ハッピーエンドを書いてほしい。

ゆきもち

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「____こうして、青年は巨万の富と美しいお姫さまをもらい、いつまでも幸せに暮らしました」



 約束された幸福で、その物語は閉じられました。私が紡いだおとぎ話は、色鮮やかなハッピーエンドを迎えたのです。幸せな物語が大好きな私は、主人公が望むエンディングを用意してあげます。

 たとえば、「盗賊の少年がお姫様のなくした指輪をひろう話」。
 指輪を届けた少年はお姫様と互いに一目惚れし、仲間だった盗賊たちを成敗してその褒美にお姫さまをもらいました。

 たとえば「冒険家に憧れた青年が宝島の地図を発見した話」。
 地図はにせもので、さししめしていたのは誘き寄せられた人間を食らう化け物の住処でした。そこに閉じ込められていた娘と、化け物がため込んでいた財宝を手にいれて青年は世界を巡る商人になりました。

 たとえば「夜にしか逢えない美女に恋をした青年の話」。
 美女の正体は魔女に呪いをかけられたお姫さま。昼は醜い化け物の姿になり、夜のあいだだけ人の姿に戻ることができます。青年は昼と夜どちらのお姫さまも愛しましたが、呪いを怖がるお姫さまのために魔女を倒し、国を救った英雄として王様になりました。


 絶世の美女、尽きることのない金貨、絢爛なお城、たくさんの召使い、誰よりも偉大な地位、自己承認を満たす名誉。
 多くの人間が抱く幸福が、物語には込められています。私がつくったおとぎ話は、だれもが面白いといってくれました。優しい母も、乳母と召使いたちも、父である王様も、臣下の貴族たちも、私の物語をきいて、その幸福に焦がれるのです。


「つまらない結末だ」

 そういったのは、めのまえで物語をきいていた魔族の男でした。
 上等な絹の寝間着に身を包み、純金でできた腕輪や宝玉のうめこまれた首輪で着飾っています。白い布生地から褐色の肌をのぞかせ、射抜くような琥珀の瞳が私をみつめています。艶やかな黒い爪の拳をきゅっとにぎり、彼は私のあたまをこづきました。

「おまえは学習しないな。なぜ、そのようなエンディングを迎えるのだ」

 彼は呆れたように、ため息をつきます。その態度に不服をしめし、私はほおをふくらませます。 
 私の物語をつまらないなどといったのは彼が初めてでした。彼と出会うまでたくさんの人間に披露してきましたが、だれもそんなことを言いませんでした。思っているそぶりもありませんでした。悪意には敏感で人の顔色をみるのは得意だったため、相手が退屈だとおもっていたならすぐに気がついていたでしょう。
 彼がつまらないと感じるのは、私が人間で彼が魔族だからだと思いました。文化や生活様式が違うからこそ、相いれないのだと考察しました。
 しかし、彼の部下である魔物たちに聞かせると良い反応を返してきたのです。彼らの感想を聞きながら物語の細部を調節して、改めて披露すると大絶賛でした。
 やっぱり私の物語はおもしろいのだと自信をつけて、特に評判の良かった物語を男のところへもっていきました。

「おもしろいと、本当に言うとおもったのか?」

 男はばっさりと切り捨てました。
 私は悔しくて、男の顔を拳をにぎって殴ってしまいました。淑女でありながらはしたないとわかっていましたが、感情をださずにいられませんでした。
 男のいうとおり、彼が喜んでくれる画を私は想像できていませんでした。本当に感動してくれる話なのか納得できずにいながら、私は彼に語って聞かせたのです。

 だって、私には彼がわかりません。
 彼がなにを好み、なにに心をうごかし、何に悲しむのか、私は1つも知らなかったのです。
 彼の顔はいつも無表情で、どんな感情の色も浮かんできませんでした。わらった顔も、憂いてる顔も、なきそうな顔も、よろこんだ顔も、わからないのです。
 彼のその変化のない無表情は何をあらわしているのか、感情ののらない平坦な声にどんな意味が込められているのか。
 私は読みとることができませんでした。


「おれの望む幸福結末を、おまえが理解しなければならない」

 彼は私をみつめ、ゆっくりとこちらに手をのばしました。つめたい指先が私のほおをすべり、大きなてのひらが顔をつつみます。その温度にふるりとからだを震わせ、彼をみつめかえしました。

 そのとき揺れた琥珀色の瞳がどんな意味をしめすのか、その時の私にはわかりませんでした。




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「…!」


 藁の布団からとびおきた私は、心臓をおさえた。決して病気による発作や怪我の痛みのせいではなかったが、さわらずにはいられなかったのだ。

 みた夢は懐かしい前世の私自身だった。お話をつくるのが大好きな少し変わり者のお姫さま。父である王様の命令で私は隣国の王である魔族の男のもとに嫁いだ。王族である以上政略結婚は仕方のないことだっだが、初めてあった男性と色事をおこなうのは嫌だった。だから夜の寝室で、私は彼に物語を語って聞かせた。彼がその気にならないよう夜が明けるまで喋り続けた。
 毎晩語りつづけ寝不足で体調を崩しはじめた頃、彼は言った。「つまらない」と。私はショックで倒れた。疲労をためこんだからだは、人生で初めて聞いた言葉に殴られた。三日三晩寝込んだが、しだいに良くなってくると彼が見舞いにやってきた。回復したと判断されれば夜伽によばれてしまうと思ったため、私は必死に具合の悪いふりをした。病は気からともいい、精神の疲労で確かに体調は良くなかったのだ。彼は飽きずに毎日私の部屋にやってきて、なにもせずにかえっていった。
 彼が手をださないことにほっとし、落ち着いてきた私は彼としゃべるようになった。彼は基本無口だったため、私が一方的に話していた。話題など、一日中ベッドで横になり部屋からでないためそうそうに尽きてしまう。結局私は彼の言った「つまらない」話をするほかなかった。彼の変わらない顔をみているとだんだん悔しくなってきて、絶対に笑わせてやろうと思いはじめた。おもしろい話をしてやろうと試行錯誤した。たくさんの物語をつくって、見舞いにやってくる彼にむりやり聞かせた。
 私と彼の攻防はながくつづき、お互いのことが少しずつわかってきた。そしてとうとう私が彼のもとにきてから千と一を数えた日の夜、彼は私の物語を「おもしろい」といった。




 にわとり小屋の片隅で、クモの巣がはったぼろぼろの天井をみつめる。視界が少しずつ歪んでいき、うるんだ瞳から涙がこぼれた。
 前世の祖国は滅びたのか、今の世の中どこにも存在しない。あの男の国ですら、誰も聞いたことがないという。
 眠っているじかんだけみれる幸福は、現実に引き戻された瞬間残酷な痛みに変わる。

「…会いたい」

 ぽつりとつぶやいた言葉は、夜の闇に溶けていった。






 今世のわたしの父は貴族で、母は農村出身の平民だった。領地内の農作地の様子をみにきた父が、畑ではたらく母に一目惚れしたらしい。父は身分差を忘れ、母を娶った。領民に慕われていた父に惚れられた母も満更でもなくついていったらしい。

 しかし、父の親族は平民の母に良い顔をしなかった。貴族以外の身分の人と親しくする父に顔をしかめ、母をいないものとしてあつかった。
 ある日、母が病気で倒れた。原因は流行病で、積み重なった心労から体調はなかなか回復しなかった。一日のほとんどを寝て過ごすようになり、私は毎日母の見舞いにいった。父はベッドで眠る母をみて、現実から逃げるように仕事を増やした。私の記憶のなかの父は、仕事に追われている姿か、母の手をにぎっている姿しかない。結局、父も過労でたおれてしまいそのまま回復することもなく死んでしまった。父亡き後、父の親族は土地の所有権をにぎり、私と母を屋敷から追いだした。病身でありながら豪胆な性格の母はすっぱりと彼らの縁を切り、領地からとびだした。見知らぬ土地にやってきて、具合の悪い体をひきずり金をかせいだ。幼かったわたしも母の負担を軽くしようと一生懸命手伝ったが、あまり役に立てている気はしなかった。日に日に母は弱っていき、わたしの年齢を十と数えるまえにとうとう帰らぬ人となった。
 わたしは親しくなった村の人たちから仕事をもらい、その日その日を生きるようになった。わけてもらったパンを食べ、わずかにもらえる駄賃を貯金した。
 そして12歳の誕生日、わたしは冒険者になるためにこの村を出る。国が管理する冒険者ギルドに加入できるのは年齢が十二歳以上の者だけだ。

 わたしはずっとこの日を待っていた。

 冒険者ギルドに加入すれば、仕事に困らなくなる。報酬金はいまの駄賃より良いだろうし、きっと暮らしがらくになる。
 わたしには魔法の才能も剣術の才能もないけれど、最低限にはあつかえる。命がけでクエストをこなすのとお金がなくて栄養不足ぎりぎりの生き方はそんなに変わらない。モンスターに食い殺されるより、餓死する方がよっぽど怖かった。

 
 麻の袋にありったけの食料と全財産の硬貨、そして一冊の本を入れる。手袋をはめて腰に短剣をさし、家の扉を開けて外に出る。ふりかえると、お世話になったにわとり小屋が見えた。よしっと気合を込めて、わたしは走り出す。


 わたしは、冒険者となるために村をでた。






 
 冒険者は時に「勇者」役目を担うことがある。教会に集められた冒険者たちは司祭たちから説明を受けて、戦いの準備をしている。司祭の話だと、今この街に魔王軍が何十万という戦力を引き連れてこちらに進行してきているらしい。先頭は魔王幹部の魔族。かなりの強者で今までにAランク以上の冒険者が何人も立ち向かったが、傷つけたことすらないのだと言う。
 この街は教会本部がある神聖な地。魔王軍を入れるわけには行かないと、国中から冒険者たちが集められ、今回の戦に参加する。
 私も、報酬金目当てで頑張ろうと意気込む。

「皆様にスプンタ神の御加護がありますように」

 司祭さまの言葉を最後に私たちは街をでた。







 魔王軍幹部に捕らえられ、私は魔王城へと来ている。おどろおどろしい装飾、調度品の数々、値は張りそうだと思う。ボロボロになった体を引きずり、幹部の後ろを歩く。手には鉄錠がかけられ見張りが私の後ろをぴったりとくっついている。逃げることが出来なかった。何故私は拐われたのだろうか。人体実験にでも使われるのだろうか。絶望した面持ちで、魔王城の廊下を歩く。
 たどり着いた先は魔王の部屋だった。
 人の何倍も大きい両扉が重々しい音をたてて開く。レッドカーペットのその先には玉座に座った「魔王」がいた。



「アンリ…」

 それが魔王の名前だった。
 その男の名前だった。

「どうして、貴方がここに…」

 魔王は玉座から立ち上がり、こちらへ歩いてくる。その足が急いているように見えるのは私の勘違いなのだろうか。魔王は私の元へ来ると、静かに手を伸ばし私を抱きしめた。

「やっと…見つけた。俺のシェヘラザード」

 噛み締めるようにアンリが言う。褐色の腕から伝わる熱が暖かい。彼の黒髪がサラリと揺れ、私の頬へ落ちた。私を射抜く琥珀の瞳。彼は私の知る「アンリ」で間違いないはず。

「でも、どうして…
 魔王軍は人間を襲ったの…?」

 私は彼の頬に触れた。血の巡りを感じ、彼が魔族とはいえ同じ生き物であることを鮮明に覚える。何故、人と魔族は争ったのか?

「お前が…」

 口を開いた魔王は、しかし熟慮するようにすぐ口を閉じた。その間も彼の瞳は私を捉えたままだった。

「お前は平和な世界を望むのだな…」

 平坦な声が落ちる。
 しかし、アンリの感情を読み取れる私は彼の苦しみに気がついた。



「アンリは、私を殺した人間を恨んでいるのね…」

 祖国はこの男の国と戦争を始めた。和平の条約は破られ人間がアンリの国へ攻め入った。祖国へ帰省していた私は父に囚われた。私のためだと父は言う。「魔族の男と結婚させて悪かった。隙をつくるためだったのだ。もうあそこへ行く必要はないから安心してくれ」と云う。ふざけるな。私はアンリを愛していた。祖国に幽閉されるより、アンリのために戦いたいと私は叫んだ。
 そして、私は処刑された。
 一国の姫ではなく、魔族に魅了された「魔女」として吊るされた。

「お前がいなくなった俺の物語は復讐譚へ変わった」

「あれほど…平穏を愛していたのに…?」

 アンリは愛に生きる人だった。それは昔から変わらない。だって彼が望んでいた「物語の結末」は、ただ「愛し合う二人が平和に、静かに暮らすことだった。富も名誉も地位もいらない。王子と姫の恋愛物語より、青年と町娘のひそかで甘い優しい物語が好きだったのに。

「愛する者の死は人を狂わせる。定番だ」

「でも、私は人類の滅亡を望んでいないわ」

「お前が望もうと拒もうと俺は人間を滅ぼすことを決めた。もう何百年も続けてきた行為だ。残る国は半分まできた。」

「やめられないの?」

「やめる必要がない」

 アンリは頑なだった。無理もない。やりすぎだとも思わない。私だってアンリが殺されたらその相手を殺してやろうと思うはず。愛しい人を無くした男として、その在り方は不自然ではなかった。
 それでも、私は人間に滅んでほしくない。

「何故…シェヘラザード。お前は人間に殺された。お前は魔族側の存在だ。人間を恨んでもいいはずだ。なのに何故、奴らを憎まない?同じ人間だからか?」

 アンリに問われ、私は首を横にふる。嫌にならないわけが無い。人間は身勝手で自己中心的でそんなワガママに振り回されて私は死んだ。恨まないはずがない。
 それでも人間は、
 人間に限らずこの世界にある全ては、
 尊いものだと思うから。


「ねぇ、アンリ」

 私は彼を見上げる。私のことが好きな貴方。その愛に雁字搦めになり、復讐を始めてしまった素敵な貴方。


「物語ってどうやって生まれると思う?」

 私の問いかけにアンリは首を傾げた。

「話のネタってね、頭の中から泉の如く湧いてくるものじゃないの。」

 私は私の物語の作り方を語る。
 物語は、私だけのものじゃない。この世界には、たくさんの生き物がいて、たくさんの物事がある。それらから影響を受けて私の頭のなかに物語が生まれる。モンスターやどうぶつやにんげんたちが、どんなふうに生きているのか。世界に散らばる伝承が何を描いているのか。かれらはなにを信じて、希望を抱いているのか。全部自分で体験して、それをもとに物語をつくられていく。

 この世界は素敵なものであふれている。

 自分のなかに蓄積された知識からストーリーは練り上げられる。そうして生まれた物語の起点は、行く先を知りたいと願うことで「物語」へと昇華する。私たちが紡ぐのは「物語」の未来だ。

「独りよがりの妄想じゃないの。私の物語は幸福を夢見るための希望だから、よりよい未来の可能性だから、この世界から人類が、魔族がいなくなったら、私は誰の物語を紡げばいいの?」


 アンリは目を丸くして私を見つめた。

「人類がいなくなったら、物語が作れなくなると言うのか…?」

 私は彼の瞳を見つめ返し、しっかりと頷いた。
 彼ははくはくと口を動かし顔をおさえた。私の言葉がよほど衝撃だったみたいだ。

「それは困る」

「そうでしょうとも」

「お前の物語が好きだ」

「知ってるわ」

「人類を滅ぼすなと、言うのか…?」

「いいえ。ただ、私たちの物語もここで完結するだけよ。未来のない絶望の世界で停滞し続ける。物語のない生活ってそういうものでしょう?」

 私はアンリに微笑んで見せた。その笑顔にアンリは目元を歪ませ、目が潤んだ。


「ああ…お前は本当に、残酷な女だ…」


 アンリは再び強く私を抱きしめた。私もアンリの背中に腕を伸ばし、抱きしめる。
 私たちにとって物語は生きる活力だ。楽しい物語を聞く、作る、それが私たちの生きる理由。それを失ったアンリは、だからこそ人類を強く憎み、自身の人生や倫理観を省みず、ひたすらに命を奪い続けた。
 

「アンリ、知ってる?
 『ふたり』はいつまでも幸せに暮らすものなのよ」

 世界に悪者なんていない。成敗する相手なんていない。そう思えたらきっと私たちは幸せになれるから。私たちに必要なのはお互いだけで、物語さえあれば生きていけるから。

「ああ…そう、だったな」


 アンリは静かに笑ってみせた。








 その後、魔王軍は人類と交渉し一切の不可侵を互いに契り、世界の片隅で平和に静かに暮らすようになった。
 魔王でなくなった男はその伴侶といつまでも物語を創り聴いて幸せにすごしましたとさ。




 めでたしめでたし。
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