追放された悪役令嬢は残念領主を導きます

くわっと

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4章

40.騙される少女

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この件に関しては、全てパトリシアの思惑通り進んだ。

少女は彼女の手を取った。
躊躇いつつも、手を取った。

それは、彼女を信じるということ。
かの悪役令嬢を、悪行塗れの女を信じるということ。
自身の身内を、その亡骸を弄んだ女を信じるということ。

その事実を、少女はまだ知らない。
自身を囚われの身から救ってくれた、敵側の優しい人。
奇跡的な確率で、運命的な交渉を持ちかけられたと。
その程度の認識しか、できていない。
自身が物語の主人公であるかのように、思ってしまっている。
脇役でしかないはずなのに。
名すら覚えられていない、聞き取られてすらいない、端役であることも知らず。
勘違い。

「おねがい、します。ともだち」

笑顔を向けた。
それは作り笑顔ではなく、本心からの。

パトリシアもそれに応える。
にっこりと笑う。

偽物と本物違い。
単純な横並びの比較ではそこに差はない。
だが、立場や見方や解釈の仕方によっては大きく違う。
面倒な講釈は次回に回そう。
重要なのはそこではない。

偽物と本物は確かに違う。
だけれど、本物を見たことがなければ、偽物見分けることなどできない、ということが肝要なのだ。
少女は彼女の笑顔を数える程しか見ていない。
そもそも、彼女と時間を過ごしていない。
故に、見せられたものが全て偽物だったとしても分からない。
分かるはずもない。
正解が存在しないのだから。

「そう、友達。私と貴方は今から友達です。私は貴方のために頑張るし、貴方も私のた、wに頑張る。手始めに、私のお願いを叶えてくれる。私を助けてくれる」

「……でも、なにを、すれば、いい?」

「簡単なことです」

パトリシアは少女に近づき、耳打ちする。
ひそひそと。
吐息をかけつつ。

「私の質問に、答えてくれるだけでいいのです。正直に、嘘をつかずに。詳しく、丁寧に」

「それは、なかみに……よる」

「大丈夫です。言いたくないことは、前にみたいに答えなくて結構ですから。答えられる範囲で答えてください。それが私を助けることになるのですから」

「……なら、がんば、るっ」

少女は意気込みを口にした。
もう、頭の中には言っていいこと悪いこと。
その境の柵はなぎ倒されていた。
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