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ここは何処

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あれから部屋に戻って遅い朝ごはんを食べ終わったところでリリーさんが再度訪ねてきた。


「レミ様、今日から舞踏会当日まで侍女見習いの仕事はお休みになりました。」

「え?」

「舞踏会まで時間がありませんので、ドレスの支度や最低限のマナーを覚えて頂きたく、クラレンス様から許可をいただいておりました。すでにドレスデザイナーがお待ちになっておりますのでまずは採寸をお願いします。」

「ドレスは既成のもので構いませんよ?ドレスを着るなんて最初で最後になりますし…」

「クラレンス様からのご命令ですので」


リリーさんに押し切られそのまま採寸に向かう。私はまだ知らなかった、ここから怒涛に人が押し寄せドレス、宝石や靴など舞踏会に関する全てを決める羽目になることを。




















「もう、無理…」


そう何回1人で呟いただろうか。午前中は舞踏会に関する打合せ、午後は簡単なテーブルマナーとお肌のお手入れと目まぐるしく過ぎていく。休憩としてリリーさんがフルーツを持ってきてくれた。テラスでテーブルマナーを復習していたらいつの間にかクラレンス様が座ってました。


「クラレンス様?」

「レミが休憩していると聞いたので少し様子を見に来ました。」

「サボったりは出来ないので安心して下さい。」

「レミのおかげで使用人達が張り切っているようですね。」


楽しそうに笑うクラレンス様を恨めしそうに見るが一向に気づいていない。本当にサボる暇はないのだ。舞踏会のパートナーってこんなに大変なものだと思わなかった。ただ行って帰ってくるくらいなものかと安易に考え過ぎたなぁ。忙しくて気づいたらちょっと痩せてたし。


「引き受けたからには最後まで頑張りますけど、期待しないで下さいね。」

「パートナーを務めてくれるだけで充分ですよ。」


ころっと女の子を落としそうな笑顔で笑われるけど、小さなため息しか出ない。普通に生活がしたい、そういえばこの世界に目覚めてからこの家から出たことない…。街とか、お店とかあるのかな。でもこっちの常識とか勉強とか全然わかんないじゃん。字とか読める?こっちの文字は書けないよね…?


「やっぱり勉強しないと…」

「勉強ですか?」

「あっ、すみません、色々考えているとつい出ちゃうみたいでお行儀が悪いですね…気をつけます。」

「マナーとしてはあまり良くないですが、聞かなかったことにしておきましょう。何か勉強したい分野があるのですか?」

「そうですね、文字が読めるのか、書けないと思うので初歩から勉強したいと思ってました。あと歴史なども気になります。」

「興味あるものが沢山ありますね。」

「それは仕方がないです、こちらの世界は私のいた世界とは違う事が多くてつい気になってしまうので。」


何か習うにしてもやっぱりお金はいるし、住むところも仕事もなければ生活ができない。現実は厳しい。休憩時間が終わりクラレンス様が帰った。なんでか知らないけど、こんな感じで舞踏会まで休憩時間になるとクラレンス様が一緒に過ごすようになった。そしてあっという間に日にちは過ぎた。
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