【完結】異世界転移で落ちて来たイケメンからいきなり嫁認定された件

りゆき

文字の大きさ
84 / 120

42-2 国王選定の儀の再開

しおりを挟む
 ジウシードを始め三領主は武装し、いかにも騎士といった姿。以前見た正装よりも、動きやすさを重視してあるのだろう、無駄な装飾などは一切ないシンプルな騎士服ではあるが、皆やはり背が高くスタイルが良いせいか、シンプルでありながらも……いや、シンプルであるが故に? 均整の取れた肉体がよく分かり、めちゃくちゃかっこいい。
 すらりと長い脚に、引き締まった尻。広い背中に服の上からでも分かる胸筋。ジウシードだけでなく、ウェジエもジェイクも、男から見ても惚れ惚れする。
 三人とも腰から剣を下げ、気を引き締めた顔は精悍で、ますます男っぷりが上がる。

 かっこいいなぁ、羨ましい。同じ男とは思えないよ。自分の貧相さにげんなりするが、しかし、それ以上に三人の格好良さに見惚れた。

 リョウやフェシスも、普段は冷静な表情なのに、さすがにこの三人の凛々しい姿に、俺同様惚れ惚れしているのか、珍しく、ふたりの視線が柔らかかった。各々自身の伴侶に惚れ直しているといったところか。それが分かるとフフッと思わず笑ってしまった。

 その笑ったことに気付いたのか、ジウシードは俺の傍へと寄って来る。

「どうした?」
「ん? いや、みんながあまりにかっこいいから見惚れてた」

 フフッと笑いながら言うと、ジウシードはなぜかギシッと固まり、そして、嬉しそうにふにゃりと笑った。

「皆が、というのは不満だが、お前にかっこいいと言われるのは嬉しい」

 俺の手を取りそう呟いたジウシードは、はにかみながら俺の手にキスをした。それがまた王子様みたいだな! と、ドギマギしつつも、そんなクサい仕草ですら似合うな、と笑った。


 そして転移の部屋。以前、日本から転移してきた場所とはまた違った大広間。そこには十人ほどの魔導師らしき人々が出迎えた。大広間自体には窓がなく、薄暗くはあるのだが、四方にランプが灯され、それなりに明るさは保たれている。

 目の前に並ぶのは黒いローブのようなものを着込んだ、いかにもな姿の魔導師たち。日本ならば中二病を疑われそうだな、とかアホなことを考えてしまう。い、いやいや失礼にもほどがあるわ! この世界じゃ普通なんだろうしな。魔法があるんだから、そら魔導師もいるだろうよ。それに魔導師といえばローブだよな! 魔導師さんたちごめんよ……とか、脳内でひとり突っ込みが繰り広げられていた。

 男も女もいるようだが、皆、なにやら綺麗な宝石のようなものが付いた長い杖を持っていた。杖の形は様々で、先端に付いている宝石も色とりどり違う色だ。大きな宝石であったり、小さな宝石であったりと様々だった。

「どうぞ、部屋の中心へ」

 ひとりの魔導師が声を掛け、各々自分の伴侶と共に、部屋の中心へと向かった。ジウシードは俺の顔をチラリと見ながら、小声で「大丈夫だ」と呟き、ぎゅっと手を握り締めてくれる。ハハ、心配してくれているんだな。うん、ジウシードが一緒なら大丈夫。そう思えたことに嬉しく、そして安心しジウシードの手をグッと握り返した。そのことに嬉しそうに目を細めたジウシードは再び前を向き、真剣な顔となった。

「それでは転移を始めます」

 魔導師が呟くと、ラウルとジェイクの側近が、頭を下げ、部屋の扉付近まで後退る。

「皆様、ご無事のご帰還をお待ちしております」

 ふたりの側近からそう声を掛けられ、皆が頷いた。

 魔導師たちは俺たちの周りに円を描くように並び、杖を中心に向かい翳す。そして、魔導師たちがなにかを呟き出したかと思うと、杖に付いた宝石が激しく光り輝き出した。
 宝石が輝き出し、しばらくすると、ぼんやりと皆の顔が下から照らされていることに気付く。足元へと目をやると、床が輝き出しているのが分かった。

 最初はぼんやりとしていた光が、さらに強い光となり、次第に魔法陣を形作っていくのが分かる。紫色に光り輝き俺たちを下から照らす魔法陣。それは徐々に濃さを増し、そして魔法陣を取り囲むように風が巻き起こり出す。

 風はまるで壁のように魔法陣の周りを渦巻き出し、ゴゴォッと激しい音を立て始める。そして、魔導師たちが一斉に杖を大きく掲げた瞬間、俺たちは一瞬にして魔法陣の上から姿を消した。

 気付いたときには、俺たちは見知らぬ場所へと移動していた。

 目の前に広がるのは「洞窟」というよりも、まるで「神殿」だった……。


しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

《本編 完結 続編 完結》29歳、異世界人になっていました。日本に帰りたいのに、年下の英雄公爵に溺愛されています。

かざみはら まなか
BL
24歳の英雄公爵✕29歳の日本に帰りたい異世界転移した青年

天使のような子の怪我の手当てをしたら氷の王子に懐かれました

藤吉めぐみ
BL
12/23後日談追加しました。 ================= 高校の養護教諭の世凪は、放課後の見回り中にプールに落ちてしまう。カナヅチの世凪は、そのまま溺れたと思ったが、気づくと全く知らない場所にある小さな池に座り込んでいた。 ここがどこなのか、何がどうなったのか分からない世凪に、「かあさま」と呼んで近づく小さな男の子。彼の怪我の手当てをしたら、世凪は不審者として捕まってしまう。 そんな世凪を助けてくれたのは、「氷の王子」と呼ばれるこの国の第二王子アドウェル。 冷淡で表情も変わらない人だと周りに言われたが、世凪に対するアドウェルは、穏やかで優しくて、理想の王子様でドキドキしてしまう世凪。でも王子は世凪に母親を重ねているようで…… 優しい年下王子様×異世界転移してきた前向き養護教諭の互いを知って認めていくあたたかな恋の話です。

異世界転移して出会っためちゃくちゃ好きな男が全く手を出してこない

春野ひより
BL
前触れもなく異世界転移したトップアイドル、アオイ。 路頭に迷いかけたアオイを拾ったのは娼館のガメツイ女主人で、アオイは半ば強制的に男娼としてデビューすることに。しかし、絶対に抱かれたくないアオイは初めての客である美しい男に交渉する。 「――僕を見てほしいんです」 奇跡的に男に気に入られたアオイ。足繁く通う男。男はアオイに惜しみなく金を注ぎ、アオイは美しい男に恋をするが、男は「私は貴方のファンです」と言うばかりで頑としてアオイを抱かなくて――。 愛されるには理由が必要だと思っているし、理由が無くなれば捨てられて当然だと思っている受けが「それでも愛して欲しい」と手を伸ばせるようになるまでの話です。 金を使うことでしか愛を伝えられない不器用な人外×自分に付けられた値段でしか愛を実感できない不器用な青年

世界が僕に優しくなったなら、

熾ジット
BL
「僕に番なんていない。僕を愛してくれる人なんて――いないんだよ」 一方的な番解消により、体をおかしくしてしまったオメガである主人公・湖川遥(こがわはる)。 フェロモンが安定しない体なため、一人で引きこもる日々を送っていたが、ある日、見たことのない場所――どこかの森で目を覚ます。 森の中で男に捕まってしまった遥は、男の欲のはけ口になるものの、男に拾われ、衣食住を与えられる。目を覚ました場所が異世界であると知り、行き場がない遥は男と共に生活することになった。 出会いは最悪だったにも関わらず、一緒に暮らしていると、次第に彼への見方が変わっていき……。 クズ男×愛されたがりの異世界BLストーリー。 【この小説は小説家になろうにも投稿しています】

異世界で王子様な先輩に溺愛されちゃってます

野良猫のらん
BL
手違いで異世界に召喚されてしまったマコトは、元の世界に戻ることもできず異世界で就職した。 得た職は冒険者ギルドの職員だった。 金髪翠眼でチャラい先輩フェリックスに苦手意識を抱くが、元の世界でマコトを散々に扱ったブラック企業の上司とは違い、彼は優しく接してくれた。 マコトはフェリックスを先輩と呼び慕うようになり、お昼を食べるにも何をするにも一緒に行動するようになった。 夜はオススメの飲食店を紹介してもらって一緒に食べにいき、お祭りにも一緒にいき、秋になったらハイキングを……ってあれ、これデートじゃない!? しかもしかも先輩は、実は王子様で……。 以前投稿した『冒険者ギルドで働いてたら親切な先輩に恋しちゃいました』の長編バージョンです。

神様の手違いで死んだ俺、チート能力を授かり異世界転生してスローライフを送りたかったのに想像の斜め上をいく展開になりました。

篠崎笙
BL
保育園の調理師だった凛太郎は、ある日事故死する。しかしそれは神界のアクシデントだった。神様がお詫びに好きな加護を与えた上で異世界に転生させてくれるというので、定年後にやってみたいと憧れていたスローライフを送ることを願ったが……。  2026/01/09 加筆修正終了

異世界に転移したら運命の人の膝の上でした!

鳴海
BL
ある日、異世界に転移した天音(あまね)は、そこでハインツという名のカイネルシア帝国の皇帝に出会った。 この世界では異世界転移者は”界渡り人”と呼ばれる神からの預かり子で、界渡り人の幸せがこの国の繁栄に大きく関与すると言われている。 界渡り人に幸せになってもらいたいハインツのおかげで離宮に住むことになった天音は、日本にいた頃の何倍も贅沢な暮らしをさせてもらえることになった。 そんな天音がやっと異世界での生活に慣れた頃、なぜか危険な目に遭い始めて……。

【完結】気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件

白井のわ
BL
雄っぱいが大好きな俺は、気が付いたら大好きなblゲーの主人公になっていた。 最初から好感度MAXのマッチョな攻略対象達に迫られて正直心臓がもちそうもない。 いつも俺を第一に考えてくれる幼なじみ、優しいイケオジの先生、憧れの先輩、皆とのイチャイチャハーレムエンドを目指す俺の学園生活が今始まる。

処理中です...