虚弱で大人しい姉のことが、婚約者のあの方はお好きなようで……

くわっと

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1.

「公爵家令嬢リトア=エーテルザットと第二王子カストリア=リンドブルムとの婚約、この場、現時刻をもって破棄させていただく」

 台詞のように、淡々な口調で告げられる残酷な言葉。
 合わせることの、舞い散る紙吹雪。
 濃いインクで綴られた、二人の名前。
 バラバラに宙に浮かんで、
 二度と寄り添うことはない。

 分かっていた。
 最初から分かっていた。
 
 それも、上位ではなく、下位の。
 加えて、あのお方の一番は確定していた。
 どうしようもないほどに、確定していた。
 イデア=リンドブルム。
 虚弱で大人しい、あのお方の姉君。
 その血縁から結ばれることは許されない。
 だけれど、想い合うだけなら許された。

 周囲はいつかは、姉君との恋を諦めると思っていた。
 私も期待していた。
 待っていれば、いつか私にも心を映してくれる、と。
 そのためには手段を選ばず、とにかくあのお方のそばにいられるようにと努力した。
 綺麗なことも、汚いことも。

 だけれど、結果がこの状況だ。
 婚約は破棄され、この後私はどうなるのだろうか。

 けど、恋心というのはなかなかどうして、厄介なものだ。
 紙切れ一枚で繋ぎ止めれた関係が、
 言葉一つでなかったことにされるなんて。
 納得できる訳がないのだ。

 あのお方の気持ちがどうであろうと。
 こちらの想いに変わりはない。
 過去も今、きっとこれからも。

「あの……お願いですーー」

 私の口が動く。
 言葉を紡ぐ。
 諦めれきれないと、
 まだ終われないと。

「どうか、どうか、その言葉をーー」

 願い、
 祈り、
 叫ぶ。

「撤回して……いただけないでしょうか!」

 私は懇願する。
 惨めったらしく。
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