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4章:十八禁BLゲームの中に迷い込んだら、最愛の人が出来ました!
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しおりを挟む翌朝、ルードに起こされた。すっかりぐっすり眠ってしまったみたいだ。お昼寝したのに……。ルードがおはよう、と微笑んでキスをしたので、おれも挨拶を返してキスをした。ふたりで微笑み合うと、蔦も「おはよー!」って伸びて来た。葉っぱをおれとルードにすりすりと触れさせて、おれらも蔦に「おはよう」と葉っぱを撫でる。もう朝のルーティンになっているなぁ……。蔦は嬉しそうにくねくね動いている。……こうして見ているとなんか可愛く見えるから不思議だ。
「今日はニコロとどこに行くんですか?」
「すぐにわかるよ。身支度したらすぐに行こうか」
「わかりました」
とりあえず身支度を整えて屋敷の外へ。既にニコロは来ていた。……サディアスさんと一緒に。サディアスさん、仕事詰め込んでいたから疲れているんじゃ? とも思ったけれど、サディアスさん、すっごく嬉しそうににこにこ笑っているから体調は大丈夫なのかな……?
「あの、サディアスも一緒って聞いてなかったんですけれど……」
「別に構わないだろう? さて、行こうか」
……一体どこに向かうのかなぁと思いつつ、ルードについて行く形で歩き出す。目的地に向かうまでに貴族の人たちからの視線を感じた。……顔面偏差値の高さがなぁ。おれ以外高いから、どうしても注目を集めてしまうのだろう。
「……宝石店?」
ニコロが意外そうに口にした。そして、途端にソワソワとし始めた。どうしたの? って聞いたら、ニコロは宝石店に入ったことがないらしい。宝石を身につけることもなかったしって。……その気持ち、なんかわかる……! 高校生のおれにとって宝石店は縁のない場所だったし。
「あ、もしかして……?」
ちらりとルードを見ると、ルードは人差し指を立てて唇に寄せ、ぱちんとウインクしてみせた。……格好良いなぁ。しみじみとそう思いながらルードを見つめると、彼は「ふふふ」と笑った。
多分、サディアスさんに指輪のことを言ったのだろう。で、サディアスさんも欲しくなったとみた。今のニコロなら、素直に受け取ってくれそうだしね。
「いらっしゃいませ」
店員さんがにこやかにおれらを迎えてくれた。ニコロは「……わぉ」と煌びやかな宝石を眺めて感心したように呟いていた。サディアスさんは来たことあるのかな? 奥の部屋に案内されて、ソファに座るとお茶菓子とお茶を渡してもらった。朝ご飯食べていないから早速頂くことに。パウンドケーキ美味しい。お茶も美味しい。
「頼まれていたものはこちらになります」
あれ、もう出来ていたの!? とおれが驚いて目を見開くと、店員さんがすっと指輪を用意してくれた。
「サイズの確認をお願いします」
「ああ。ヒビキ、これは自分でつけるものなのか?」
「え? ええと、婚約指輪だから自分ではつけないのかな……?」
ドラマで見る光景を思い出しながらそう言うと、ルードが「ふむ」と呟いて空色の魔石が輝く指輪を手にすると、すっとおれの左手を取って薬指に指輪をはめた。
……映画のワンシーンみたい。なんて。思わずじっと自分の薬指にはまった指輪を見て、「えへへ」と笑う。それからすぐにハッとして、虹色に輝く指輪を手にすると、ルードの左手を取り薬指にはめた。ちょっと手が震えてしまっているのは仕方ない。
「……不思議な気分だ。だが、……幸せだと、思う」
「……おれもです。……って言うか、よくこんなに早く作れましたね……?」
「スキルを持った職人たちが一生懸命に作りました。丁度、現在立て込んだ依頼はありませんでしたので……」
かなりの無理を強いたんじゃないかと焦ったが、店員さんはにこにこと笑っていて首を傾げてしまう。
「指輪のつけ心地はいかがでしょうか?」
「あ、とってもいいです。軽いし綺麗だし……ルードは? 剣を握る時に邪魔になりませんか?」
「ならないと思う。が、念のためネックレスチェーンももらおう」
「ありがとうございます。お持ちしますね」
店員さんはそう言って店へと向かった。ニコロとサディアスさんが微笑ましくおれらを見ていて、ちょっと恥ずかしい。
おれはその視線から逃れるように、天井に手を翳す。きらりと魔石が綺麗に光って、その魔石からルードの魔力を感じた。……魔力を感じる?
「いつの間にかルードの魔力がわかるようになっている!?」
「……今までわからなかったんですか……?」
「だ、だってこういう魔石に触れることもなかったし……。自分の魔力はなんとなくわかるくらいだったし……」
ルードの魔力を感じるってことは、それだけおれがルードの近くに居るってことなのかな。だとしたら結構嬉しい。
「ねぇ、ニコロ、わたしが指輪を用意したらつけてくれる?」
「ええと、もしかしてそのために連れてきました?」
サディアスさんが首を縦に動かした。おれらと一緒に来たのは、やっぱりニコロに指輪を贈りたかったから、なのかな?
「……サディアスが同じのをするなら。断る理由もないし」
……! 今までのニコロだったら逃げ出していただろうに……! そう思ってニコロを見ると、ちょっと顔が赤くなっていた。サディアスさんもつられるように赤くなっていたから、微笑ましい。さりげなくお揃いをねだるなんて、ニコロにこんな可愛いところがあったのか……!
ルードはちょっと意外そうにニコロを見ていた。
「あれがニコロの素なのかもしれないな」
「……ですね」
ひそひそとルードと話す。サディアスさんと恋人になったニコロは、本当に丸くなったなぁと思う。色々おれらに気遣ってくれたりしていたけど、一線引いていた感じもあった。今は、それを感じられない。もしかしたら、ニコロの心が、おれを受け入れてくれたってことなのかな? ……そうだと、嬉しいな。
……ところで、この国の人たちの場合指輪ってどういうものなんだろう。婚約指輪のことを知らなかったみたいだし……。
「でも、剣を振るう時邪魔になりません?」
「大丈夫だと思うけど……。あ、じゃあ出来上がったら模擬戦でもしようか、ルード」
「え、私とするつもりですか……?」
ルードの顔に面倒だって書いてある気がするのはなぜだろう。ああ、でもサディアスさんのスキルを考えれば……。だって自分の考え読まれちゃうんだもんね。右に攻撃するとか左に攻撃するとか……え、聖騎士ってそんなことを考えながら戦っているの? 考えながら戦えるもんなのかな……。
じいやさんからナイフの使い方を教わったくらいだし、多分、おれは戦闘には向いていないと思うけれど……。万が一のことを考えて剣を使えるようになったほうが良いのかなぁ……?
「お待たせいたしました、こちらがネックレスのチェーンになります」
店員さんがネックレスチェーンを用意してくれて、ルードはそれを受け取った。そして、懐から小切手を取り出すと店員さんからペンを借りてさらさらとサインをして渡した。店員さんは「ありがとうございます」と嬉しそうににこっと笑う。
……一体いくらしたんだろう、この指輪。知りたいような、知りたくないような……。
「どんな指輪があるのか、見せてもらっても?」
「もちろんです、アシュリーさま。どうぞご覧ください」
店員さんにそう言ってから、サディアスさんはニコロを連れて指輪を見に行った。……そしてふと思ったんだけど、ルードが婚約指輪のことをサディアスさんに伝えたとして、ふたりが見に行ったのが婚約指輪ってことになる。……つまり、サディアスさんかニコロがプロポーズした……!?
「婚約指輪のこと、話したんですか?」
「とても良い反応だったよ。飛びついてきた」
「……プロポーズしたのかなぁ……?」
「ふふ、どうだろうね。いつか話してくれるんじゃないかな?」
ルードが穏やかな表情を浮かべながらお茶を飲むのを見て、おれは「そうですね!」と笑顔を浮かべた。幸せそうでなによりだ!
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