214 / 222
web拍手再録(本編設定)
拍手お礼SS とある〇〇の日記(2020/12/27)
しおりを挟む4月22日
――本日、新たな赤ん坊をコウノトリが運んできた。その赤ん坊は元気に泣いて、旦那さまと奥さまも元気な子だと穏やかに笑っていた。その子の名は、ルードリィフ・カイヤナイト・メルクーシンと名付けられた。祝福の名は、僭越ながら私がつけさせて頂いた。
貴族には祝福の名がある。それは全て石の名で決められていたので、迷いに迷ったがこの石の名にした。――どうか、あなたに祝福あれ。
・
・
・
5月22日
ルードリィフ坊ちゃんが生まれて一ヶ月が経った。時間の流れとは早いものだ……。しかし、ルードリィフ坊ちゃんの体調はあまり宜しくない。医者を呼んで調べてもらったところ、坊ちゃんの魔力がとても高いと聞いた。このままだと、魔力中毒で十歳にならないうちに亡くなるだろう、と……。旦那さまと奥さまはとても気落ちしていて、どう慰めたら良いものなのか……。
・
・
・
12月27日
今日は雪が降った。ルードリィフ坊ちゃんは熱が出てしまい、泣くことも出来ずにただ「あ~、う~」と呻いていた。タオルを取り替えることしか出来ない私だが、こうして傍にいることは出来る。……しかし、なぜ旦那さまも、奥さまも……兄たちも来ないのだろうか。
・
・
・
4月22日
今日はルードリィフ坊ちゃんの一歳の誕生日。だが……、とてもお祝いムードではない。むしろ悲壮感の漂う一歳の誕生日だった。一歳になったばかりだと言うのに、いつ亡くなるのだろうかと言う話をしていたのを聞いた。……この家ではこの子は祝福されない子になってしまったのだろうか……。
・
・
・
7月7日
……この世界に七夕があるのなら、織姫と彦星に願えばルードリィフ坊ちゃんは助かるのだろうか。そもそも坊ちゃんの魔力の高さは普通の設定だったはずだ。この世界は、私の知っている世界ではないのか……?
・
・
・
9月15日
何度も体調を崩す坊ちゃんに、両親も兄たちも何もしない。どう接して良いのかわからない、とは言うが……。あなたたちの家族だろうに……。せめて、私だけはこの子の味方でいたい。
・
・
・
4月22日
……まさかフェンリルと契約を交わすとは思わなかった。だが、そのおかげで坊ちゃんの魔力はフェンリルに流れ、坊ちゃんの体調は良くなった。良かった、と言って良いのだろうか……。複雑な気持ちだ。
・
・
・
8月31日
坊ちゃんが旦那さまと奥さまに甘える兄たちを見て羨ましそうにしていた。ので、私が精一杯甘やかした。やはり家族の愛情が欲しいのだろう。フェンリルと契約したことで、メルクーシン家での坊ちゃんはまるで……恐怖の対象だ。この子を恐れているのか、フェンリルを恐れているのか、半々というところか。……ここまで家庭愛がない設定ではないはずなのだが……。私の記憶が薄れているのだろうか。
・
・
・
10月23日
坊ちゃんが王都に行くことが決まった。この家から離れたほうが、坊ちゃんのためになるとは思うが……。まだ十三歳の坊ちゃんを聖騎士団に……。いや、聖騎士団にはサディアスがいる。彼ならば、坊ちゃんを支えてくれるのでは……?
・
・
・
1月1日
坊ちゃん、もう少し人に興味を持ってください……。まさか新年明けて早々に使用人が増えるとは思わなかった。割とピリピリしている屋敷の雰囲気だが……、坊ちゃんはずっと人に興味を持たずに生きていくのだろうか……。……いや、しかし行き場がないからと言う理由で屋敷に連れてきた坊ちゃんは優しい……いや、興味がないから……?
・
・
・
3月15日
……まさか坊ちゃんに愛し子が出来るとは。一体どんな人なのだろうか。ほんの少し、坊ちゃんの雰囲気が柔らかくなった気がする。
・
・
・
9月10日
――どう見ても日本人。しかし、坊ちゃんの反応を見るにこの子が愛し子だろう。あの子はあんなに優しく微笑むことが出来たのか。赤ん坊の頃から見ていたが、あんなに幸せそうな坊ちゃんは初めて見た。
・
・
・
――ぱたん、と日記を閉じた。口元には弧を描いていて、懐かしむように目元を細めている。
式典が無事に終わった日が、とても懐かしく感じる。だが、昨日のことのようにも思い出せる。ヒビキの澄んだ歌声にそれに合わせた魔物と精霊のダンス、アデルのピアノの音……。この世界に奇跡を起こしてくれた、彼らを誇りに思う。
結婚式ではひっそり涙を流してしまった。歳を取ると涙もろくなっていけない。そして、今日、さらに嬉しいことがあった。ふたりの元にコウノトリが赤ん坊を運んできたのだ。
『じ、じじ、じいやさんっ、赤ちゃん! 赤ちゃんがベッドの上に!』
『しかも双子だ……、な、泣き止まない……』
今朝の慌てたようなふたりの様子を思い出して、くすりと笑う。
よく泣き、よく笑い、よくミルクを飲む双子だ。――どうか、皆に愛されて、健やかに育って欲しいと……そう願う。
きっと、彼らなら大丈夫だろう。そう、確信出来ていた。
5
あなたにおすすめの小説
獣のような男が入浴しているところに落っこちた結果
ひづき
BL
異界に落ちたら、獣のような男が入浴しているところだった。
そのまま美味しく頂かれて、流されるまま愛でられる。
2023/04/06 後日談追加
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
虚ろな檻と翡翠の魔石
篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」
不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。
待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。
しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。
「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」
記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。
-----------------------------------------
0時,6時,12時,18時に2話ずつ更新
魔王の息子を育てることになった俺の話
お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。
「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」
現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません?
魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL
BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。
BL大賞エントリー中です。
美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました
SEKISUI
BL
ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた
見た目は勝ち組
中身は社畜
斜めな思考の持ち主
なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う
そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
【完結】気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件
白井のわ
BL
雄っぱいが大好きな俺は、気が付いたら大好きなblゲーの主人公になっていた。
最初から好感度MAXのマッチョな攻略対象達に迫られて正直心臓がもちそうもない。
いつも俺を第一に考えてくれる幼なじみ、優しいイケオジの先生、憧れの先輩、皆とのイチャイチャハーレムエンドを目指す俺の学園生活が今始まる。
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ユィリと皆の動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新!
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新!
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる