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32:聖女カサンドラ(1)
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私達を乗せた馬車は半月ほどかけて北上し、やがてリアンジュの砦に到着した。
リアンジュの砦は、北東から南西へと伸びる長い北部戦線のほぼ中央に位置する重要拠点だ。大きく三分割された北部戦線のうち中央方面軍の物資集積場であり、帯状に連なる各砦への増援、補給を担っている。カサンドラ隊の拠点でもあり、カサンドラ様は各砦からアーティファクトを通じて飛び込んでくる緊急報を受け、中央方面はおろか、東部西部方面を含む北部戦線全域への急行を10年に渡って繰り返していた。
リアンジュは、物資集積の他に補充兵の練兵や兵器の修繕、病院などの機能も充実しており、砦というより城塞都市と思えるほど大規模なものだった。周囲は頑丈な石で造られた高い壁に囲われ、壁の上には幾人もの見張りが立ち並んでいる。所々に円筒状に張り出した石造りの塔の上には投石機も備え付けられており、物々しい雰囲気が感じられた。
砦の中に入ると、意外な事にそこは近隣の街の風景と変わらない木造家屋が軒を連ね、戦いとは無縁にしか見えない平服に身を包んだ男達や女性の姿が数多く見られた。私が外の景色を眺めながら疑問に思っていると、向かいに座るフランシーヌ様が教えて下さった。
「此処は軍の後方支援と共に、兵の慰安も兼ねているの。この付近は、酒場や娼館が立ち並ぶ歓楽街ね。物資の納入で商人の行き来も多く、傭兵としてハンター達も訪れるから、宿屋や商店も数多くあるわ。そういった生業とその家族だけでも、1,000人くらい居るんじゃないかしら?」
「多いですねぇ…」
私が馬車の中で話を聞いているうちにフランシーヌ隊は歓楽街を抜け、駐屯地へと足を踏み入れた。左右に並ぶ兵舎や修練場を横目にフランシーヌ隊は道を進み、やがて隊は頑丈な石造りの建物の前に到着した。馬車の扉が開き、騎士の手を借りてフランシーヌ様が降りると、建物から姿を現わした大柄な男性が進み出て一礼する。
「フランシーヌ様、ご無沙汰しております。はるばるリアンジュまで足を運んでいただき、誠にありがとうございます」
「わざわざのお出迎え恐縮でございます、ヴァレリー様。深窓の令嬢に噛まれたと聞いて心配しておりましたが、ご無事で何よりです」
「カサンドラ様の御尽力によって、生き長らえる事ができました。図らずも手に入れた残りの一生は、全てカサンドラ様に捧げる覚悟であります」
柔らかな言葉を並べるフランシーヌ様に対し、大柄な男性は明らかにフランシーヌ様より年上であるにも関わらず、畏まった態度で重々しく答える。やがて二人の挨拶が終わるとフランシーヌ様は私達へと振り返り、男性に手を差し伸べながら口を開いた。
「シリル様、リュシーさん、紹介しますわ。カサンドラ隊の大隊長を務めていらっしゃる、ヴァレリー様です。ヴァレリー様、こちら新しく観戦武官に着任されたラシュレー公爵嫡男のシリル様と、侍女のリュシーさんです」
「シリル様、お初にお目に掛かります。カサンドラ隊大隊長を務める、ヴァレリー・スーラであります。以後、お見知り置き下さい」
「シリル・ド・ラシュレー。陛下より観戦武官の命を受け、着任した。ヴァレリー殿、以後よろしくお願いしたい。隣はリュシー・オランド。私の側付きを務める例の侍女…と言えば、わかるかな?」
「この方が、カサンドラ様待望の…」
坊ちゃんがヴァレリー様と握手を交わしながら私を紹介すると、ヴァレリー様は私を見て目を見開く。私は体の前に両手を添え、静かに頭を下げた。
「リュシー・オランドと申します。残念ながら皆様のご期待に副えず、聖女は適いませんでしたが、シリル様の付き人として随行いたしました。微力ながら御力になれればと存じます」
私の挨拶にヴァレリー様は一瞬呆気に取られていたが、そのまま笑みを浮かべ、鍛えられた大きな手を差し出した。
「…いや、黒衣の未亡人を斃せる者など、カサンドラ様を除けば、帝国中を見渡してもあなたしか居ない。リュシー殿、これからよろしく頼みます」
「こちらこそ、よろしくお願いいたします」
私は右手を差し出し、ヴァレリー様と固い握手を交わす。彼の手は大きく、武骨で、まるで父親にも似た不器用な暖かさがあった。
「それでは皆さん、中に入りましょう。カサンドラ様の許にご案内いたします」
挨拶を終えるとヴァレリー様が身を翻し、建物の入り口を指し示した。すると、フランシーヌ様がヴァレリー様の許に駆け寄り、背の高い彼を見上げながら尋ねた。
「姉様、私がお伺いする時にはいつも此処までお出迎えになられるのに…。ヴァレリー様、姉様は何処かお体が悪いのですか?」
「いえ、そのような事はございません、フランシーヌ様。ご安心を。ただ、カサンドラ様は今、少し気が張っておられまして…」
ヴァレリー様はフランシーヌ様の不安を即座に否定したが、後に続いた言葉は曖昧で、歯切れが悪い。前を進む二人の会話を耳にした私は坊ちゃんと目を合わせ、共に首を傾げた。
建物は防御を重視した強固な石材で造られており、内装も飾り気のない石材が剥き出しで、無機質でひんやりとした空気が広がる。私達はヴァレリー様の先導に従って石階段を登り、やがてヴァレリー様は3階の一室の前に立ち、頑丈だけが取り柄の堅い木の扉を叩いた。
「カサンドラ様、フランシーヌ様御一行をお連れいたしました。お通ししてもよろしいでしょうか」
「どうぞ」
中から応えがあり、ヴァレリー様が扉を開ける。フランシーヌ様が真っ先に部屋に足を踏み入れ、悲鳴にも似た声を上げ駆け出した。
「姉様!」
後に続いて私達が部屋に入ると、赤い髪を湛えた女性に縋りつくフランシーヌ様の後姿が見える。フランシーヌ様は金色の髪を振り乱し、動揺を露わにして赤い髪の女性に訴えた。
「嗚呼っ、姉様!こんなにおやつれになられてっ!一体何があったのですか!?私に教えて下さい!」
「何よもう、フランシーヌ。久しぶりの再会だと言うのに、そんな顔をして。大丈夫よ、別に体を損ねているわけでもないし、私はいたって健康よ?」
そう答えながらフランシーヌ様を宥める女性は、30歳を少し超えたくらいだろうか。赤い髪が色鮮やかに波打ち、目鼻立ちの整った美しい顔つきをしていたが、フランシーヌ様に向ける笑顔は力強さに欠け、何か思い悩んでいるように見える。女性はフランシーヌ様の後頭部に手を回し、金色の髪を梳きながらあやすように語り掛けていたが、やがてそのままの体勢で私達に目を向けた。坊ちゃんが一歩進み出て、自己紹介を始めた。
「カサンドラ様、初めまして。シリル・ド・ラシュレーと申します。この度、陛下の命により観戦武官として着任しました。以後、よろしくお願いします」
「初めまして、カサンドラ・ル・ブランです。シリル様の着任を心より歓迎いたしますわ。…それと、この方が?」
「はい」
坊ちゃんとの挨拶を済ませたカサンドラ様の視線を受け、私は前に進み出ると、静かに頭を下げる。
「この度フランシーヌ様より聖女の推薦をいただきました、リュシー・オランドと申します。残念ながら認定は得られませんでしたが、シリル様の側付きとして此処に留まります。私にできる事があれば何なりとお申し付け下さい」
「…」
私の挨拶にカサンドラ様は何も答えない。私が顔を上げた後も、カサンドラ様は私に厳しい目を向けたまま、沈黙を続けた。その目に宿るものは、敵意や非難ではない。追い詰められた者だけが見せる、己の未来を託せるか否かを必死に見極めようとする、窮鼠の目だった。
やがて、部屋の中に広がった張り詰めた空気を打ち破るように、カサンドラ様が私に尋ねる。
「…リュシーさん、お尋ねします。あなたが黒衣の未亡人を斃したというのは、事実ですか?」
「はい。私は4年前、『漆黒のワイト』をこの手で斃しました。それが黒衣の未亡人であれば、事実です」
「…それならば、何故、あなたは聖女に認定されなかったのですか?」
カサンドラ様の質問に、私より先にフランシーヌ様が答える。
「姉様、それはリュシーさんの力があまりにも偏っているからです。リュシーさんは治癒魔法が一切使えず、浄化魔法も治療に使う事ができません。彼女の浄化魔法は、滅却にのみ特化されたものです。ゆえに神聖魔法全般に高い能力を求められる聖女認定からは外れてしまいましたが、対アンデッド戦においてこれほど力強い味方は居りません」
「…」
フランシーヌ様の言葉に、カサンドラ様は再び口を閉ざした。私に向けるカサンドラ様の瞳が、僅かに揺らぎを見せる。
やがてカサンドラ様の口から放たれた言葉は、極めて事務的なものだった。
「…先ほど、近隣の砦からアンデッド接近の報が寄せられました。明朝、私達は此処を出立し、救援に向かいます。リュシーさん、その時、あなたの力を見せて下さい」
「畏まりました」
カサンドラ様の要請を受け、私は静かに一礼する。
自分に秘められた力を知ってから、初めての戦いが始まる。お祖母ちゃんから受け継がれたこの力が、フランシーヌ様の教えによって進化した力が、アンデッドに対してどれほどの効果を発揮するのか。その真価が試される日を明日に控え、私は4年ぶりに胸中に湧き上がった炎を心の中で抑えながら、静かにその時を待ち続けた。
リアンジュの砦は、北東から南西へと伸びる長い北部戦線のほぼ中央に位置する重要拠点だ。大きく三分割された北部戦線のうち中央方面軍の物資集積場であり、帯状に連なる各砦への増援、補給を担っている。カサンドラ隊の拠点でもあり、カサンドラ様は各砦からアーティファクトを通じて飛び込んでくる緊急報を受け、中央方面はおろか、東部西部方面を含む北部戦線全域への急行を10年に渡って繰り返していた。
リアンジュは、物資集積の他に補充兵の練兵や兵器の修繕、病院などの機能も充実しており、砦というより城塞都市と思えるほど大規模なものだった。周囲は頑丈な石で造られた高い壁に囲われ、壁の上には幾人もの見張りが立ち並んでいる。所々に円筒状に張り出した石造りの塔の上には投石機も備え付けられており、物々しい雰囲気が感じられた。
砦の中に入ると、意外な事にそこは近隣の街の風景と変わらない木造家屋が軒を連ね、戦いとは無縁にしか見えない平服に身を包んだ男達や女性の姿が数多く見られた。私が外の景色を眺めながら疑問に思っていると、向かいに座るフランシーヌ様が教えて下さった。
「此処は軍の後方支援と共に、兵の慰安も兼ねているの。この付近は、酒場や娼館が立ち並ぶ歓楽街ね。物資の納入で商人の行き来も多く、傭兵としてハンター達も訪れるから、宿屋や商店も数多くあるわ。そういった生業とその家族だけでも、1,000人くらい居るんじゃないかしら?」
「多いですねぇ…」
私が馬車の中で話を聞いているうちにフランシーヌ隊は歓楽街を抜け、駐屯地へと足を踏み入れた。左右に並ぶ兵舎や修練場を横目にフランシーヌ隊は道を進み、やがて隊は頑丈な石造りの建物の前に到着した。馬車の扉が開き、騎士の手を借りてフランシーヌ様が降りると、建物から姿を現わした大柄な男性が進み出て一礼する。
「フランシーヌ様、ご無沙汰しております。はるばるリアンジュまで足を運んでいただき、誠にありがとうございます」
「わざわざのお出迎え恐縮でございます、ヴァレリー様。深窓の令嬢に噛まれたと聞いて心配しておりましたが、ご無事で何よりです」
「カサンドラ様の御尽力によって、生き長らえる事ができました。図らずも手に入れた残りの一生は、全てカサンドラ様に捧げる覚悟であります」
柔らかな言葉を並べるフランシーヌ様に対し、大柄な男性は明らかにフランシーヌ様より年上であるにも関わらず、畏まった態度で重々しく答える。やがて二人の挨拶が終わるとフランシーヌ様は私達へと振り返り、男性に手を差し伸べながら口を開いた。
「シリル様、リュシーさん、紹介しますわ。カサンドラ隊の大隊長を務めていらっしゃる、ヴァレリー様です。ヴァレリー様、こちら新しく観戦武官に着任されたラシュレー公爵嫡男のシリル様と、侍女のリュシーさんです」
「シリル様、お初にお目に掛かります。カサンドラ隊大隊長を務める、ヴァレリー・スーラであります。以後、お見知り置き下さい」
「シリル・ド・ラシュレー。陛下より観戦武官の命を受け、着任した。ヴァレリー殿、以後よろしくお願いしたい。隣はリュシー・オランド。私の側付きを務める例の侍女…と言えば、わかるかな?」
「この方が、カサンドラ様待望の…」
坊ちゃんがヴァレリー様と握手を交わしながら私を紹介すると、ヴァレリー様は私を見て目を見開く。私は体の前に両手を添え、静かに頭を下げた。
「リュシー・オランドと申します。残念ながら皆様のご期待に副えず、聖女は適いませんでしたが、シリル様の付き人として随行いたしました。微力ながら御力になれればと存じます」
私の挨拶にヴァレリー様は一瞬呆気に取られていたが、そのまま笑みを浮かべ、鍛えられた大きな手を差し出した。
「…いや、黒衣の未亡人を斃せる者など、カサンドラ様を除けば、帝国中を見渡してもあなたしか居ない。リュシー殿、これからよろしく頼みます」
「こちらこそ、よろしくお願いいたします」
私は右手を差し出し、ヴァレリー様と固い握手を交わす。彼の手は大きく、武骨で、まるで父親にも似た不器用な暖かさがあった。
「それでは皆さん、中に入りましょう。カサンドラ様の許にご案内いたします」
挨拶を終えるとヴァレリー様が身を翻し、建物の入り口を指し示した。すると、フランシーヌ様がヴァレリー様の許に駆け寄り、背の高い彼を見上げながら尋ねた。
「姉様、私がお伺いする時にはいつも此処までお出迎えになられるのに…。ヴァレリー様、姉様は何処かお体が悪いのですか?」
「いえ、そのような事はございません、フランシーヌ様。ご安心を。ただ、カサンドラ様は今、少し気が張っておられまして…」
ヴァレリー様はフランシーヌ様の不安を即座に否定したが、後に続いた言葉は曖昧で、歯切れが悪い。前を進む二人の会話を耳にした私は坊ちゃんと目を合わせ、共に首を傾げた。
建物は防御を重視した強固な石材で造られており、内装も飾り気のない石材が剥き出しで、無機質でひんやりとした空気が広がる。私達はヴァレリー様の先導に従って石階段を登り、やがてヴァレリー様は3階の一室の前に立ち、頑丈だけが取り柄の堅い木の扉を叩いた。
「カサンドラ様、フランシーヌ様御一行をお連れいたしました。お通ししてもよろしいでしょうか」
「どうぞ」
中から応えがあり、ヴァレリー様が扉を開ける。フランシーヌ様が真っ先に部屋に足を踏み入れ、悲鳴にも似た声を上げ駆け出した。
「姉様!」
後に続いて私達が部屋に入ると、赤い髪を湛えた女性に縋りつくフランシーヌ様の後姿が見える。フランシーヌ様は金色の髪を振り乱し、動揺を露わにして赤い髪の女性に訴えた。
「嗚呼っ、姉様!こんなにおやつれになられてっ!一体何があったのですか!?私に教えて下さい!」
「何よもう、フランシーヌ。久しぶりの再会だと言うのに、そんな顔をして。大丈夫よ、別に体を損ねているわけでもないし、私はいたって健康よ?」
そう答えながらフランシーヌ様を宥める女性は、30歳を少し超えたくらいだろうか。赤い髪が色鮮やかに波打ち、目鼻立ちの整った美しい顔つきをしていたが、フランシーヌ様に向ける笑顔は力強さに欠け、何か思い悩んでいるように見える。女性はフランシーヌ様の後頭部に手を回し、金色の髪を梳きながらあやすように語り掛けていたが、やがてそのままの体勢で私達に目を向けた。坊ちゃんが一歩進み出て、自己紹介を始めた。
「カサンドラ様、初めまして。シリル・ド・ラシュレーと申します。この度、陛下の命により観戦武官として着任しました。以後、よろしくお願いします」
「初めまして、カサンドラ・ル・ブランです。シリル様の着任を心より歓迎いたしますわ。…それと、この方が?」
「はい」
坊ちゃんとの挨拶を済ませたカサンドラ様の視線を受け、私は前に進み出ると、静かに頭を下げる。
「この度フランシーヌ様より聖女の推薦をいただきました、リュシー・オランドと申します。残念ながら認定は得られませんでしたが、シリル様の側付きとして此処に留まります。私にできる事があれば何なりとお申し付け下さい」
「…」
私の挨拶にカサンドラ様は何も答えない。私が顔を上げた後も、カサンドラ様は私に厳しい目を向けたまま、沈黙を続けた。その目に宿るものは、敵意や非難ではない。追い詰められた者だけが見せる、己の未来を託せるか否かを必死に見極めようとする、窮鼠の目だった。
やがて、部屋の中に広がった張り詰めた空気を打ち破るように、カサンドラ様が私に尋ねる。
「…リュシーさん、お尋ねします。あなたが黒衣の未亡人を斃したというのは、事実ですか?」
「はい。私は4年前、『漆黒のワイト』をこの手で斃しました。それが黒衣の未亡人であれば、事実です」
「…それならば、何故、あなたは聖女に認定されなかったのですか?」
カサンドラ様の質問に、私より先にフランシーヌ様が答える。
「姉様、それはリュシーさんの力があまりにも偏っているからです。リュシーさんは治癒魔法が一切使えず、浄化魔法も治療に使う事ができません。彼女の浄化魔法は、滅却にのみ特化されたものです。ゆえに神聖魔法全般に高い能力を求められる聖女認定からは外れてしまいましたが、対アンデッド戦においてこれほど力強い味方は居りません」
「…」
フランシーヌ様の言葉に、カサンドラ様は再び口を閉ざした。私に向けるカサンドラ様の瞳が、僅かに揺らぎを見せる。
やがてカサンドラ様の口から放たれた言葉は、極めて事務的なものだった。
「…先ほど、近隣の砦からアンデッド接近の報が寄せられました。明朝、私達は此処を出立し、救援に向かいます。リュシーさん、その時、あなたの力を見せて下さい」
「畏まりました」
カサンドラ様の要請を受け、私は静かに一礼する。
自分に秘められた力を知ってから、初めての戦いが始まる。お祖母ちゃんから受け継がれたこの力が、フランシーヌ様の教えによって進化した力が、アンデッドに対してどれほどの効果を発揮するのか。その真価が試される日を明日に控え、私は4年ぶりに胸中に湧き上がった炎を心の中で抑えながら、静かにその時を待ち続けた。
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