ラブコメ好きな俺は妹悪魔の下僕ですか?

一条 誠

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妹悪魔の登校策略

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 今、俺は妹に脅迫を受けている。
もう何時間もこの悪魔に脅されている俺が可哀想だ。
だが絶対に挫けはしない。
なぜならここで挫けてしまえば、俺はあの心を抉られるような地獄を味わうことになるのだから。
 それだけは絶対に嫌だ!
妹が支配者のような口調で俺に迫ってくる。
  「大人しくかわいい妹にしたがえばいいものを!!」
「ふふっ、この俺が学校という名のリア充で溢れ返った禁断の地へ踏み込むとでも?バカ言え!あんな勉強だけで超つまんない上に、リア充どもの幸せぶりを見せつけられる地獄のような所に行くか!」
「何を~~!」
 俺の名前は佐藤 連。高校に通わずに家にずっといる男だ。少し回りくどく言ってみたが、結局は単なる引きこもりだ。
 だが、そのかいもあって、今では名の知れたゲーマーになっている。
 そして、今俺の前にいるのが妹のみきだ。家の家事全般をやってくれているので、感謝の心で俺はいっぱいだ。
 今日は珍しく妹と喧嘩をしているのだが、現在俺は優勢に立っている。
「それによく考えてみろ。俺は学校に行かなくてもゲームの大会で勝ち続ければ、その賞金で生きていけるんだぞ。」
「それでも学校には行かないとダメなの!!お兄ちゃんは何にも分かってない。ゲームばっかりしてても何にも良いことなんてないに決まって・・・っ!」
 妹が言いかけた言葉を遮り、俺は言い放った。「今なんて言おうとした?じゃあお前は、ゲームをしても100%良いことはないと、そう断言できるんだな!」この俺の言葉に妹が少したじろぐ。
「くっ、・・・。それはわかんないけど。でも、絶対ぜ~ったい学校に行った方が良いに決まってるもん!!」
 出た。てか、もんってなんだもんって。
 この子供のような主張に少し頭が痛くなる。
 はっきり言ってしまえば、俺もそこまで学校に行きたくない訳じゃない。
学校に行き、100%の確率で、ラブコメ的な展開で彼女が出来たりするなら、誰でも間違いなく学校に行くだろう。
 しかし、世の中そんなことが起きる可能性はせいぜい1%ぐらいだ。というか皆無に等しい。
 ああ神様!!俺にもラブコメのヒロインのような素晴らしい彼女を下さい!!
「ねぇ、お兄ちゃん話聞いてるの!?」
 自分の世界にダイブしていた俺を妹が現実に引き戻す。
「聞いてるけど。」
「嘘つけ!!」
 とうとう頭にきたらしい妹は、なぜか自分の部屋に戻り、誰かと電話をし始めた。
 やっと喧嘩が終わったと思い、俺も自分の部屋に戻った。
 しかし、俺はこの時気付くべきだった。この一本の電話が、これからの俺の青春を大きく左右することになるのだから・・・・・。
 次の日の朝、俺はいつも通りあの妹悪魔に起こされ、あの妹悪魔が作った朝食を食べ、自分の部屋でゲームの電源を入れようとした。
 すると妹が、ボタンを押そうとする俺の手を掴んだ。
「何してんだよ、早く放せ。」
 俺がそう言うと、なぜか妹は不吉な笑みを浮かべた。
「ねぇお兄ちゃん、学校に行きたくないんだよね?でもさぁ~、行かないとお兄ちゃんが困る事になったらどうする?」
「はっ?」
  俺は妹が言った言葉の意味がよく分からなかった。
 だが妹の手にあるものを見た瞬間、俺はすべてを悟った。
 妹の手には家庭教師募集と書かれた一枚の紙が握られていた。
「そ、学校で勉強しないなら家でやれば良いってこと!!だから家庭教師の人に来てもらおうと思って。」 
 俺は妹悪魔の予想外の言葉にあっけに取られていた。
 おいおいマジかよっ!?えっ!?ってことは、家に居たところで勉強はしないといけないし、ゲームのやり込みも出来ねぇじゃねぇか!ってことは・・・・っ!!
「その通り!!家庭教師を雇えばゲームに専念できない。つまり、賞金を獲得できなくなるということ!!お兄ちゃんはゲームでお金を稼ぐことはできなくなるということよ!!」
なんだと~~?嫌々、冷静に考えろ俺!まだ学校に行くより良いじゃないか。でも、家庭教師にしても学校にしてもゲームができないことに変わりはない。なら、学校で友達とか頑張って作って、普通に過ごした方が得なのか?いやしかし、禁断の地に踏み込んで、リア充に幸せを見せつけられるのも嫌だ!くそっ!どうすれば!?

 顔にシワを寄せ、悩み込む俺を見て妹が言った。
「ふふっ、かわいい妹の言葉を、始めから素直に聞いておけば良いものを。」
 何という上から目線。
やはり俺の妹は悪魔だ、かわいい妹悪魔だ!!「ねぇねぇお兄ちゃん。私はお兄ちゃんに学校にちゃんと行って、ちゃんと青春を送って欲しいんだよ。それに学校に行けば、お兄ちゃんの大好きなラブコメ的展開もあるかもしれないよ。」
「はぁ~、それが100%起こるなら誰も苦労しねぇよ。でもまだ家庭教師よりはましか。分かったよ!!俺学校行って、ラブコメ的展開を期待する!」
「さっすが私のお兄ちゃん!!」
 褒められてもあまり嬉しくないのは何故だろうか。 
 妹の策略にまんまとはめられた俺だが、今思うと、別に学校で勉強したいからとか、そういう訳ではない。
 そう、俺はラブコメ的出会いを求めて学校に行くのだ。それだけは重々覚えておいて欲しい。 
 機嫌が良くなったはずの妹悪魔が、俺に向かって少し不安気な表情で質問した。
「ねぇねぇお兄ちゃん?明日学校なんだから早く寝なさいよ?」
 お前は俺のおかんか。っと思わず突っ込みたくなる。というか、さっさとお前が寝ろ。
「嫌だ。」
 そう俺が言った瞬間、妹悪魔は電源を切った。「ああ!お前何してんだよ!!」
 俺は反抗しようとしたが、妹悪魔の不適な表情と言葉で萎縮してしまった。
「さっさと寝ろ!(寝なければあの世で永遠に眠ってもらう)。」
 一瞬、こいつの心の声が聞こえた気がした。
 やはり俺は脅迫されてるんじゃないかとつくづく思わされた。 
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