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ここは何処

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力説してるうちに何言っているか分からなくなったけど、とりあえず侍女見習いという地位を手に入れた。衣食住全部付きの仕事で、元の世界で発展した機械達は上手く魔法に変わっている。私はまだ魔法が使えるかどうかすら分からずにいるので出来る仕事は簡単なものだけ。仕事もまだまだ覚えることがたくさんあって楽しいし、何よりあの豪華な客室から移動出来たことが嬉しい。



「今日の朝ごはんは…」


食事に関しては貴重な食料以外は勝手に持っていって使っていいと許可がでたのでとりあえず端から端まで持っていって味見をしつつ元の世界に近い食材を選んで料理をしてる。名前と形は違うけど味は同じ感じなので料理はしやすい。私の部屋にはミニキッチンが付いてるから誰かに見られることもないし。


「作ったジャムをパンに塗って牛乳でいいや」


簡単な朝ごはんで済ませようと思った矢先にノック音がしたのでドアを開けるとクラレンス様がいた。仕事の時間、間違えた?いや、でもわざわざ迎えに来るような重大な仕事は侍女見習いにさせる訳もないし…。


「おはようございます。クラレンス様、何か御用ですか?」

「レミ、その…準備が終わってからでいいので話があります。」

「準備?」


クラレンス様が目を逸らしている。確かネグリジェで異性と会うのは未婚の女性は駄目なんだと言われたような気がする。考えているとクラレンス様の後ろからリリーさんが顔を覗かせ身支度を手伝うと言って目に見えない速さで整えてくれた。やっぱりどこぞのご令嬢のような格好になるのね、馬子にも衣装すぎる。


「リリーさん、ありがとうございます。」

「いえ、このくらいはメイドの仕事ですので」


仕事の出来るメイドさんはやっぱり違う。私もいつかはリリーさんくらいに仕事できるように目標にしよう。さり気なくドアも開けてくれて廊下に出れば、クラレンス様が待っていた。


「お待たせしました。」

「いえ、こちらこそいきなり呼び出してすみません。」

「それでお話とは?」

「少し込み入った話になります。テラスでお話しましょう。」


さり気なく腕を差し出してエスコートしてくれるらしい。テラスに行くとクラレンス様が神妙な面持ちで話しだした。省略すると抵抗不可能な舞踏会に出てほしいということ。誰も断る事が出来ないらしい。パートナーももちろん必須とのことで私に頼み込んでいる。


「うーん、お世話になっているので協力したいとは思っているんですけど…ダンスは踊れませんし、ドレスもないので無理ですね。」

「ダンスは踊らなくても問題ありません、ドレスや装飾品はこちらで用意します。」

「そうですか、じゃあ他の侍女見習いの方でもいいのでは?」

「それが…他の方では無理なのです。他の方では大変なことになるので…」

「どういうことですか?」


クラレンス様曰く、1回限りのパートナーを務めて欲しいのに自分に好感を持ってると思われることばっかりで頼める人がいないらしい。まぁクラレンス様って優良物件そうだし、侍女側からしたら玉の輿って感じで燃えてるのかもしれん。


「…勘違いをされるのです、その気があるわけでもないのに。」

「わぁ、大変ですね。」

「なので、レミ貴方にお願いしています。」

「うーん、交換条件を出してもいいですか?」

「私の可能な限りは叶えましょう。」

「本当ですか?じゃあ舞踏会のパートナーは特別手当ということでお給料上げてもらえれば了承します。」

「構いませんが、それでいいのですか?」

「はい、お金はあっても困りませんので」


臨時ボーナスゲットしたし、良い上司だ。

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