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49-1 最後の試練
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翌朝、警戒しながらドラゴンが出て来た洞窟の先へと進んで行く。そこからは特に何事も起こらず、しかし、全くなにも起こらないということが却って不気味さを増した。洞窟内は俺たちの靴音が反響し、たまに聞こえてくる不審な音にビクッとなりながらも、ジウシードたちが全く動揺していない姿に安心する。
しばらく歩いた後、再び広く大きな空間に出た。そしてそこは行き止まり……
「なんだ? 終点か?」
ジェイクが眉間に皺を寄せながら呟く。俺たちも全員、キョロキョロと周囲を見回すが、そこはただ広い空間というだけで、それ以上先へと進む道らしきものはなかった。
「あそこになにか見えるな」
ウェジエが指差した方向へと目をやると、洞窟内一番奥と思われる岩肌に、なにやら模様が……
「俺たちの紋様だな」
ジウシードが呟く。確かに俺たちの紋様らしきものが遠目に見える。この洞窟へと転移したとき、最初にあった扉に描かれてあったものと同じだ。近寄ってみると、同じような大きさで描かれ、そして、よく見るとあのとき同様に扉のようなものが……。しかし、あのときと違うということがすぐに分かった。それは紋様に合わせて扉が三つあるからだ。
「これは……各々その扉に入れ、ということか?」
「おそらくは……そうだろうな……」
皆が扉と紋様を見比べ、周りを見回す。この扉らしきもの以外には特に目立ったものはなにもない。
そしてウェジエが呟いた言葉をリョウが肯定する。俺たちは顔を見合わせ、そして意を決するように頷き合った。今度は一体なにが起こるのか。身体が強張る。ジウシードはそんな俺を安心させるかのように肩を抱いた。
「俺がいる。大丈夫だ」
「う、うん」
俺たちは各々自分たちの紋様がある扉の前に立った。そしてお互い伴侶同士、手を取り合い扉の紋様へと触れる。
俺たちが触れた紋様は入り口同様、俺たちの誓約の証と同じ色で輝き出した。ゴクリと生唾を飲み込み、緊張が走る。
眩い光を放った紋様に導かれるように、扉全体が光を放ち出し、あまりの眩しさに目を細め、腕で顔を庇う。眩い光が少し落ち着いたかと思うと、扉は消失し、扉の先が広がっていた。しかし、それは相変わらず光り輝き、真っ白の空間のようになっている。
床も天井もなにも分からないただ真っ白の空間。そこへ足を踏み入れなければならない恐怖。一体その先にはなにが待ち受けているのか……。
ジウシードの俺の肩を掴む手に力が籠ったのが分かった。チラリとジウシードの顔を見ると、ジウシードはフッと優しく微笑んだ。「大丈夫だ」そう聞こえた気がする。言葉がなくとも、そのジウシードの表情で分かる。うん、きっと俺たちは大丈夫だ。
俺たちは再び顔を見合わせ、そしてお互いの健闘を祈るかのようにニッと笑い合い、その扉の先へと進んだ。
光の先へ。
扉のなかへと一歩足を踏み入れた瞬間、再び激しく光を増した空間は、俺たちを光で飲み込んだ。
◇◇
「ここは……」
ジウシードは眩しさのあまり瞑っていた目を開けた。そこは先程の洞窟とは全く違う場所……。
「!?」
先程まであったはずの手に伝わるぬくもりがない。ハッとし、驚き周りを見回す。
「ウェジエ! ジェイク! お前たち、伴侶は!?」
アキラがいない。ウェジエとジェイクの姿はあるが、リョウとフェシスの姿も見えない。一体どういうことだ、とジウシードは焦る。
ウェジエとジェイクも視界が戻って来たのか驚愕の顔をする。辺りを見回し、そして自身の伴侶の姿がないことに気付く。
「ど、どういうことだ……ここは……転移した部屋じゃないか……」
ウェジエが呆然としながら呟く。ジェイクも怪訝な顔。ここは試練の洞窟へと向かうために転移した最初の場所。魔導師たちが魔法陣を発動させた部屋。なぜこの場所に戻されたのか。しかも領主たちだけだ。伴侶がいない。
「なんだ!? どういうことだ!? リョウたちはどこへ行った!?」
「なぜ俺たちだけがここに……」
しばらく歩いた後、再び広く大きな空間に出た。そしてそこは行き止まり……
「なんだ? 終点か?」
ジェイクが眉間に皺を寄せながら呟く。俺たちも全員、キョロキョロと周囲を見回すが、そこはただ広い空間というだけで、それ以上先へと進む道らしきものはなかった。
「あそこになにか見えるな」
ウェジエが指差した方向へと目をやると、洞窟内一番奥と思われる岩肌に、なにやら模様が……
「俺たちの紋様だな」
ジウシードが呟く。確かに俺たちの紋様らしきものが遠目に見える。この洞窟へと転移したとき、最初にあった扉に描かれてあったものと同じだ。近寄ってみると、同じような大きさで描かれ、そして、よく見るとあのとき同様に扉のようなものが……。しかし、あのときと違うということがすぐに分かった。それは紋様に合わせて扉が三つあるからだ。
「これは……各々その扉に入れ、ということか?」
「おそらくは……そうだろうな……」
皆が扉と紋様を見比べ、周りを見回す。この扉らしきもの以外には特に目立ったものはなにもない。
そしてウェジエが呟いた言葉をリョウが肯定する。俺たちは顔を見合わせ、そして意を決するように頷き合った。今度は一体なにが起こるのか。身体が強張る。ジウシードはそんな俺を安心させるかのように肩を抱いた。
「俺がいる。大丈夫だ」
「う、うん」
俺たちは各々自分たちの紋様がある扉の前に立った。そしてお互い伴侶同士、手を取り合い扉の紋様へと触れる。
俺たちが触れた紋様は入り口同様、俺たちの誓約の証と同じ色で輝き出した。ゴクリと生唾を飲み込み、緊張が走る。
眩い光を放った紋様に導かれるように、扉全体が光を放ち出し、あまりの眩しさに目を細め、腕で顔を庇う。眩い光が少し落ち着いたかと思うと、扉は消失し、扉の先が広がっていた。しかし、それは相変わらず光り輝き、真っ白の空間のようになっている。
床も天井もなにも分からないただ真っ白の空間。そこへ足を踏み入れなければならない恐怖。一体その先にはなにが待ち受けているのか……。
ジウシードの俺の肩を掴む手に力が籠ったのが分かった。チラリとジウシードの顔を見ると、ジウシードはフッと優しく微笑んだ。「大丈夫だ」そう聞こえた気がする。言葉がなくとも、そのジウシードの表情で分かる。うん、きっと俺たちは大丈夫だ。
俺たちは再び顔を見合わせ、そしてお互いの健闘を祈るかのようにニッと笑い合い、その扉の先へと進んだ。
光の先へ。
扉のなかへと一歩足を踏み入れた瞬間、再び激しく光を増した空間は、俺たちを光で飲み込んだ。
◇◇
「ここは……」
ジウシードは眩しさのあまり瞑っていた目を開けた。そこは先程の洞窟とは全く違う場所……。
「!?」
先程まであったはずの手に伝わるぬくもりがない。ハッとし、驚き周りを見回す。
「ウェジエ! ジェイク! お前たち、伴侶は!?」
アキラがいない。ウェジエとジェイクの姿はあるが、リョウとフェシスの姿も見えない。一体どういうことだ、とジウシードは焦る。
ウェジエとジェイクも視界が戻って来たのか驚愕の顔をする。辺りを見回し、そして自身の伴侶の姿がないことに気付く。
「ど、どういうことだ……ここは……転移した部屋じゃないか……」
ウェジエが呆然としながら呟く。ジェイクも怪訝な顔。ここは試練の洞窟へと向かうために転移した最初の場所。魔導師たちが魔法陣を発動させた部屋。なぜこの場所に戻されたのか。しかも領主たちだけだ。伴侶がいない。
「なんだ!? どういうことだ!? リョウたちはどこへ行った!?」
「なぜ俺たちだけがここに……」
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