【完結】異世界転移で落ちて来たイケメンからいきなり嫁認定された件

りゆき

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43-2 扉を開ける鍵

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 手を繋いでいることに恥じらうでもなく、しれっとしていたジウシードが少し考える素振りを見せた後、リョウに聞いた。

「ハハ、意外とジウシードのほうが理解が早いな」

 リョウは笑いながら言い、ウェジエとジェイクはばつが悪そうに目を逸らす。リョウはそれを気にするでもなく、おもむろにジェイクの胸倉を掴んだかと思うと、上着をグイッと引っ張り広げ、ジェイクの胸が露わに……。

「うぉぉい!! な、なにしてやがる!!」

 お、おぉ……ジウシードも凄い胸筋だが、ジェイクも凄いな……とか思ってしまい、まじまじと見詰めてしまった……。ジウシードが若干ムッとし、握っていた手をグイッと引いた。じとっとした目で見詰められ苦笑する。

「こんなところでヤル訳じゃないんだから、そんな恥ずかしがるな。誓約の証だよ」

 ニヤッとしながらリョウに言われ、顔を真っ赤にしたジェイクは頭から湯気が出るのではというくらい怒り心頭だった。ハハハ……。

「ヤ、ヤルとか言うな!! いきなり剥くやつがあるか!! く、くそっ」

 怒り心頭のジェイクをよそに、リョウはジェイクの誓約の証を指差した後、扉を指差す。ウェジエは苦笑し、フェシスは相変わらずしれっとしているし……俺は乾いた笑いしか出なかった。ジェイクよ、頑張れ……。

「この扉に俺たちの誓約の証と同じ紋様が刻まれている。おそらくお前たちの誓約の証もだろう。きっとそれが扉を開く鍵となっているんだ」

 リョウの指差すところには確かに誓約の証の紋様と似たような紋様が、扉全体の模様のなかに組み込まれるように描かれていた。その紋様とジェイクの胸にある紋様を見比べると確かに同じ……。

「私たちのはこれですね」

 フェシスが指差した箇所にはジェイクの紋様とは違う紋様が。そして、リョウがもう一箇所指差す。

「おそらくこっちは兄貴たちのだろ?」

 そう言われ、その指差された箇所を見る。確かに俺たちの紋様と同じ紋様がそこにはあった。真ん中には俺たちの、右にはリョウとジェイクの、左にはウェジエとフェシスの紋様。三つの紋様が並んで描かれている。

「なるほど、これらの扉に描かれた紋様を伴侶同士で触れてみるのだな?」
「あぁ」

 ジウシードが整理し聞くと、リョウが頷いた。

「なら、そう言え!! わざわざ俺を剥くな!!」
「誓約の証と扉の紋様を見比べるためだろ。それとも俺の胸が見たかったか?」
「!! だ、誰が!!」
「そうか、見たくないか……」
「え、いや、そうじゃなく……」

 リョウが俯き、顔を逸らすとジェイクが明らかに焦り出す。しかし、それにプッと小さく噴き出したリョウが顔を上げると悪そうな顔……。

「まあ、こんなところで自分から見せる馬鹿はいないがな」

 ジェイクが真っ赤な顔でブチ切れた。ブチ切れたが……完全にリョウに遊ばれているな……ハハハ……。ジェイク、諦めろ……お前じゃリョウには勝てない……。

 ジェイクはギャーギャーとずっと怒り狂っているが、リョウは「はいはい」といった様子でジェイクの手を引いていた。俺たちはそんなふたりに苦笑するが、とりあえず扉を開けることが先だ、と、お互い伴侶と共に扉にある紋様に手を重ね合わせた。

 手のひらと同じ大きさほどの紋様は俺たちが触れると、紋様と同じ色で輝き出した。俺たちの紋様は赤く、ウェジエとフェシスの紋様は緑に、リョウとジェイクの紋様は青に……各々髪色と同じ色の誓約の証。それらが激しく光ったと思うと扉全体に広がった模様が誓約の証から色が流れていくかのように広がり、そして全ての色が混ざり合った瞬間、扉全体が激しく光り、そして消失した。

 模様どころか扉全てが消え去り、扉のあった場所にはぽっかりと大きな穴が開き、その先は暗闇が広がっていた。

「お、おぉ……扉が消えた……」

 扉に触れていた手はなにもない空間に伸び、唖然としていた俺たちは腕を下げた。そして、全員顔を見合わせ頷き合う。

「アキラ、俺から離れるな」
「うん」

 ジウシードが俺を背後に庇い呟く。ウェジエとジェイクも同様だ。ジェイクはすでにリョウにからかわれていたことを忘れたのか、意外とちゃんと心配をしているのだな、と思えるくらいには、リョウを背後に庇っていた。それがなんだか微笑ましく、思わずにやけてしまいそうで、バレたらジェイクに殺されそうだ、と必死に平静を装いました……。

「さて、では行こう」

 ウェジエが先導し、俺たちはそれに続いた。


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