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この世界は
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エタン、リランディア、私の順で歩いている。ヴェルト伯爵のいる書斎に着けば、ニコニコと出迎え入れいてくれた。
「レミ、リランディア様よく来てくれました。」
「すみません、いきなり来てしまって…」
「レミならいつでも歓迎致します。」
笑った雰囲気がエタンにそっくりだなんて思っていると痺れを切らしたエタンが口を開いた。
「父上、レミが困ってます。」
「息子の命の恩人に礼を尽くして何が悪い」
「ですが、そこまでベタベタと」
「まぁ、二人ともそこら辺にしておいて。僕達、ヴェルト伯爵に王都までの魔法陣を使う許可をもらいに来たんだ。」
「魔法陣ですか?許可はいくらでも出しますが、理由を伺っても?」
「僕達、旅に出るんだ」
「旅?」
「彼女が海が見たい、魚料理が食べたいって言うからね。地理的に王都からの方が海への行き来しやすいだろう」
「そんな理由で?」
「そうだよ」
「本当に?」
「もちろん」
「いつ発つ予定で?」
「今すぐにでも」
「…」
ヴェルト伯爵は眉間にシワを寄せて考え初めてしまった。これは出発までに時間がかかるパターンなのかな?
「では、魔法陣を使う条件を1つ付け加えてもよろしいですか?」
「叶えられることなら」
「うちの愚息もその旅に同行させてやって下さい。」
「え?それでいいの?」
「はい」
「だけどエタンは、次期伯爵じゃないか」
「直系はエタンだけですが、傍系はいますので跡取りは問題ありません。」
「目覚めたばかりですし、すごく心配していたのに…」
「もちろん息子ですから心配はしますよ。ですが、今の状態を見る限りすっかり元通りになっていることも分かりますから、レミについていくことも問題ないでしょう。ずっと寝たきりだったのにもかかわらず後遺症も無く治して頂いたということは凄いことなのですよ。」
「そうなんですか…?」
言われるがままに魔法使っただけなのに、ヴェルト伯爵とエタンはうんうんと頷いていて、リランディアは笑っている。
「寝たきりになる前は騎士でしたし、盾くらいにはなると思います。」
「私は構いませんが、本人の意見を尊重したいです。」
「レミに助けていただいた命、恩を返させてください。」
「生きてもらえればそれでいいのに…エタンがそれでいいのなら、お願いします。」
「はい」
嬉しそうに笑うエタンに何も言えなくなったので黙ることにした。今日出発予定だったけど、急すぎるのでエタンのためにヴェルト伯爵邸にもう1泊することになった。ちなみにご飯は相変わらずだったので、厨房を借りて自分の分だけ作っていたら何だかんだで4人分作る羽目になった。
「身体に気をつけて行ってきなさい、エタン」
「分かってます、父上」
「お世話になったね、ヴェルト伯爵」
「それはこちらの方です。いつでもお待ちしております、リランディア様。」
「色々と準備してもらってしまって…ありがとうございます。お世話になりました。」
服やら宝石やら、何かあればお金にしなさいと、ヴェルト伯爵が持たせてくれたものが多い。できる事なら使わないで帰ってこようと決意を固めた。
「レミ、本当に感謝しています。一生忘れることはないでしょう。気をつけて行ってきてくださいね。何かあればエタンをこき使ってやって下さい。」
「ヴェルト伯爵もお身体に気をつけて、無理なさらないでください。」
「そうだね、気をつけることにするよ。」
ヴェルト伯爵と軽いハグを交わすとヴェルト伯爵がなんかちょっとキラキラのエフェクトみたいなのがぱっと現れて消えた。不思議そうに空中を眺めているとリランディアが笑いだした。
「これは祝福だね、また珍しいものを見せてくるじゃないか。ヴェルト伯爵、レミからの感謝のしるしとでも思っておけばいいさ。悪いことにはならないから。レミ、出発しようか」
「うん、じゃあいってきます!」
「レミ、リランディア様よく来てくれました。」
「すみません、いきなり来てしまって…」
「レミならいつでも歓迎致します。」
笑った雰囲気がエタンにそっくりだなんて思っていると痺れを切らしたエタンが口を開いた。
「父上、レミが困ってます。」
「息子の命の恩人に礼を尽くして何が悪い」
「ですが、そこまでベタベタと」
「まぁ、二人ともそこら辺にしておいて。僕達、ヴェルト伯爵に王都までの魔法陣を使う許可をもらいに来たんだ。」
「魔法陣ですか?許可はいくらでも出しますが、理由を伺っても?」
「僕達、旅に出るんだ」
「旅?」
「彼女が海が見たい、魚料理が食べたいって言うからね。地理的に王都からの方が海への行き来しやすいだろう」
「そんな理由で?」
「そうだよ」
「本当に?」
「もちろん」
「いつ発つ予定で?」
「今すぐにでも」
「…」
ヴェルト伯爵は眉間にシワを寄せて考え初めてしまった。これは出発までに時間がかかるパターンなのかな?
「では、魔法陣を使う条件を1つ付け加えてもよろしいですか?」
「叶えられることなら」
「うちの愚息もその旅に同行させてやって下さい。」
「え?それでいいの?」
「はい」
「だけどエタンは、次期伯爵じゃないか」
「直系はエタンだけですが、傍系はいますので跡取りは問題ありません。」
「目覚めたばかりですし、すごく心配していたのに…」
「もちろん息子ですから心配はしますよ。ですが、今の状態を見る限りすっかり元通りになっていることも分かりますから、レミについていくことも問題ないでしょう。ずっと寝たきりだったのにもかかわらず後遺症も無く治して頂いたということは凄いことなのですよ。」
「そうなんですか…?」
言われるがままに魔法使っただけなのに、ヴェルト伯爵とエタンはうんうんと頷いていて、リランディアは笑っている。
「寝たきりになる前は騎士でしたし、盾くらいにはなると思います。」
「私は構いませんが、本人の意見を尊重したいです。」
「レミに助けていただいた命、恩を返させてください。」
「生きてもらえればそれでいいのに…エタンがそれでいいのなら、お願いします。」
「はい」
嬉しそうに笑うエタンに何も言えなくなったので黙ることにした。今日出発予定だったけど、急すぎるのでエタンのためにヴェルト伯爵邸にもう1泊することになった。ちなみにご飯は相変わらずだったので、厨房を借りて自分の分だけ作っていたら何だかんだで4人分作る羽目になった。
「身体に気をつけて行ってきなさい、エタン」
「分かってます、父上」
「お世話になったね、ヴェルト伯爵」
「それはこちらの方です。いつでもお待ちしております、リランディア様。」
「色々と準備してもらってしまって…ありがとうございます。お世話になりました。」
服やら宝石やら、何かあればお金にしなさいと、ヴェルト伯爵が持たせてくれたものが多い。できる事なら使わないで帰ってこようと決意を固めた。
「レミ、本当に感謝しています。一生忘れることはないでしょう。気をつけて行ってきてくださいね。何かあればエタンをこき使ってやって下さい。」
「ヴェルト伯爵もお身体に気をつけて、無理なさらないでください。」
「そうだね、気をつけることにするよ。」
ヴェルト伯爵と軽いハグを交わすとヴェルト伯爵がなんかちょっとキラキラのエフェクトみたいなのがぱっと現れて消えた。不思議そうに空中を眺めているとリランディアが笑いだした。
「これは祝福だね、また珍しいものを見せてくるじゃないか。ヴェルト伯爵、レミからの感謝のしるしとでも思っておけばいいさ。悪いことにはならないから。レミ、出発しようか」
「うん、じゃあいってきます!」
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