吐いていた……。
ベッドのあった先程の部屋の隣にあるこの部屋には丸いテーブルに椅子、応接椅子だろうか、ローテーブルを挟み、対面で二脚の長椅子が並んでいる。
こちらも外へと繋がるバルコニーが見え、どうやら隣のベッドルームと繋がっているようだ。ベッドルームと同等かそれ以上に広い部屋は、やはり高そうな調度品が並び、あまりの身分不相応な気がしてソワソワしてしまう。
丸テーブルにメイドさんとラウルが手際良く用意していき、その後はなんとか無事に? 食事を開始した。
昼ということでサンドイッチが用意され、テーブルマナーなどよく知らない俺としては、有難いメニューだった。
昨夜からの疲労と、今朝も食事抜き状態だったため、かなり腹が減っていた。だからめちゃくちゃ旨いぃ!!
所謂クラブハウスサンドってやつ? パンが焼いてあって香ばしく、カリカリに焼かれたベーコンにレタス、トマトにキュウリが挟まり、さらにマヨネーズらしきものや、ケチャップらしきもの、さらにマスタードらしきものまでもが塗られていて、本当に旨い!
なんだろ、日本で食べるサンドイッチと全く同じだな。異世界って料理は不味そうなイメージだったから意外だ。
いや、偏見かもしれないが、よく漫画とかにある異世界転移は食事が不味くて辛い、とかもよくあるじゃないか! だからどうしてもね、うん。
食材や調味料も俺の世界とあまり変わらないのだろうか。このサンドイッチは明らかに俺の世界でも食べ慣れた味だ。だからジウシードもあちらの世界であんなあっさりと料理出来たんだろうか。
なんにせよ食事が旨いのは有難い! 食事が不味いと最悪だしな。
サンドイッチの他にはスコーン? 丸いパンみたいなやつと、果物と、紅茶らしきお茶とお茶請けのクッキーまであった。
なんだこれ、アフタヌーンティーというやつか!? なんつー優雅!
「ほんと旨いなぁ」
しみじみと呟くとジウシードが物凄く優しい瞳を向けて微笑んだ。
「フッ、それは良かった」
その笑顔が眩し過ぎて……くっ。なんてイケメン! なんか悔しいぃ!
思わず地団駄を踏みそうになるが、ジウシードのそんな姿にやたらと目を見開き、何度も手がギシッと止まりかけているラウルとメイドさんの動きになんだか俺の方がスンと冷静になったのだった。
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