97 / 120
49-1 最後の試練
翌朝、警戒しながらドラゴンが出て来た洞窟の先へと進んで行く。そこからは特に何事も起こらず、しかし、全くなにも起こらないということが却って不気味さを増した。洞窟内は俺たちの靴音が反響し、たまに聞こえてくる不審な音にビクッとなりながらも、ジウシードたちが全く動揺していない姿に安心する。
しばらく歩いた後、再び広く大きな空間に出た。そしてそこは行き止まり……
「なんだ? 終点か?」
ジェイクが眉間に皺を寄せながら呟く。俺たちも全員、キョロキョロと周囲を見回すが、そこはただ広い空間というだけで、それ以上先へと進む道らしきものはなかった。
「あそこになにか見えるな」
ウェジエが指差した方向へと目をやると、洞窟内一番奥と思われる岩肌に、なにやら模様が……
「俺たちの紋様だな」
ジウシードが呟く。確かに俺たちの紋様らしきものが遠目に見える。この洞窟へと転移したとき、最初にあった扉に描かれてあったものと同じだ。近寄ってみると、同じような大きさで描かれ、そして、よく見るとあのとき同様に扉のようなものが……。しかし、あのときと違うということがすぐに分かった。それは紋様に合わせて扉が三つあるからだ。
「これは……各々その扉に入れ、ということか?」
「おそらくは……そうだろうな……」
皆が扉と紋様を見比べ、周りを見回す。この扉らしきもの以外には特に目立ったものはなにもない。
そしてウェジエが呟いた言葉をリョウが肯定する。俺たちは顔を見合わせ、そして意を決するように頷き合った。今度は一体なにが起こるのか。身体が強張る。ジウシードはそんな俺を安心させるかのように肩を抱いた。
「俺がいる。大丈夫だ」
「う、うん」
俺たちは各々自分たちの紋様がある扉の前に立った。そしてお互い伴侶同士、手を取り合い扉の紋様へと触れる。
俺たちが触れた紋様は入り口同様、俺たちの誓約の証と同じ色で輝き出した。ゴクリと生唾を飲み込み、緊張が走る。
眩い光を放った紋様に導かれるように、扉全体が光を放ち出し、あまりの眩しさに目を細め、腕で顔を庇う。眩い光が少し落ち着いたかと思うと、扉は消失し、扉の先が広がっていた。しかし、それは相変わらず光り輝き、真っ白の空間のようになっている。
床も天井もなにも分からないただ真っ白の空間。そこへ足を踏み入れなければならない恐怖。一体その先にはなにが待ち受けているのか……。
ジウシードの俺の肩を掴む手に力が籠ったのが分かった。チラリとジウシードの顔を見ると、ジウシードはフッと優しく微笑んだ。「大丈夫だ」そう聞こえた気がする。言葉がなくとも、そのジウシードの表情で分かる。うん、きっと俺たちは大丈夫だ。
俺たちは再び顔を見合わせ、そしてお互いの健闘を祈るかのようにニッと笑い合い、その扉の先へと進んだ。
光の先へ。
扉のなかへと一歩足を踏み入れた瞬間、再び激しく光を増した空間は、俺たちを光で飲み込んだ。
◇◇
「ここは……」
ジウシードは眩しさのあまり瞑っていた目を開けた。そこは先程の洞窟とは全く違う場所……。
「!?」
先程まであったはずの手に伝わるぬくもりがない。ハッとし、驚き周りを見回す。
「ウェジエ! ジェイク! お前たち、伴侶は!?」
アキラがいない。ウェジエとジェイクの姿はあるが、リョウとフェシスの姿も見えない。一体どういうことだ、とジウシードは焦る。
ウェジエとジェイクも視界が戻って来たのか驚愕の顔をする。辺りを見回し、そして自身の伴侶の姿がないことに気付く。
「ど、どういうことだ……ここは……転移した部屋じゃないか……」
ウェジエが呆然としながら呟く。ジェイクも怪訝な顔。ここは試練の洞窟へと向かうために転移した最初の場所。魔導師たちが魔法陣を発動させた部屋。なぜこの場所に戻されたのか。しかも領主たちだけだ。伴侶がいない。
「なんだ!? どういうことだ!? リョウたちはどこへ行った!?」
「なぜ俺たちだけがここに……」
しばらく歩いた後、再び広く大きな空間に出た。そしてそこは行き止まり……
「なんだ? 終点か?」
ジェイクが眉間に皺を寄せながら呟く。俺たちも全員、キョロキョロと周囲を見回すが、そこはただ広い空間というだけで、それ以上先へと進む道らしきものはなかった。
「あそこになにか見えるな」
ウェジエが指差した方向へと目をやると、洞窟内一番奥と思われる岩肌に、なにやら模様が……
「俺たちの紋様だな」
ジウシードが呟く。確かに俺たちの紋様らしきものが遠目に見える。この洞窟へと転移したとき、最初にあった扉に描かれてあったものと同じだ。近寄ってみると、同じような大きさで描かれ、そして、よく見るとあのとき同様に扉のようなものが……。しかし、あのときと違うということがすぐに分かった。それは紋様に合わせて扉が三つあるからだ。
「これは……各々その扉に入れ、ということか?」
「おそらくは……そうだろうな……」
皆が扉と紋様を見比べ、周りを見回す。この扉らしきもの以外には特に目立ったものはなにもない。
そしてウェジエが呟いた言葉をリョウが肯定する。俺たちは顔を見合わせ、そして意を決するように頷き合った。今度は一体なにが起こるのか。身体が強張る。ジウシードはそんな俺を安心させるかのように肩を抱いた。
「俺がいる。大丈夫だ」
「う、うん」
俺たちは各々自分たちの紋様がある扉の前に立った。そしてお互い伴侶同士、手を取り合い扉の紋様へと触れる。
俺たちが触れた紋様は入り口同様、俺たちの誓約の証と同じ色で輝き出した。ゴクリと生唾を飲み込み、緊張が走る。
眩い光を放った紋様に導かれるように、扉全体が光を放ち出し、あまりの眩しさに目を細め、腕で顔を庇う。眩い光が少し落ち着いたかと思うと、扉は消失し、扉の先が広がっていた。しかし、それは相変わらず光り輝き、真っ白の空間のようになっている。
床も天井もなにも分からないただ真っ白の空間。そこへ足を踏み入れなければならない恐怖。一体その先にはなにが待ち受けているのか……。
ジウシードの俺の肩を掴む手に力が籠ったのが分かった。チラリとジウシードの顔を見ると、ジウシードはフッと優しく微笑んだ。「大丈夫だ」そう聞こえた気がする。言葉がなくとも、そのジウシードの表情で分かる。うん、きっと俺たちは大丈夫だ。
俺たちは再び顔を見合わせ、そしてお互いの健闘を祈るかのようにニッと笑い合い、その扉の先へと進んだ。
光の先へ。
扉のなかへと一歩足を踏み入れた瞬間、再び激しく光を増した空間は、俺たちを光で飲み込んだ。
◇◇
「ここは……」
ジウシードは眩しさのあまり瞑っていた目を開けた。そこは先程の洞窟とは全く違う場所……。
「!?」
先程まであったはずの手に伝わるぬくもりがない。ハッとし、驚き周りを見回す。
「ウェジエ! ジェイク! お前たち、伴侶は!?」
アキラがいない。ウェジエとジェイクの姿はあるが、リョウとフェシスの姿も見えない。一体どういうことだ、とジウシードは焦る。
ウェジエとジェイクも視界が戻って来たのか驚愕の顔をする。辺りを見回し、そして自身の伴侶の姿がないことに気付く。
「ど、どういうことだ……ここは……転移した部屋じゃないか……」
ウェジエが呆然としながら呟く。ジェイクも怪訝な顔。ここは試練の洞窟へと向かうために転移した最初の場所。魔導師たちが魔法陣を発動させた部屋。なぜこの場所に戻されたのか。しかも領主たちだけだ。伴侶がいない。
「なんだ!? どういうことだ!? リョウたちはどこへ行った!?」
「なぜ俺たちだけがここに……」
あなたにおすすめの小説
【完結】※セーブポイントに入って一汁三菜の夕飯を頂いた勇者くんは体力が全回復します。
きのこいもむし
BL
ある日突然セーブポイントになってしまった自宅のクローゼットからダンジョン攻略中の勇者くんが出てきたので、一汁三菜の夕飯を作って一緒に食べようねみたいなお料理BLです。
自炊に目覚めた独身フリーターのアラサー男子(27)が、セーブポイントの中に入ると体力が全回復するタイプの勇者くん(19)を餌付けしてそれを肴に旨い酒を飲むだけの逆異世界転移もの。
食いしん坊わんこのローグライク系勇者×料理好きのセーブポイント系平凡受けの超ほんわかした感じの話です。
《本編 完結 続編 完結》29歳、異世界人になっていました。日本に帰りたいのに、年下の英雄公爵に溺愛されています。
かざみはら まなか
BL
24歳の英雄公爵✕29歳の日本に帰りたい異世界転移した青年
異世界転移して出会っためちゃくちゃ好きな男が全く手を出してこない
春野ひより
BL
前触れもなく異世界転移したトップアイドル、アオイ。
路頭に迷いかけたアオイを拾ったのは娼館のガメツイ女主人で、アオイは半ば強制的に男娼としてデビューすることに。しかし、絶対に抱かれたくないアオイは初めての客である美しい男に交渉する。
「――僕を見てほしいんです」
奇跡的に男に気に入られたアオイ。足繁く通う男。男はアオイに惜しみなく金を注ぎ、アオイは美しい男に恋をするが、男は「私は貴方のファンです」と言うばかりで頑としてアオイを抱かなくて――。
愛されるには理由が必要だと思っているし、理由が無くなれば捨てられて当然だと思っている受けが「それでも愛して欲しい」と手を伸ばせるようになるまでの話です。
金を使うことでしか愛を伝えられない不器用な人外×自分に付けられた値段でしか愛を実感できない不器用な青年
【完結】おじさんダンジョン配信者ですが、S級探索者の騎士を助けたら妙に懐かれてしまいました
大河
BL
世界を変えた「ダンジョン」出現から30年──
かつて一線で活躍した元探索者・レイジ(42)は、今や東京の片隅で地味な初心者向け配信を続ける"おじさん配信者"。安物機材、スポンサーゼロ、視聴者数も控えめ。華やかな人気配信者とは対照的だが、その真摯な解説は密かに「信頼できる初心者向け動画」として評価されていた。
そんな平穏な日常が一変する。ダンジョン中層に災厄級モンスターが突如出現、人気配信パーティが全滅の危機に!迷わず単身で救助に向かうレイジ。絶体絶命のピンチを救ったのは、国家直属のS級騎士・ソウマだった。
冷静沈着、美形かつ最強。誰もが憧れる騎士の青年は、なぜかレイジを見た瞬間に顔を赤らめて……?
若き美貌の騎士×地味なおじさん配信者のバディが織りなす、年の差、立場の差、すべてを越えて始まる予想外の恋の物語。
2度目の異世界移転。あの時の少年がいい歳になっていて殺気立って睨んでくるんだけど。
ありま氷炎
BL
高校一年の時、道路陥没の事故に巻き込まれ、三日間記憶がない。
異世界転移した記憶はあるんだけど、夢だと思っていた。
二年後、どうやら異世界転移してしまったらしい。
しかもこれは二度目で、あれは夢ではなかったようだった。
再会した少年はすっかりいい歳になっていて、殺気立って睨んでくるんだけど。
【完結】気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件
白井のわ
BL
雄っぱいが大好きな俺は、気が付いたら大好きなblゲーの主人公になっていた。
最初から好感度MAXのマッチョな攻略対象達に迫られて正直心臓がもちそうもない。
いつも俺を第一に考えてくれる幼なじみ、優しいイケオジの先生、憧れの先輩、皆とのイチャイチャハーレムエンドを目指す俺の学園生活が今始まる。
執着騎士団長と、筋肉中毒の治癒師
マンスーン
BL
現代日本から異世界へ転生した治癒師のレオには、誰にも言えない秘密がある。
それは「定期的に極上の筋肉に触れて生命力を摂取しないと、魔力欠乏で死んでしまう」という特異体質であること!
命をつなぐため、そして何より己のフェティシズムを満たすため、レオがターゲットに選んだのは「氷の騎士団長」と恐れられる英雄ガドリエル。
「あぁっ、すごい……硬いですガドリエル様ッ!(大胸筋が)」
「……っ、治療中にそんな熱っぽい声を出すなッ」
生きるために必死で揉みしだくレオを、ガドリエルは「これほど俺の身を案じてくれるとは」と都合よく勘違い
触られたいムッツリ攻め×触りたい変態受け