108 / 120
54-2 想いと覚悟
苦笑していた表情から今度は真剣な目をこちらに向け聞かれる。そう、俺たちの今後。俺は出来ることならアルヴェスタへと戻り、ジウシードと共に生きたい。一生傍にいると誓った想いはそう簡単になくなるものでもない。
日本にいると懐かしくもあり、このまま日本で過ごしたいという気持ちももちろんある。しかし、ジウシードと離れて生きていく、という考えはもう俺にはなかった。
「俺はアルヴェスタに戻りたい。一生共に生きていきたい相手を見付けたから」
迷いはなかった。真っ直ぐに原田さんの目を見詰め、そう宣言した。原田さんは少し目を見開き驚いた顔をしたかと思うと、フッと微笑んだ。
「なんかお前変わったな」
「え?」
変わった? 俺が? キョトンとしていると、原田さんはハハッと笑った。
「以前のお前はいつも自信なさげだっただろ。いつも「俺なんか」みたいな後ろ向きな発言が口癖みたいな奴だったのに。ハハ。そのお相手さんのおかげか? 今のお前は愛されている自信からか、昔のお前の弱さは全く感じないよ」
そう言いニヤッと笑った原田さん。「愛されている自信」とか言われてカァァッと顔が熱くなるのを感じた。しかし、恥ずかしくはあるが、それを否定することはない。俺はジウシードに愛してもらえて、アルヴェスタで出逢った皆のおかげで、そしてリョウのおかげで、少しは強くなれたんじゃないかと思うし、強くなりたい、変わっていきたいと思えた。
「良い出逢いがあって良かったな」
「うん……ありがとう」
原田さんはまるで父親のように、優し気な目を向け微笑んでくれる。それが嬉しくもあり、こんな歳になってまでも心配をかけていたのかという気恥ずかしさもあった。しかし、ふわふわとしたなんだか幸せな気分にもなるのだった。
「で、リョウはどうするんだ?」
原田さんは俺から視線をリョウへと移し、再び真面目な顔で聞いた。
俺自身もリョウの答えが気になり、チラリとリョウへと目を向ける。
リョウがジェイクを好きだったのは分かる。リョウは嫌いな人間にあれほど構う奴じゃない。好きでもない奴、無関心であったり、嫌いな奴は徹底的に無視をするリョウだ。
小さい頃、男子が好きな女子に意地悪をする、そんなレベルと一緒にするとリョウに怒られそうだが、しかし、端から見ていると、明らかにジェイクをからかって反応を楽しんでいたよな。今まで何人も彼女がいたことはあっただろうが、リョウが女の子にそんなことをしているのを見たことはない。ひたすら丁寧に優しく紳士的な態度だった。まあふたりきりのときはどうなのか知らないが。しかし、だからこそ王子様的に思われてモテていたのだろう。
でも、ジェイクには……あれはリョウの素だと思う。取り繕っていないリョウの本当の姿。男同士だからだということもあるかもしれないが、王子様である必要もない本来の素の姿を見せることの出来る相手。
それだけでも、明らかにリョウはジェイクのことを特別に想っているのだろう、ということは分かる。しかし、今、日本へと帰って来て、わざわざまた異世界に戻りたいのか、と思うのかは分からなかった。そこまでの愛をジェイクに感じているのだろうか。
隣に並んで座るリョウを伺い見る。リョウは少しの間、俯き考え込んでいるようだった。しかし、顔を上げ、真っ直ぐに原田さんを見詰めた。
「俺も方法が見付かるなら戻るよ。あいつには俺が必要だろうから」
そう言ったリョウの表情は愛おしい者を思い浮かべるように柔らかいものだった。その言葉に原田さんは目を見開き笑う。
「ハハ。お前らしいな」
クククッと笑いを堪え切れないといった様子の原田さん。そんな原田さんの姿に若干ムスッとしたリョウだが、俺も笑いが漏れそうになり睨まれた。な、なんで俺だけ。
だってさ、その発言、「自分が傍にいてやらないと」と思うほど、ジェイクが大事だからってことだろ。そんなの「ジェイクを愛してる」って言っているようなもんだろ。そう思うとツンデレな態度のリョウの姿が可笑しくて笑いを止められるはずもなかった。アハハ。
日本にいると懐かしくもあり、このまま日本で過ごしたいという気持ちももちろんある。しかし、ジウシードと離れて生きていく、という考えはもう俺にはなかった。
「俺はアルヴェスタに戻りたい。一生共に生きていきたい相手を見付けたから」
迷いはなかった。真っ直ぐに原田さんの目を見詰め、そう宣言した。原田さんは少し目を見開き驚いた顔をしたかと思うと、フッと微笑んだ。
「なんかお前変わったな」
「え?」
変わった? 俺が? キョトンとしていると、原田さんはハハッと笑った。
「以前のお前はいつも自信なさげだっただろ。いつも「俺なんか」みたいな後ろ向きな発言が口癖みたいな奴だったのに。ハハ。そのお相手さんのおかげか? 今のお前は愛されている自信からか、昔のお前の弱さは全く感じないよ」
そう言いニヤッと笑った原田さん。「愛されている自信」とか言われてカァァッと顔が熱くなるのを感じた。しかし、恥ずかしくはあるが、それを否定することはない。俺はジウシードに愛してもらえて、アルヴェスタで出逢った皆のおかげで、そしてリョウのおかげで、少しは強くなれたんじゃないかと思うし、強くなりたい、変わっていきたいと思えた。
「良い出逢いがあって良かったな」
「うん……ありがとう」
原田さんはまるで父親のように、優し気な目を向け微笑んでくれる。それが嬉しくもあり、こんな歳になってまでも心配をかけていたのかという気恥ずかしさもあった。しかし、ふわふわとしたなんだか幸せな気分にもなるのだった。
「で、リョウはどうするんだ?」
原田さんは俺から視線をリョウへと移し、再び真面目な顔で聞いた。
俺自身もリョウの答えが気になり、チラリとリョウへと目を向ける。
リョウがジェイクを好きだったのは分かる。リョウは嫌いな人間にあれほど構う奴じゃない。好きでもない奴、無関心であったり、嫌いな奴は徹底的に無視をするリョウだ。
小さい頃、男子が好きな女子に意地悪をする、そんなレベルと一緒にするとリョウに怒られそうだが、しかし、端から見ていると、明らかにジェイクをからかって反応を楽しんでいたよな。今まで何人も彼女がいたことはあっただろうが、リョウが女の子にそんなことをしているのを見たことはない。ひたすら丁寧に優しく紳士的な態度だった。まあふたりきりのときはどうなのか知らないが。しかし、だからこそ王子様的に思われてモテていたのだろう。
でも、ジェイクには……あれはリョウの素だと思う。取り繕っていないリョウの本当の姿。男同士だからだということもあるかもしれないが、王子様である必要もない本来の素の姿を見せることの出来る相手。
それだけでも、明らかにリョウはジェイクのことを特別に想っているのだろう、ということは分かる。しかし、今、日本へと帰って来て、わざわざまた異世界に戻りたいのか、と思うのかは分からなかった。そこまでの愛をジェイクに感じているのだろうか。
隣に並んで座るリョウを伺い見る。リョウは少しの間、俯き考え込んでいるようだった。しかし、顔を上げ、真っ直ぐに原田さんを見詰めた。
「俺も方法が見付かるなら戻るよ。あいつには俺が必要だろうから」
そう言ったリョウの表情は愛おしい者を思い浮かべるように柔らかいものだった。その言葉に原田さんは目を見開き笑う。
「ハハ。お前らしいな」
クククッと笑いを堪え切れないといった様子の原田さん。そんな原田さんの姿に若干ムスッとしたリョウだが、俺も笑いが漏れそうになり睨まれた。な、なんで俺だけ。
だってさ、その発言、「自分が傍にいてやらないと」と思うほど、ジェイクが大事だからってことだろ。そんなの「ジェイクを愛してる」って言っているようなもんだろ。そう思うとツンデレな態度のリョウの姿が可笑しくて笑いを止められるはずもなかった。アハハ。
あなたにおすすめの小説
【完結】※セーブポイントに入って一汁三菜の夕飯を頂いた勇者くんは体力が全回復します。
きのこいもむし
BL
ある日突然セーブポイントになってしまった自宅のクローゼットからダンジョン攻略中の勇者くんが出てきたので、一汁三菜の夕飯を作って一緒に食べようねみたいなお料理BLです。
自炊に目覚めた独身フリーターのアラサー男子(27)が、セーブポイントの中に入ると体力が全回復するタイプの勇者くん(19)を餌付けしてそれを肴に旨い酒を飲むだけの逆異世界転移もの。
食いしん坊わんこのローグライク系勇者×料理好きのセーブポイント系平凡受けの超ほんわかした感じの話です。
【完結】気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件
白井のわ
BL
雄っぱいが大好きな俺は、気が付いたら大好きなblゲーの主人公になっていた。
最初から好感度MAXのマッチョな攻略対象達に迫られて正直心臓がもちそうもない。
いつも俺を第一に考えてくれる幼なじみ、優しいイケオジの先生、憧れの先輩、皆とのイチャイチャハーレムエンドを目指す俺の学園生活が今始まる。
《本編 完結 続編 完結》29歳、異世界人になっていました。日本に帰りたいのに、年下の英雄公爵に溺愛されています。
かざみはら まなか
BL
24歳の英雄公爵✕29歳の日本に帰りたい異世界転移した青年
【完結】おじさんダンジョン配信者ですが、S級探索者の騎士を助けたら妙に懐かれてしまいました
大河
BL
世界を変えた「ダンジョン」出現から30年──
かつて一線で活躍した元探索者・レイジ(42)は、今や東京の片隅で地味な初心者向け配信を続ける"おじさん配信者"。安物機材、スポンサーゼロ、視聴者数も控えめ。華やかな人気配信者とは対照的だが、その真摯な解説は密かに「信頼できる初心者向け動画」として評価されていた。
そんな平穏な日常が一変する。ダンジョン中層に災厄級モンスターが突如出現、人気配信パーティが全滅の危機に!迷わず単身で救助に向かうレイジ。絶体絶命のピンチを救ったのは、国家直属のS級騎士・ソウマだった。
冷静沈着、美形かつ最強。誰もが憧れる騎士の青年は、なぜかレイジを見た瞬間に顔を赤らめて……?
若き美貌の騎士×地味なおじさん配信者のバディが織りなす、年の差、立場の差、すべてを越えて始まる予想外の恋の物語。
天使のような子の怪我の手当てをしたら氷の王子に懐かれました
藤吉めぐみ
BL
12/23後日談追加しました。
=================
高校の養護教諭の世凪は、放課後の見回り中にプールに落ちてしまう。カナヅチの世凪は、そのまま溺れたと思ったが、気づくと全く知らない場所にある小さな池に座り込んでいた。
ここがどこなのか、何がどうなったのか分からない世凪に、「かあさま」と呼んで近づく小さな男の子。彼の怪我の手当てをしたら、世凪は不審者として捕まってしまう。
そんな世凪を助けてくれたのは、「氷の王子」と呼ばれるこの国の第二王子アドウェル。
冷淡で表情も変わらない人だと周りに言われたが、世凪に対するアドウェルは、穏やかで優しくて、理想の王子様でドキドキしてしまう世凪。でも王子は世凪に母親を重ねているようで……
優しい年下王子様×異世界転移してきた前向き養護教諭の互いを知って認めていくあたたかな恋の話です。
異世界転移して出会っためちゃくちゃ好きな男が全く手を出してこない
春野ひより
BL
前触れもなく異世界転移したトップアイドル、アオイ。
路頭に迷いかけたアオイを拾ったのは娼館のガメツイ女主人で、アオイは半ば強制的に男娼としてデビューすることに。しかし、絶対に抱かれたくないアオイは初めての客である美しい男に交渉する。
「――僕を見てほしいんです」
奇跡的に男に気に入られたアオイ。足繁く通う男。男はアオイに惜しみなく金を注ぎ、アオイは美しい男に恋をするが、男は「私は貴方のファンです」と言うばかりで頑としてアオイを抱かなくて――。
愛されるには理由が必要だと思っているし、理由が無くなれば捨てられて当然だと思っている受けが「それでも愛して欲しい」と手を伸ばせるようになるまでの話です。
金を使うことでしか愛を伝えられない不器用な人外×自分に付けられた値段でしか愛を実感できない不器用な青年
聖女の兄で、すみません!
たっぷりチョコ
BL
聖女として呼ばれた妹の代わりに異世界に召喚されてしまった、古河大矢(こがだいや)。
三ヶ月経たないと元の場所に還れないと言われ、素直に待つことに。
そんな暇してる大矢に興味を持った次期国王となる第一王子が話しかけてきて・・・。
BL。ラブコメ異世界ファンタジー。