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55-2 月の魔力
俺たちはただの日本人だしな。ジウシードたちとは違う……。魔法なんて使ったこともなければ、魔力なんてものも持っていない。
「お前たちも魔力とやらを持っているんじゃないのか?」
「「は?」」
原田さんが突拍子もないことを言い出し、俺とリョウは唖然とした。そんな俺たちの姿に苦笑した原田さんは言葉を続ける。
「いや、だって、お前らの母親はそのアルヴェスタって国の人間なんだろ? それならお前たちも魔法を使っていた人間の血を引いているんだから、魔力とやらを保有していても可笑しくはないだろ」
漫画やゲームみたいな話だがな、と原田さんは笑う。しかし、俺とリョウは顔を見合わせ、お互い目を見開いた。実際俺たちは魔法が存在していることを目にしている。そして、俺たちの母親はそんな世界の人間だった。俺たちはその血を引いている……。
「試してみるか……」
俺とリョウは頷き合った。
数週間後、満月の夜に試してみることに。もし、成功した場合、再び原田さんに家のことを頼むことになるため、原田さんにも立ち会ってもらうことになった。
月を見上げる。綺麗な真円。雲一つない夜空。月の光が強過ぎるためか、星はあまり多くは見えない。
原田さんに見守られながら、隣にはリョウが並ぶ。そして俺は紫色に輝く魔石を手に取り翳した。魔石から覗く月は、綺麗に魔石のなかに収まり、紫色の真ん中に金色の光で輝いた。
静まり返る夜。風が木々を揺らす音だけが響く。庭の小さな池に映る月がピチョンと水滴が落ちるかのように揺らいだ気がした。
すると闇夜のなか、月の魔力が発現したかのように、金色にキラキラと輝く粒が降って来る。そしてそれは魔石へと吸い寄せられるように降り注ぐ。
「おぉ、凄いもんだな……綺麗だ」
原田さんが月を見上げながら呟いた。月から零れ落ちる光の粒。それがまるで星が降ってくるかのよう。恋人同士で見ていたならきっとロマンチックな雰囲気なんだろうなぁ、とかぼんやり考えながら、その幻想的な光景を眺めていた。
キラキラと輝く光の粒が次第に減って来ると、それらを全て飲み込んだ紫色の魔石は、中心を金色で輝かせる不思議な色となっていた。
「月の力とやらは成功か……? ここからが問題だな」
リョウが俺の持つ魔石を眺め呟いた。そして俺を見る。ん? 俺にやれ、と?
「お、俺が試してみるのか!?」
「兄貴ならきっと出来る」
「えぇ……」
「ジウシードに会いたいんだろ?」
「リョウだってジェイクに会いたいんだろうが」
「会いたい」
「!!」
素直に認めたリョウにたじろぎ、思わず俺のほうが顔が熱くなる。
「ハハ、アキラも負けてられないな」
原田さんは腕組みをしながら、俺とリョウを眺め言った。原田さんは笑ってるし、リョウは開き直ったのかスンとしているし……く、くそぅ、やってやろうじゃないの!
ぐぬぬ、となりながら、手に持つ魔石を見詰める。キラキラと煌めく綺麗な石。
ジウシード……俺に出来るのか? 魔力なんて分からない。ジウシードたちに以前聞いたことはある。魔力とは体内に巡るもの。血液のように身体を巡り、それを手や身体から体外へと放出すると魔法として発動するのだ。
それを感じ取れ! 血液の流れを感じるように……ジウシード……ジウシードに会いたいんだ……お願いだ……。
必死に全身へ意識を集中させる。そのとき誓約の証がなんだか熱を持った気がした。ドクンドクンと心臓が高鳴る。ここにジウシードとの証が刻まれているのだ、と主張するように跳ねる心臓。その熱が身体を巡る。全身が熱くなる気がする。
指先に触れる魔石がそれに反応するように金色の光を放ち出した。キラキラと大きく輝きが広がっていく。するとそれは地面へと降り注ぎ、金色の魔法陣を描き出した。
「「魔法陣が!!」」
俺たちは顔を見合わせ、そして原田さんへと視線を向けた。原田さんは目を見開き驚いた顔をしていたが、しかし、すぐさま状況を判断したのか、ニッと笑い拳をこちらに向けた。
「家は俺が管理しておくから……必ずまた帰ってこいよ!?」
ニッと笑ったまま、原田さんは声を張り上げた。そして、ほんの少し、涙を浮かべているように見えた。そんな原田さんの優しさに俺まで涙ぐんでしまう。
「はい! 必ず!」
「原田さん! ありがとう!!」
光る魔法陣のなか、俺たちは叫んだ。
そして、金色に光り輝く魔法陣が、暗闇を明るく照らすほどに激しく光を強めると、俺たちはその場から姿を消した。
「お前たちも魔力とやらを持っているんじゃないのか?」
「「は?」」
原田さんが突拍子もないことを言い出し、俺とリョウは唖然とした。そんな俺たちの姿に苦笑した原田さんは言葉を続ける。
「いや、だって、お前らの母親はそのアルヴェスタって国の人間なんだろ? それならお前たちも魔法を使っていた人間の血を引いているんだから、魔力とやらを保有していても可笑しくはないだろ」
漫画やゲームみたいな話だがな、と原田さんは笑う。しかし、俺とリョウは顔を見合わせ、お互い目を見開いた。実際俺たちは魔法が存在していることを目にしている。そして、俺たちの母親はそんな世界の人間だった。俺たちはその血を引いている……。
「試してみるか……」
俺とリョウは頷き合った。
数週間後、満月の夜に試してみることに。もし、成功した場合、再び原田さんに家のことを頼むことになるため、原田さんにも立ち会ってもらうことになった。
月を見上げる。綺麗な真円。雲一つない夜空。月の光が強過ぎるためか、星はあまり多くは見えない。
原田さんに見守られながら、隣にはリョウが並ぶ。そして俺は紫色に輝く魔石を手に取り翳した。魔石から覗く月は、綺麗に魔石のなかに収まり、紫色の真ん中に金色の光で輝いた。
静まり返る夜。風が木々を揺らす音だけが響く。庭の小さな池に映る月がピチョンと水滴が落ちるかのように揺らいだ気がした。
すると闇夜のなか、月の魔力が発現したかのように、金色にキラキラと輝く粒が降って来る。そしてそれは魔石へと吸い寄せられるように降り注ぐ。
「おぉ、凄いもんだな……綺麗だ」
原田さんが月を見上げながら呟いた。月から零れ落ちる光の粒。それがまるで星が降ってくるかのよう。恋人同士で見ていたならきっとロマンチックな雰囲気なんだろうなぁ、とかぼんやり考えながら、その幻想的な光景を眺めていた。
キラキラと輝く光の粒が次第に減って来ると、それらを全て飲み込んだ紫色の魔石は、中心を金色で輝かせる不思議な色となっていた。
「月の力とやらは成功か……? ここからが問題だな」
リョウが俺の持つ魔石を眺め呟いた。そして俺を見る。ん? 俺にやれ、と?
「お、俺が試してみるのか!?」
「兄貴ならきっと出来る」
「えぇ……」
「ジウシードに会いたいんだろ?」
「リョウだってジェイクに会いたいんだろうが」
「会いたい」
「!!」
素直に認めたリョウにたじろぎ、思わず俺のほうが顔が熱くなる。
「ハハ、アキラも負けてられないな」
原田さんは腕組みをしながら、俺とリョウを眺め言った。原田さんは笑ってるし、リョウは開き直ったのかスンとしているし……く、くそぅ、やってやろうじゃないの!
ぐぬぬ、となりながら、手に持つ魔石を見詰める。キラキラと煌めく綺麗な石。
ジウシード……俺に出来るのか? 魔力なんて分からない。ジウシードたちに以前聞いたことはある。魔力とは体内に巡るもの。血液のように身体を巡り、それを手や身体から体外へと放出すると魔法として発動するのだ。
それを感じ取れ! 血液の流れを感じるように……ジウシード……ジウシードに会いたいんだ……お願いだ……。
必死に全身へ意識を集中させる。そのとき誓約の証がなんだか熱を持った気がした。ドクンドクンと心臓が高鳴る。ここにジウシードとの証が刻まれているのだ、と主張するように跳ねる心臓。その熱が身体を巡る。全身が熱くなる気がする。
指先に触れる魔石がそれに反応するように金色の光を放ち出した。キラキラと大きく輝きが広がっていく。するとそれは地面へと降り注ぎ、金色の魔法陣を描き出した。
「「魔法陣が!!」」
俺たちは顔を見合わせ、そして原田さんへと視線を向けた。原田さんは目を見開き驚いた顔をしていたが、しかし、すぐさま状況を判断したのか、ニッと笑い拳をこちらに向けた。
「家は俺が管理しておくから……必ずまた帰ってこいよ!?」
ニッと笑ったまま、原田さんは声を張り上げた。そして、ほんの少し、涙を浮かべているように見えた。そんな原田さんの優しさに俺まで涙ぐんでしまう。
「はい! 必ず!」
「原田さん! ありがとう!!」
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そして、金色に光り輝く魔法陣が、暗闇を明るく照らすほどに激しく光を強めると、俺たちはその場から姿を消した。
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