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1章:十八禁BLゲームの中に迷い込みました!
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しおりを挟む小鳥のさえずりが聞こえる。そして、カーテンから柔らかい陽の光が入ってくる。静かに瞼を上げると、すぐ隣にルードが居てびっくりした。ずっとおれを見ていたのだろうか。おれが起きたことに気付くと彼は優しげに目元を細めた。
「おはよう、ヒビキ」
「お、おはようございます……」
昨日の今日でなんだか顔を合わせるのが恥ずかしい。っていうか、今日仕事はいいのか!? おれの考えを読んだのか、ルードはゆったりと躰を起こしておれの髪に触れる。
「今日は休みなんだ」
「そ、そうだったんデスカ」
「躰の具合はどうだ?」
「え? えーっと……」
起き上がろうとしてベッドへ舞い戻る。腰が……痛い。昨日のことを思い出してぼっと頬に熱が集まった。仕方ないことだろう。枕を抱き寄せて顔を埋めると、クスクスとルードが笑う。
「今日はこのまま大人しくしていなさい」
「ううう……」
しかしやっぱりルードって結構笑うよな。本来ならアデルがこの表情を見るんだろうけど、なんだかゲームの内容とここって割と違うような気がする。んー、姉が言っていないだけで、こういう流れもあったんだろうか。それにしてはルードがアデルに対して興味がなさすぎるような……?
BLゲームやったことないけど、攻略キャラと主人公ってそんなにドライな関係なの?
「書庫から昨日の絵本を取ってこようか?」
「……お願いします」
わかった、とルードがベッドから降りて服を着る。いつもの服ではなくて、もっとラフな格好だ。でもきっと高い服だと思う。
フリルシャツを着こなす人をおれは初めて見た。芸能人で居るのかもしれないけど、部活三昧でテレビを見ることも少なかったしな。
「……ちなみにその服は誰の趣味なんでしょうか」
「メイド長だな。服の仕入れはいつも彼女に頼んでいるから」
「……あのチュニックも?」
「いや、それは私の、というよりこの国の伝統だ」
男にチュニックを着せるのが伝統? どんな伝統なんだ、それは……。
ルードはクローゼットからおれの服も用意してくれた。相変わらず下着がない。おれはゆっくりと腕を持ち上げて着替えを受け取り、のろのろとチュニックを着た。着やすくていいけどさ、チュニック……。裸でいるよりはいいだろう。
ちょっと動くだけで腰に響くけど! っていうかまだルードのモノが入っているような感じがするけど!
「それについては追々教えるとしよう。ついでに食事ももらってくるから、いい子で待っていなさい」
おれの髪に唇を落としてから耳元で囁く。だからっ、その低音で囁くのやめてください! なんて言う間もなくルードは書庫に向かう。おれはベッドの中で悶えるように躰を震わせた。
……そう言えば、昨日あのまま意識を失ったのに、躰はベタベタしていない。な、中にも出されたよな……? もしかして、ルードはあの後おれの躰をキレイにしてくれていた、のか?
しかし、慣らしてもらったのにこんなにダメージがでかいとは。それでも痛みよりも快感が勝った自分の躰に驚きだ。
この世界に来てから、躰の様子がおかしい気がする。もしかして、異世界転移したことによっておれの躰がこのゲーム仕様になった、とか……? いや、まさかな……。でもそう考えると割と納得出来るような気がするんだ。
快楽に弱くなっているのとか、すぐに快感を拾ってしまうとか、何度出してもすぐに復活するおれのモノとか。――でもこれ完璧におれ『受け』ってことになるよな?
考えれば考えるだけわからなくなっていく。そもそもどうしておれがここに居るかも謎なのに。日本に帰れたとして、元の躰になるんだろうか、とか。
――そもそも帰れるんだろうか。言葉はわかる、文字は読めない。さらには魔物のいる世界。
……今度街まで行ってみたいとルードに頼んでみよう……。
そんなことを考えていたら、ルードが戻ってきた。扉を開けてベッドの傍に置いてあるナイトテーブルの上に食事が乗ったトレイを置いて、おれには昨日の絵本を渡す。それを受け取ると、ルードはベッドの近くに椅子を持ってきて座り、スプーンを手にしてスープを掬うとおれの口元に運ぶ。
「え、あの?」
「ほら、食べなさい」
これは所謂『あ~ん』というものでは!? 困ったようにルードへ視線を向けると、彼はただ微笑んだ。おれは恐る恐るスプーンに口を付ける。冷たいスープのようだ。ああ、これじゃがいもで作る冷たいスープ、ヴィシソワーズか!
「うまいか?」
「はい」
スープを掬っておれの口元に運ぶ、というのを何度も繰り返す。ルードはすっごく楽しそうだ。それでもスープはおいしい。いや、正直この世界の食事のレベルは高いと思う。ルードの屋敷だからかもしれないけれど……。
「ルード」
「なんだ?」
「今度、街に連れて行ってもらってもいいですか?」
「街に?」
「はい。この街の人たちが、どんな風に暮らしているのか……見てみたくて」
こくりとうなずいて言葉を続けると、ルードは少し考えるように目を伏せた。それからすぐに「わかった」と言ってくれた。
「今すぐは無理だが、私の休みの日に案内するとしよう」
「ありがとうございます! 楽しみにしていますね」
「ああ、準備もあるから少し時間が掛かるかもしれないが……」
「準備?」
首を傾げて問うと、ルードは悪戯っぽく微笑みを浮かべて口元に人差し指を立てて「それはまだ秘密だ」と楽しげに言った。あまりにも楽しげで、ちょっと不安になってきたぞ……。
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