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第14話 七日後の灯り
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七日後、デルガ港の景色は少しだけ変わっていた。
新しい掲示板が立った場所は中央広場ではない。下層西区画の入口、以前は封鎖柵が置かれていた地点だ。
板には毎朝、潮位予測、避難導線、工廠稼働率、補助柱負荷が書かれる。監察局だけでなく、荷運び組合と住民代表の印が並ぶ方式へ改められた。
「見えるだけで空気が違うね」
メラが腕を組む。
「知らないまま捨てられるって恐怖が、少し減る」
イオナは頷いた。隠された数字は恐怖を増やす。共有された数字は準備に変わる。
ガルムは復旧班の列を見ながら報告する。
「仮住居移送は九割終了。残りは東端の老朽家屋だけだ」
ローデンは正式罷免。調査委員会へ身柄が移った。
ただし、契約書の語彙と決裁順には上位会議体の雛形が見える。彼一人の判断ではない。
夕方、イオナは旧灯台裏に立った。
七日前、ガルムと初めて会った場所だ。
「再任命書が来た」
ガルムが封書を差し出す。監察局正式印。
元潮位観測士イオナを、港湾共同観測室責任者として再任する、とある。
イオナは一読し、封を閉じた。
「受ける。ただし条件付き」
「言ってみろ」
「観測室の鍵を監察局だけに持たせない。組合と住民代表にも持たせる」
翌日、条件は通った。
共同観測室の鍵は三本。監察局、組合、住民代表。
夜、作業机で新しい観測帳を整えていると、窓を叩く羽音がした。郵便鳥だ。足環の封筒に差出人はない。
中身は一枚の波形図と、一行。
――北方沿岸ノード、同一の人為増幅を確認。会議体はすでに動いている。
紙端にかすれた符号が残る。L-9ではない。N-3。
イオナは暗い海の向こうを見た。
「次の港が呼んでる」
背後でガルムが外套を取る。
「七日で足りるか」
「足りないなら、足りる形にする」
デルガの灯りが風に揺れる。
最初の七日間は終わり、次の七日間が始まろうとしていた。
新しい掲示板が立った場所は中央広場ではない。下層西区画の入口、以前は封鎖柵が置かれていた地点だ。
板には毎朝、潮位予測、避難導線、工廠稼働率、補助柱負荷が書かれる。監察局だけでなく、荷運び組合と住民代表の印が並ぶ方式へ改められた。
「見えるだけで空気が違うね」
メラが腕を組む。
「知らないまま捨てられるって恐怖が、少し減る」
イオナは頷いた。隠された数字は恐怖を増やす。共有された数字は準備に変わる。
ガルムは復旧班の列を見ながら報告する。
「仮住居移送は九割終了。残りは東端の老朽家屋だけだ」
ローデンは正式罷免。調査委員会へ身柄が移った。
ただし、契約書の語彙と決裁順には上位会議体の雛形が見える。彼一人の判断ではない。
夕方、イオナは旧灯台裏に立った。
七日前、ガルムと初めて会った場所だ。
「再任命書が来た」
ガルムが封書を差し出す。監察局正式印。
元潮位観測士イオナを、港湾共同観測室責任者として再任する、とある。
イオナは一読し、封を閉じた。
「受ける。ただし条件付き」
「言ってみろ」
「観測室の鍵を監察局だけに持たせない。組合と住民代表にも持たせる」
翌日、条件は通った。
共同観測室の鍵は三本。監察局、組合、住民代表。
夜、作業机で新しい観測帳を整えていると、窓を叩く羽音がした。郵便鳥だ。足環の封筒に差出人はない。
中身は一枚の波形図と、一行。
――北方沿岸ノード、同一の人為増幅を確認。会議体はすでに動いている。
紙端にかすれた符号が残る。L-9ではない。N-3。
イオナは暗い海の向こうを見た。
「次の港が呼んでる」
背後でガルムが外套を取る。
「七日で足りるか」
「足りないなら、足りる形にする」
デルガの灯りが風に揺れる。
最初の七日間は終わり、次の七日間が始まろうとしていた。
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